婦人科医に聞いた。生理周期25日は正常?排卵日はいつ頃?
「生理周期」とは生理が始まった日から次の生理が来る前日までの日数。医学的に正常な生理周期は25~38日です。生理周期を明確に把握するなら基礎体温をつけること。基礎体温を測る習慣は、自分の生理や女性ホルモンに向き合えるので、妊娠目的だけでなく、普段の体調管理にもおすすめです。今回は、生理周期に関する疑問を医師に聞くとともに、生理不順にならないための予防方法をご紹介します。
生理周期25日は正常?異常?
25~38日周期ならOK
【正常な生理の目安】
周期:25~38日
経血日数:3~7日(平均5日)
経血量:20~140ml
「まずは正常な生理の周期、経血日数、経血量の目安を以下の【正常な生理の目安】でチェック。この範囲を外れていたら、女性ホルモンのバランスが乱れているサインです。
ちなみに生理周期とは、生理が始まった日から次の生理が来る前日までの日数。ふたつの女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)は、この周期の中で交互に分泌量の増減を繰り返しています。基礎体温表をつければ、その流れを“見える化”できます」(福山先生・以下「」内同)
【月経期】
妊娠が成立しなければ、エストロゲン、プロゲステロンの量がともに減って、子宮内膜が剥がれ落ち、出血。月経として体外へ排出される。
【黄体期】
排卵した後の卵胞 が黄体に変化する時期。黄体からプロゲステロンが多く分泌されて、厚くなった 子宮内膜や乳腺など、妊娠しやすい状態となる。
【排卵期】
成熟した卵胞から卵子が飛び出す(排卵)時期。卵子は卵管采でピックアップされ、精子を待つ。 エストロゲンが激減し、プロゲステロンが増え始める。
【卵胞期】
卵巣の中の卵子のもととなる原始卵胞が成熟する時期。排卵を前にエストロゲンが急激に増え、 受精卵のベッドとなる子宮内膜を厚くする。
30代より40代のほうが月経周期は短くなる傾向アリ!
産婦人科医、女性ヘルスケア専門医
谷内麻子 医師
産婦人科医、女性ヘルスケア専門医。聖マリアンナ医科大学卒業、現在は静岡市の庄司産婦人科勤務。3人の子育てをしながら、女性に寄り添う医療を提供。
「すべての人が変わるとは言えませんが、 30代より40代のほうが月経周期は短くなる傾向にあります 」(谷内先生・以下「」内同)
「40代になるとホルモンバランスが乱れることにより、排卵までの日数が短くなる傾向があります。また、同時に高温期での黄体ホルモンの分泌機能不全(黄体機能不全)が見られるようになるため、高温期の日数が短くなります。このふたつの要因から月経周期は短くなります。
黄体機能不全にともない、月経前に黄体ホルモン分泌を一定レベル保つことがなくなり、山なりの分泌になるため、本格的に月経が開始する前に少しずつ出血するフライング現象が起きるようになります。
これらは年齢的変化によるもので、40代であれば自然な現象と考えられます」
月経周期が短い人の原因
産婦人科医、女性ヘルスケア専門医
谷内麻子 医師
産婦人科医、女性ヘルスケア専門医。聖マリアンナ医科大学卒業、現在は静岡市の庄司産婦人科勤務。3人の子育てをしながら、女性に寄り添う医療を提供。
「月経周期が短い人は、排卵までの日数が短い場合と、高温期が短いという場合が考えられます。初経から間もない人や、閉経間近の人は排卵が早く起きることがあります。また、40代以降では黄体機能不全といって、高温期が短くなる現象がよく見られます。これも月経周期を短くする要因のひとつです。初経から間もない時期や閉経間近の時期であれば、ひとまず様子を見てOKです」(谷内先生)
月経周期が長い人の原因
「排卵までの日数が長くかかると月経周期は長くなります。また、排卵が起きない無排卵周期では月経周期が長くなる傾向があります。排卵がうまくいかない原因のひとつとして、多嚢胞性卵巣と言われる状態があります。通常、ひとつの卵胞が大きくなり排卵しますが、多嚢胞性卵巣の場合、小さい卵胞がたくさんできてしまい、卵胞が大きくなれずに排卵するまでに日数が長くかかったり、排卵まで至らず、無月経の状態が続いてしまったりします」(谷内先生)
月経異常のサインは「周期」「日数」「経血の量」にあり!
「月経の正常な周期は25~38日で、それより短くても長くても月経異常のサインです。また、周期は正常範囲でも、夜用ナプキンが1~2時間でいっぱいになる程、経血量が多かったり、1回の月経が8日間以上続いたりするのも、放っておいて良い症状ではありません。まずは自分の月経の状況を把握して、少しでも不安があれば、すみやかに婦人科クリニックを受診しましょう」(小野先生)
排卵日はいつ頃?
排卵日は月経周期で変わる
産婦人科医、女性ヘルスケア専門医
谷内麻子 医師
産婦人科医、女性ヘルスケア専門医。聖マリアンナ医科大学卒業、現在は静岡市の庄司産婦人科勤務。3人の子育てをしながら、女性に寄り添う医療を提供。
「低温期+高温期=月経周期です。低温期の日数が変化することにより、周期の変動が起こります。何日目で排卵するかは、周期によって異なることもあります。28日周期であれば排卵はおよそ14日目、35日周期であれば排卵はおよそ21日目となります。
月経のときに出血するのは、エストロゲンと黄体ホルモンの血中濃度が下がることが誘因です。高温期にはエストロゲンと黄体ホルモンの両方が高値になっていますが、血中濃度が下がることで低温期になり、月経が始まります」(谷内先生)
25日周期でも排卵日は「基礎体温」で明確に把握できる
アヴェニューウィメンズクリニック 院長
福山千代子先生
金沢医科大学卒。日本産科婦人科学会専門医。東京大学医学部附属病院勤務などを経て、’09年から現職。女性ホルモンの影響を受けて、さまざまな悩みを抱える女性たちに親身に寄り添う診療が評判。
基礎体温とは、朝目覚めた後、最も安静な状態で測る体温のこと。
生理周期に応じて、低温期と高温期の2相に分かれる。正常な場合は、エストロゲンが増える低温期が約2週間続き、排卵を挟んでプロゲステロンが増える高温期に移行。これも約2週間続く。
「基礎体温を測る習慣は、自分の生理や女性ホルモンに向き合えるので、妊娠目的だけでなく、普段の体調管理にもおすすめ」(福山先生)
排卵日がわからない場合
無排卵・無月経
高温期がなく、ずっと低温期のままの場合、生理は来ていても、排卵が起こっていない状態。ホルモンのバランスも乱れている。生理が32か月以上来なければ、続発性無月経。
生理周期の「乱れや不調」は放置せず、婦人科検診を
「婦人科では、月経異常の治療として、経腟超音波、子宮頸がん検査に加え、ホルモン分泌を調べる血液検査を行います」
生理不順にならないための9つの予防法
【1】ストレスをためない
女性ホルモン分泌の司令塔は脳。ストレスによってホルモンバランスが乱れるので、まずはストレスの原因を振り返ってみましょう。
【2】無理なダイエットをしない
急激な体重減少や低体重で栄養状態が悪くなると、女性ホルモンの分泌が抑制されて月経異常に。BMIが18.5以下にならないよう食生活に注意。
【3】基礎体温をつける
目覚めてすぐの基礎体温測定を習慣にすると、月経異常に気づきやすくなります。毎朝でなくてもOK。
【4】冷やさない
「冷えを感じると、体は生命維持に必要な内臓機能を守るために、まずは内臓周りに血液を集めます。そのため手足や皮膚の表面、さらには子宮や卵巣などが後回しにされて、結果、生理不順や無月経になることも」(石原先生)
【5】睡眠リズムを整える
成城松村クリニック 院長
松村圭子先生
日本産科婦人科学会専門医。広島大学医学部卒。広島大学病院等での勤務を経て、2010年に開院。女性の美と健康に関する知見を生かし、女性誌やテレビなどメディアでも活躍。女性ホルモンに関する著書も多数。
「ありがちなのは、休日にたっぷりと朝寝坊して、平日の睡眠不足をリセットしようとすること。それだとかえって睡眠リズムをくずし、自律神経を失調させてしまいます。寝る時間が遅くなった日でも、起きる時間は一定に。日中眠ければ、20分程度の昼寝で調整しましょう」(松村先生・以下「」内同)
【6】きちんと湯船につかる
「冷えはホルモンバランスの大敵。夏でもエアコンなどの影響で、体は意外に冷えています。シャワーだけですまさず、ちゃんと湯船につかって体の芯から温まりましょう。おすすめは39度前後の湯に15~20分程度の半身浴。気持ちのいい汗がかけ、睡眠の質も高まります」
【7】スマホ、PCなどデジタルから離れる時間を作る
「どこへ行くにもスマホを手放せず、もはや依存症ともいえる人が増えています。スマホやPCが発するブルーライトの刺激は、交感神経が優位な状態を長引かせ、ホルモンバランスを乱す要因に。夜は早めにスイッチを切り、デジタルから離れる時間を作りましょう」
【8】運動不足を解消する
「自宅でできる簡単な運動として、有酸素運動と無酸素運動を交互に行うサーキットトレーニングがおすすめ。まずその場で1分間、太ももを高く上げて足踏みし、その後スクワットを1分間。習慣にできれば、冷えが改善し、ホルモンバランスも整います」
【9】定期的に婦人科検診を受けよう
「婦人科検診を受けたことがない、あるいはもう何年も行っていないという人は、大人の女性として自分の体への関心が低すぎます。たとえ不調がなくても、年に1度は検診を受けましょう。自分のホルモンバランスの状態を知ることができるだけでなく、病気の早期発見や体調管理にも役立ちます」
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
金沢医科大学卒。日本産科婦人科学会専門医。東京大学医学部附属病院勤務などを経て、’09年から現職。女性ホルモンの影響を受けて、さまざまな悩みを抱える女性たちに親身に寄り添う診療が評判。