「免疫力」の7つの疑問と「肺トレ」エクササイズなどで免疫力アップする方法
免疫力アップって何?そもそも免疫力は高ければ高いほうがいいと思っていませんか?基本の知識や疑問をプロに解説していただきました。おすすめの免疫力アップの「肺トレ」など、簡単にできるエクササイズもご紹介します。
動画で学ぶ「免疫」についてと基礎知識
程よいバランスで保つポイント
「免疫力」のリアルについて、今回は友利先生がわかりやすく解説してくださっています。「免疫力は高ければ高いほどいい」と思っている人はとくに必見です!
免疫力の基礎知識
新型コロナウイルスとの闘いが続く中、私たちにできることのひとつとして「免疫力UP」という言葉や情報を目にする機会が増えました。ただし、特定の食品や健康法で免疫の力がぐんぐん上がることはありません。しかも、免疫機能の働きは年齢や生活習慣などによって大きく異なります。まずは免疫の基本をきちんと知って、地道にケアしていくことが大切です。
自然免疫
Point
白血球内の免疫が、体内に侵入した異物を発見&攻撃獲得免疫
Point
免疫細胞が自然免疫からの情報を元に、ウイルス等に対してチームで攻撃
「免疫力」チェックシート
自分の免疫力をチェックする方法
Point
下の項目に当てはまるものがあれば黄色信号 !□ストレスを感じている
□イライラしやすい
□便秘や下痢をよくする
□手足が冷えている
□集中力が低下している
□運動不足である
□睡眠不足である
□お腹がすくことがあまりない
ひとつでもチェックがつけば、免疫力低下の可能性あり。 3つ以上なら、免疫力が低下していると考えられる。
「免疫力の高さを自分で簡単に知ることができる医学的な方法はありません。ただし、上記の中に普段の体調や生活習慣に当てはまるものがあれば、少なくとも改善の余地ありです」(伊藤先生)
7つの「免疫力」の疑問
【1】そもそも免疫って何?
A.ウイルスや細菌など体内に侵入した異物を排除する生体防御システム
「免疫とは、文字通り『疫(病気)から免れる』こと。ウイルスや細菌など体に侵入してくる敵(抗原)に対し、攻撃・排除したり、敵に合わせた武器(抗体)を作って体を守る仕組みです。大きく分けると、敵の侵入後、直ちに発動して攻撃する『自然免疫』と、抗体を作って対抗する『獲得免疫』の2種類があります。自然免疫の役割を担うのは、白血球の一種、『マクロファージ』や『好中球』など。自分以外の異物はとりあえず攻撃する性質をもっています。一方、『ヘルパーT細胞』や『キラーT細胞『B細胞』など獲得免疫といわれるチームは、自然免疫から送られた敵の情報を元に適切な抗体を作って退治。排除した後も、その敵の性質を記憶し、再び侵入してきたときに素早く対応できる体制を整えておきます。つまり免疫は、(1)ウイルスや細菌を発見し、侵入阻止、(2)感染してから自然免疫の情報を元にさらに攻撃・排除、(3)再感染を防ぐといった3つのプロセスで敵と闘っていくわけです」(斎藤先生)
【2】免疫が高い、低いって何によって変わるの?
A.免疫機能をコントロールする自律神経のバランスが決め手に !
「免疫の働きを担う白血球のうち大半を占めているのが、好中球とリンパ球。体の中は本来、このふたつのバランスが取れている状態が良しとされ、免疫機能も活性化。その調整を行っているのが自律神経です。ストレスや緊張で高まる交感神経は好中球を増やし、逆にリラックス時に高まる副交感神経はリンパ球を増やします。何かとストレスの多い現代人は交感神経が昂ってリンパ球が少なくなりがち。バランスが偏ると免疫も低下してしまいます」(斎藤先生)
【3】免疫は高ければ高い程いいの?
A.新型コロナに対しては「適度」が◎。 過剰な免疫反応で重篤化する場合も
「細菌やウイルスと闘って侵入を防ぐという点では、免疫力は高いほうが良いでしょう。ただし新型コロナウイルス感染症では、免疫力が高いことがかえってマイナスに働く場合も。本来、侵入したウイルスと闘うために放出されるサイトカインストームという炎症性免疫物質が過剰に分泌して暴走することで、自らの肺などを傷つけて重篤化す るケースがあります」(梶本先生)
【4】1年に何度も風邪を引くのは、やっぱり免疫力不足?
A.ウイルスと闘う免疫の備蓄不足で、風邪を引きやすい&治りにくい
「『免疫力』という言葉に正式な定義 はありませんが、いざというときに “侵入者”と闘う力があるかどうかを測る“予備能”だと考えます。つまり、普段からストレスが多かったり、栄養や睡眠が足りなかったり、闘うためのキャパシティ(備蓄)が少ないと、当然、風邪も引きやすくなります。また、症状がなかなか治らなかったら、それも免疫力が低下しているサインです。ただし新型コロナウイルスに関しては、まだ免疫力との関係性が明確にはわかっていないのが現状です」(梶本先生)
【5】いつも体温が35℃台。冷えは免疫を低下させる?
A.低体温で免疫細胞の働きはダウン
「免疫細胞の働きは、体温によっても左右されます。最も活性化されるのが36.5〜37℃。その範囲でなくても機能はしますが、100%の力は発揮できません」(伊藤先生)
「深部体温(体の内部の温度)が37℃未満だと、免疫細胞や、抗体として機能する免疫グロブリン(IgA)を作る働きが低下します。さらに、リンパ球自体の数も減少。自ずと免疫力が低下します」(斎藤先生)
【6】免疫を高めるための改善ポイントは?
A.栄養、睡眠、運動などの見直しを!
「免疫機能をきちんと働かせるためには、自律神経を良好なバランスで保つことが大切。まずは生活リズムを整えて、リラックスする時間を増やし、交感神経が上がりっ放しにならないように注意しましょう。腸内環境の乱れ、睡眠・運動不足、ストレスなども自律神経を乱す要因なので、それらを整えることも心がけて !」(斎藤先生)
【7】腸内環境はなぜ大事?免疫と腸は関係があるの?
A.免疫細胞の約7割が腸に存在。 良好な腸内環境が免疫力を強化!
「腸には、体全体の約7割にもおよぶ免疫細胞が集まっていて、口から入ってきたウイルスや細菌に抵抗するIgA抗体を産生しています。腸内環境が乱れると腸の粘膜のバリア機能が低下して、粘膜の隙間から異物が侵入しやすくなります。結果、免疫力も低下します」(胃腸さん)
腸内には善玉菌・悪玉菌・日和見菌といった3種類の腸内細菌が棲んでいて、善玉菌優位の腸内環境が◎。良好な腸内環境で免疫力もUP!
「免疫力」アップの「ツボ」と5つの「エクササイズ」
【1】ツボの刺激温活で免疫力アップ
足の指を曲げたとき最も凹む部分。元気が“湧き出る泉”のツボ。ゴルフボールを踏みながらでも刺激できる。
【2】基本の「肺トレ」で免疫力もアップ
山王病院 副院長・呼吸器センター長 国際医療福祉大学医学部教授
奥仲哲弥先生
おくなかてつや/呼吸器外科医。医学博士。東京医科大学病院勤務を経て現職。専門は肺がん治療。メディア出演も多く、わかりやすい解説に定評がある。著書に『医者が教える肺年齢が若返る呼吸術』(学研プラス)など。
基本の呼吸法をマスター
Point
「横笛呼吸」で“吐き切る”感覚をつかむ口から息を長く吐く
リラックスした姿勢で口を横に広げ、薄く唇を開く。10~15秒かけて息を吐き、吐き切ったところからさらに吐く。すべて吐き切って。
鼻から息をゆっくり吸う
吐き切ると自然に空気が入ってくるが、慌てずに5~6秒かけてゆっくりと鼻から息を吸う。この吐く、吸うを4~5セット繰り返す。
Point
「鼻呼吸」で横隔膜をしっかり動かす鼻から息を吐き切る
リラックスしてイスに座り、横隔膜を意識しながら7~8秒かけて鼻から息を吐く。吐き切ったところでさらに吐き、すべて吐き切る。
鼻から息をゆっくり吸う
吐き切って自然に入ってくる空気を、慌てずに5秒くらいかけてゆっくりと鼻から吸う。この吐く、吸うを4~5セット繰り返して。
【3】隙間時間にできる「肺トレ」
いつでもどこでも姿勢を正して「鼻呼吸」
「スマホやPC作業の時間が長い人は、姿勢が前かがみになりがち。それだと胸郭が縮まって、呼吸が浅くなります。気づいたときにすぐ姿勢を正し、深く鼻呼吸する習慣をつけましょう。免疫力UPやダイエット効果も期待できます」(奥仲先生・以下「」内同)
“巻き肩”姿勢は呼吸を浅くする
スマホに夢中になっていると、自然と前傾姿勢に。横隔膜をはじめ呼吸筋がほとんど動かず、呼吸が浅くなる。
腕を下ろして肩を上げる
巻き肩に気づいたときは、まず両肩を上げ、後ろに向けてぐるりと回し、ストンと落とす。
前から後ろにぐるりと回す
胸を開いて姿勢を正し、鼻からゆっくりと息を吐き、ゆっくりと吸う。
胸を広げて姿勢をまっすぐ
「意図的に深い鼻呼吸をする(随意呼吸)機会を増やすだけでも有効な肺トレに。信号待ち、レジ待ちなど、私たちの日常には、足を止める瞬間が何度もあります。そのタイミングに深い鼻呼吸をする習慣をつけましょう。文字どおり「呼(吐く)」が先で、「吸(吸う)」が後。腹筋を使ってしっかりと吐き切ると、オキシトシンやエンドロフィンなど幸せホルモンが分泌されて、心も落ち着きます」
「口を使わず、鼻だけで呼吸するトレーニングに、『鼻ハミング』がおすすめです。無意識に出てしまう軽い鼻歌ではなく、意識的に大きい音を奏かなでること。最初は、童謡の『うみ』や『チューリップ』、『ぞうさん』など、短い曲から試しましょう。10秒は息継ぎを我慢して、なるべくゆっくりしたテンポでチャレンジ。思った以上に呼吸筋を使うため、1曲終えるとかなり達成感があります」
コロナ感染対策で続くマスク生活。息苦しさからつい口呼吸や浅い呼吸になりがちです。
「まずマスクでウイルスの侵入を完全に防ぐことはできません。その上口呼吸だと、ウイルスがダイレクトに肺に届きやすくなります。そのため、マスク装着時も鼻呼吸を意識するのが◎。息苦しくならない素材のマスクを選ぶ工夫も必要です」
ティッシュ2枚をぎゅーっと丸めてテープで固定。
身近な道具を使って、現在の肺活力の目安や肺トレ効果を確認する方法をご紹介。
「ティッシュを丸めたボールを、使い切ったラップの芯内(30cmサイズ)の端(吹き口)に入れ、フーッとひと息で飛ばします。30代女性の場合、4m以上飛べば年相応の肺活力。3m以下なら、もっとしっかりとトレーニングを続けましょう!」
【4】1回5分の「肺トレ」ストレッチ
「横隔膜の働きを促し、肺機能全体を高めるためには、こわばった呼吸筋をほぐし、可動域を広げることが大切です。普段使わない筋肉をしっかり伸ばすようにしましょう。横隔膜と連動して『吐く力』をサポートする骨盤底筋のトレーニングも忘れずに」
Point
「ボールを抱えた風ストレッチ」で横隔膜を大きく動かす\1分×1セット/
(1)両腕で大きなボールを抱えるポーズ
両足を開き、両腕でボールを抱えるように輪を作る。鼻からゆっくりと息を吐きながらひざを徐々に曲げ、背中を丸めて腰を落とす。
(2)両腕を前に伸ばす
ボールを抱えるポーズのままゆっくりと両手を前に伸ばし、10秒かけて鼻から息を吐き切る。息をゆっくり吸いながら(1)に戻る。
(3)上半身を右にひねる
10秒かけて鼻から息を吐きながら、上半身をゆっくりと右方向にひねる。息をゆっくり吸いながら(1)に戻る。
(4)上半身を左にひねる
10秒かけて鼻から息を吐きながら、上半身を左方向にひねる。息を吸いながら(1)に戻る。
Point
「鎖骨回しストレッチ」で肩胛骨を柔軟に\30秒×1セット/
(1)両手を鎖骨に当てる
正面を向いて、両手を鎖骨の上へ。腕はリラックスさせておく。
(2)両ひじを大きく回す
鎖骨につけた手を起点にして両ひじを上げ、外側に大きく1~2回回す。肩胛骨周りの筋肉を動かすように意識。同様に内側にも回す。
Point
「肋間筋ストレッチ」で胸郭をほぐす\1分×1セット/
(1)左手を後頭部、右手を腰に
イスに深く腰かけて背筋を伸ばし、左手のひらを後頭部に当てる。右手は腰をつかむ。
(2)ひじを上げて上半身を倒す
鼻から息をゆっくり吐きながら、上半身を右横に倒す。左手のひじを高く上げ、肋間筋をしっかり伸ばす。伸び切ったところで少し息を止め、息を吸いながらゆっくりと(1)に戻る。
(3)反対側も同様に
手を替えて、同様に右側の肋間筋をストレッチする。
Point
「ハンモック筋ストレッチ」で骨盤底筋をトレーニング\10秒×10セット/
(1)あお向けに寝る
あお向けに寝て両手のひらを床へ。両足は軽く開き、ひざを90度曲げる。
(2)お尻をもち上げて、肛門を締める
鼻から息を吐きながらお尻を少しもち上げ、頭の方へお尻を引きつけるイメージで肛門をキュッと締める。
(3)お尻を下げて、肛門を緩める
息を吸いながらお尻を下げ、肛門を少しずつ元の位置に戻すイメージで緩めていく。お尻が床につき、おなかの筋肉が緩んだら、もう一度鼻から息を吸う。
【5】1日5分簡単ピュビスストレッチで免疫力アップ
美コアピュビスセラピスト
赤羽白彩艶さん
あかはね あやか/『美コア東京 スタジオ』所属の恥骨矯正&ボディケアのスペシャリスト。“ピュビスセラピー”を考案し、多くの女性の美と健康をサポート。
恥骨を上げることでキレイを目指す新メソッド!下がった恥骨とその周りをほぐして本来あるべき位置に戻すことにより、血流を促して体温をアップさせる新メソッド。代謝や免疫力が上がるだけでなく、小顔もやせ体質もポジティブマインドも全部手に入るんです!
Point
【1週目】は固くなっている方の股関節を緩めるだけ!(1)固い方の股関節を見極める
ひざが上がっている =股関節が固いということ!
鏡の前に座って足の裏を合わせ、両ひざを数回上下させる。再び鏡を見てひざの位置が高くなっている方だけを(2)でケア。
※(1)は初日のみ行えばOK。
(2)股関節が固い方の腸骨周りをもみほぐす(約1分)
股関節が固い方のひざを曲げてあお向けに寝転び、固い方の腸骨周り全体を5本の指で、痛気持ちいいぐらいの強さで約1分ほどもみほぐす。その後は毎晩この体勢のまま就寝すると、固かった股関節も徐々に柔らかくなる。
ほぐし終えたら この姿勢で就寝して!
Point
【2週目】は1週目の内容(Step2)にこれをプラスするだけ!(3)股関節ストレッチで恥骨周りもポカポカに(左右各10〜15回×3セット)
1週目(1)前傾姿勢から…。座って片方のひざを曲げてかかとを恥骨に引き寄せ、もう片方の足は後ろに伸ばす。前足 のひざ・恥骨・後ろ足のつま先が一直線になるように。
\前から見るとこう!前のひざ・恥骨・後ろのつま先は一直線!/
(4)上体を起こして3呼吸キープしたら元の姿勢に!
鼻から息を吸いながら上体を前に倒し、口から少しずつ息を吐きながら上体をできるところまで起こして、ゆっくりと3呼吸キープ。この一連の動作を10〜15回行ったら、反対側の足も同様に。これを3セット。
Point
【3週目】以降は毎日、Step2~5まですべてを行って!(5)赤ちゃんポーズで前後左右に体を揺らす(前後左右各10〜15回)
あお向けに寝転び両ひざを抱え、赤ちゃんポー ズをとる。上下左右に10〜15回ほど体を揺らし、腰〜仙骨周りをストレッチ。腰痛予防にも◎。
(6)両脚を真上に上げて左右にパカパカ開閉する
両脚を上げたら…。(かかと&腰の角度は90度!)
\横から見るとこう!/
(7)できるところまで脚を開いて3呼吸 キープし、閉じる!
開脚中は両手でひざを外側に押し、両脚は内側に戻そうとするイメージで。両脚を真上に上げ、両手はひざの外側に添える。その際、腰〜股関節と足首の角度は90度。できるところまで開脚し、開き切ったら両手でひざの内側を外側に押しつつ、両脚は内側に反発させることを意識しながら深くゆっくりと3呼吸キープし、元に戻す。10〜15回で1セットを、3セット行って。
【6】5分で出来るストレッチで免疫力アップ
「座りっ放しの時間が増えると、ストレスで体も心もカチカチに。肩が前に出て、背中が丸くなりがちです。 すき間の5分でも良いので、筋肉を緩めるストレッチを実践しましょう。特に、『抗重力筋』と呼ばれる、姿勢を維持し、体を支える大きな筋肉群を伸ばせば、ストレスを緩和し、免疫回復にも◎」(伊藤先生)
(1)胸の筋肉(大胸筋)を伸ばす
イスに座ったまま、両腕を肩の高さに上げて左右に広げる。腕を後ろに引きながら、胸を大きく開く。
\横から見ると/
(2)背中の筋肉(僧帽筋)を伸ばす
背中を伸ばした状態で、片手で側頭部を押しながら首を倒す。肩は上がらないように。反対側も行う。
\後ろから見ると/
(3)ウエストの筋肉 (腹斜筋)を伸ばす
両ひざを正面に向けたまま、イスの背の左側を右手でつかみ、上半身を左にねじる。反対側も同様に。
(4)スネ前面の筋肉(前脛骨筋)を伸ばす
立ち姿勢から左脚を後ろに引き、足指の前面を床につけながら脚の前部を伸ばす。反対側も同様に。
(5) ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)を伸ばす
壁に両手をつけ、片足を後ろに引く。かかとを床につけたままひざをしっかり伸ばす。反対側も行う。
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
都内2か所のクリニックに勤務。美容知識の豊富さと、わかりやすい解説で、TVや雑誌、講演会などで幅広く活躍中。