野菜ジュースでホントに栄養はとれる? 真相と注意点・おすすめの飲み方

野菜ジュースに書いてある「1日分の野菜」の記載に安心して、「毎日野菜ジュースを飲んでいるから大丈夫」という人も多いのでは?実は、紙パック1本の「野菜ジュース」で1日に必要といわれている野菜摂取量が摂れるわけではありません。糖分の摂りすぎにも要注意!管理栄養士に訊いた、野菜ジュースの栄養についての基礎知識を紹介します。
野菜ジュースの栄養についての5つの基礎知識
【1】野菜ジュースは野菜不足を補える?

管理栄養士・料理研究家・インナービューティスペシャリスト
関口 絢子さん
川村学園短期大学食物学科卒業。米国栄養カウンセラー・ヘルスケアプランナー。企業やWEBサイト・各種メディアや媒体を中心に、レシピやコラム、 企画提案などを行う。斬新なアイデアやニーズを捉えた企画が人 気を博し、CM用のフードコーディネートやフードスタイリング、商業 施設のフードプロデュースなど多岐に活動。毎日続けられる事をモットーに、簡単・おいしい・お洒落、そして美容と健康に直結したレシピを発信。
「市販の野菜ジュースには脂溶性のビタミンA(βカロテン)やカリウムなどのミネラルなどが多く含まれているものが多いです。」(浅野さん)
「野菜ジュースに書いてある“1日分の野菜”というのは、厚生労働省の推奨する、1日に必要といわれている野菜摂取量--およそ350グラムを加工したものです、という表示です。ですから1日に必要な栄養素を賄えるというわけではないんですよ。
とはいえ、まったく摂れないわけではありません。商品にもよりますが、野菜ジュースから摂れる栄養素の目安としては、コップ1杯・紙パック1本で、居酒屋さんなどの突き出しに出てくる小鉢や小皿程度に盛り付けられた野菜料理1皿分の代替になるくらいはあるんです」(関口さん)
【2】生野菜では摂りにくい栄養素が凝縮されている
「野菜ジュースは生野菜では摂りにくい栄養素が凝縮されています。また、生野菜で食べるよりも栄養素の吸収がいいんです。
多くの野菜ジュースは、作られるときに野菜を加熱して粉砕・濃縮します。なので、βカロテンやリコピンなどのポリフェノール、ミネラルなど、熱に強い栄養素でしたら生野菜よりも格段に多く、スムーズに摂取することができるんですよ。」(関口さん)
【3】生で食べるより吸収率が高まる栄養素も
「リコピンやβカロテンに関しては、加工することで生で食べるよりも吸収率が高まると言われており、不足しがちな栄養素を摂取することができます」(浅野さん)
【4】すべての栄養素を摂取できるわけではない
「野菜ジュースを飲むことはいいことです。しかし、それですべての栄養素を摂取できるわけではないことをしっかり理解しておいてほしいです。逆に生野菜も食べられる量が限られているため、加熱調理した野菜や野菜ジュースで補うことも大切。つまり野菜ジュースと生野菜はお互いに補い合う関係なのです」(関口さん)
【5】糖分が多いので注意が必要!
野菜ジュースは糖分が多く、空腹時に飲むと血糖値を一気に高めてしまうので、注意が必要。
こんなときは「野菜ジュース」がおすすめ!
食事で「野菜」が足りないとき

スポーツトレーナー
坂詰 真二さん
「スポ ーツ&サイエンス」代表。アスリートも指導するトレーニングのプロ。『1日1分、階段を下るだけ美骨トレ』(マガジンハウス)など、著書も多数。
「食事制限による栄養不足や栄養の偏りは、筋肉や骨の成長を妨げます。いろいろな種類の栄養素をバランス良く食べられる定食のような食事がベスト! 副菜が少なければ野菜ジュースでビタミンなどをプラスしてみて」(坂詰さん)
野菜ジュースを飲む「タイミング」や「回数」
飲むタイミングはこだわらなくても大丈夫
スムージーなどは朝飲むほうがいいと思って、毎日の習慣にしているという美意識の高い人も多いですが、野菜ジュースも朝に飲むのがいいのでしょうか?
「飲むタイミングはこだわらなくても大丈夫」(関口さん・以下「」内同)
食事と一緒に摂ると吸収がよくなる
「食事と野菜ジュースを一緒の摂ると、野菜ジュースに含まれる脂溶性ビタミン(βカロテンやリコピンなど)の吸収がよくなりますよ。食事によって胃腸のはたらきもよくなるので、野菜ジュースに含まれるビタミンやミネラルなどの吸収力もアップしますよ」
飲む回数にも決まりはない
「飲む回数にも決まりはありません。
ただ、野菜料理を多く食べた日などは省いてもいいと思います。野菜はβカロテンが必要に応じてビタミンAに変わるため、摂りすぎの心配はないんです。アンチエイジングなど気にする人は、抗酸化物質としてもはたらくため多めに摂ってもいいですね。
ただし、甘味が強く感じるものは、カロリーも高い可能性もありますので、パッケージの表示をよく見て、自身の1日の消費カロリーと相談しながらが望ましいと思います」(関口さん)
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて1万8千人以上の栄養相談を実施。その経験を生かし、健康経営サポートや商品開発、人材育成、健康サービスコンサルティングを得意とする。コンビニや外食を使った実践型栄養アドバイスをフィールドワークとし、「コンビニ外食健康法」などの講演が人気を呼び、年間100時間以上の講演を行う。メディアや雑誌にも多数出演。