ボディケア
2022.6.10

ダイエット中の「便秘」を防ぐ!原因から気をつけるべき生活習慣

ダイエット中の大敵、便秘!ダイエットが引き金となり、慢性的な便秘を招く場合も…そんな悩ましい問題を解消するために心得るべきポイントから見直すべき生活習慣をご紹介します。ぜひ日常生活に取り入れて健康的なダイエットを実現しましょう♪

便秘とは?

日本消化器病学会消化器病専門医

山本真矢先生

「便秘」の定義って?

あなたは何日間排便がないと「便秘」と感じますか? 実は、毎日排便がないから便秘というわけではありません。すっきり違和感なく排便ができていれば問題はないのです。

「日本の慢性便秘症に対するガイドラインでは、便秘とは『本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態』と定義されています」(山本先生・以下「」内同)

具体的には、(1)自発的な排便が週に3回未満である、(2)排便時に強くいきむ必要がある、(3)便が硬い、(4)残便感がある、(5)肛門が詰まったような感じがある、(6)用手的な排便介助が必要である、という6項目のうち2つ以上が当てはまれば便秘症、さらに、これらの症状が半年以上続いているようなら慢性便秘症と考えられます

「美的世代の女性でも、便秘が原因で切れ痔やいぼ痔になる方はたくさんいます。生活習慣を改善するなどしても便秘が治らない場合は、一度医師に相談してみましょう」

便秘になりやすい人って?

便を出したいという「便意」を感じたにもかかわらず、手が離せない、汚いトイレを使いたくない…などの理由で、トイレへ行くのを我慢したことはありませんか? 山本先生によると、このような行為の積み重ねも便秘の原因になるそう。

「よほど出したい場合でない限り、タイミングを逃すと便意は通り過ぎて腸の動きも止まてっしまいます。このような我慢を繰り返しているうちに、便意を感じなくなって便秘につながってしまうのです」

特に女性は男性に比べて腹筋が弱い傾向にあり、腸の外から押す圧力が弱いため、便秘になりやすいといわれています。

「筋力だけではありません。生理前や妊娠中は黄体ホルモンの影響で腸の動きが抑制されるため、便が出にくくなったり、便の水分がより吸収されて硬くなったりして、便秘につながりやすくなります。また、女性はダイエットをしている人も多く、食べる量が少ないため腸の動きが悪くなって便秘につながりやすくなります

ほかにも、運動不足や睡眠不足、肥満、食物繊維の摂取不足なども便秘につながりやすいといわれいます。便秘しやすい人は十分注意しましょう。

 

ダイエットが便秘を引き起こす「原因」

消化器内科医

古川真依子先生

「便秘を防ぐのに大事なのは、“便をつくって出す”ということ。ダイエットで炭水化物を抜き過ぎると、いい便が出にくくなります。炭水化物は夜だけ抜くなどして、栄養はバランスよく、きっちり摂りましょう」(古川先生・以下「」内同)

大腸は液体状で送られてきた老廃物から水分を吸収し、いらないものを便にして出す臓器。大腸の機能低下により便秘になると、食べたものが体に溜まって、皮下脂肪や内臓脂肪にもつながります。

糖質制限を意識しすぎて炭水化物を摂らないということは、体のエネルギーとなり便となる源を避けるということ。きっちりと食べて出すという習慣ができないので、便秘につながると思います」

ダイエット中の便秘を防ぐための「3つの心得」

【心得1】炭水化物の量と質を意識

炭水化物は摂る量と質を意識して。カロリーと塩分と脂肪分が高くなる小麦粉よりは、お米の方がベター。雑穀米や玄米は食物繊維が多くて、カロリーが白米よりちょっと少ないのでおすすめです。

「そのほかに、たんぱく質も大事です。脂質や加工肉は大腸に負担がかかりますから、油の少ない豆類や魚の方がいいですね。お肉でも油の少ないものを選んで、焼き肉でしたらハラミやタンなどもいいでしょう」

【心得2】1日2リットルの水分摂取

「排便は朝が理想的。朝、起きがけに水分を摂って、便が出そうだなというときに、もう一杯水を飲んでみるといいでしょう

ダイエット中は水分も控えるという方がいますが、それでは便が硬くなって出てきません。水分は1日2リットルくらい摂るように心がけましょう。

【心得3】2種類の食物繊維をバランスよく摂って腸の働きを正常に

いい便を出すために欠かせないのが食物繊維。食物繊維は便の体積を増やす材料となると同時に、大腸内の腸内細菌に利用され、便秘予防や腸の働きを正常にしてくれます。

食物繊維には水溶性と不溶性があり、この2種類の食物繊維をバランスよく摂らないと、逆に便秘につながることもあるので注意が必要です」

不溶性食物繊維はお腹の中で水分を吸って大きく膨らむのが特徴。腸を刺激して便通を改善します。一方、水溶性食物繊維はお腹の中で水に溶けて、便をやわらかくします。また、食べたものを包み込むことで、脂質や糖質の吸収を緩やかにするため、肥満予防にもなります。

たとえば、玄米や野菜サラダをたくさん食べることは健康的なようですが、それらには不溶性食物繊維が豊富に含まれているため、腸の機能が低下している状態でたくさん摂りすぎると、便が固くなって詰まってしまいます。便をスムーズに出すためには、水溶性食物繊維もバランスよく摂りましょう。

  • 【不溶性食物繊維を多く含む食材】 大豆・キャベツ・かぶ・春菊・玄米
  • 【水溶性食物繊維を多く含む食材】 里芋・大麦・ひじき・わかめ・エシャロット
  • 【ふたつの食物繊維を多く含む食材】 ごぼう・プルーン・キウイ・じゃがいも・納豆
食物繊維&発酵食品で腸内の善玉菌を増やして

大腸の中にはさまざまな細菌がすみついており、腸の運動を妨げる「悪玉菌」と腸の免疫システムを活性化する「善玉菌」、そしてどちらにも属さない菌に分けられます。腸内環境を整えて、いい便を出すには、「善玉菌」を優位にしておくことが大切です。

「食物繊維のほか、ヨーグルトやキムチ、納豆などの発酵食品も、善玉菌の活躍をサポートしてくれます」

便に老廃物が溜まると、肌荒れの原因にも。加齢や食生活、生活環境などにより、それまで善玉菌優位だった人でも悪玉菌に傾くようになるため注意が必要です。善玉菌を増やして便秘を防ぎ、理想の体型をめざしましょう。

 

便秘を改善するための「4つの生活習慣」

小林メディカルクリニック東京 院長

小林暁子先生

日本美腸協会 代表理事

小野 咲さん

【1】スッキリ出すための「朝」の過ごし方

  • 朝食とトイレタイムを計算に入れて余裕をもって起きることが肝心!

「便秘解消の第一歩は、朝習慣のリセットから! 朝は自律神経が副交感神経から交感神経に切り替わるタイミング。起きたらまず1杯の水や朝ごはんで腸に刺激を与えることが、そのスイッチになります。また、朝食後に、便意があるなしにかかわらず、きちんとトイレタイムを作ることも大切です。毎朝、便座に座る時間を確保することで、自然と排便が促され、そのリズムを体が覚えていきます。朝は30分の余裕をもって準備を!」(小林先生)

【ポイント1】起きたらコップ1杯の水を飲む
「起き抜けにコップ1杯の水を飲むと、腸のぜん動運動が促され、腸が動き出します。温度は、人肌程度か常温がおすすめです。また、1日1.5~2Lを目安に、日中もこまめにとることが大切。カフェイン入り飲料や汁もの、食事の水分は含みません」(小野さん)

【ポイント2】ストレッチで腸を刺激する
「便秘状態の腸は、朝からガチガチに固くなっている上、便の重さで位置も下がり気味。体をひねったり、伸ばしたりするストレッチで腸を刺激し、腸の位置を整え、おなかを柔らかくして便通を促しましょう。その際、ゆっくりと深く呼吸をすることも大切。深い呼吸で血流が良くなって、腸が活性化します」(小野さん)

【How to】
(1)胸式&腹式ストレッチ

足を肩幅に開いて立ち、鼻から5秒かけて息を吸いながら両腕を上げる。おなかから胸の順に膨らませるイメージで。次に、口から10秒かけて息を吐きながら、両腕を下げる。腕の動きに合わせて、胸からおなかの順に、ゆっくり息を吐いていくように。さらに上体を丸めて、おへそをのぞき込み、ひざ下まで手を伸ばして息を吐き切る。これを5回繰り返す。

(2)お辞儀ストレッチ
足を肩幅に開いて立ち、右手は骨盤上部にある腸骨の下、左手は肋骨の下に当てる。両方の手でわき腹をもみながら、上半身を前に倒す。その際、息をゆっくり吐きながら、左手だけ腸骨の位置までスライドさせる。さらに、前かがみになり、床と平行になるまで倒したら頭を上げる。これを10回繰り返す。

【ポイント3】朝食をきちんととる
「朝食をとることは、スッキリ出すための大原則。その際、食物繊維と質のいい糖質は必ず取り入れましょう。腸を刺激するためには単品ではなく、穀類や野菜、フルーツ、発酵食品など種類豊富に。穀類は、雑穀米やグラノーラなど、繊維のしっかりしたものを」(小林先生)


【2】「食事改善」で腸の働きを活性化!

  • 腸内環境を整える食事内容で、腸を活性、便秘も解消!

「便秘解消のための食事は、すなわち腸内環境を整える食事にリンクします。まず上げられるのが、食物繊維。腸内細菌の善玉菌のエサになる上、その食べカスは便の材料でもあります。また、発酵食品もおすすめ。乳酸菌など善玉菌を豊富に含むため、腸内環境が整って便秘解消につながります」(小林先生)

「最初に温かいものを食べることも重要です。消化管が温まり、腸の働きが活発になります」(小野さん)

【ポイント1】食物繊維をしっかりとる
「食物繊維には、水に溶ける『水溶性』と水に溶けない『不溶性』があります。理想のバランスは、不溶性2:水溶性1です。便をしっかり出すには不溶性が大切ですが、現代人の食生活で不足気味なのは水溶性。便秘やコロコロ便の解消にも、水溶性が必要です」(小林先生)

【不溶性食物繊維】
「水分を吸収して数倍に膨れるため、便のカサを増やして腸のぜん動運動を活性化します。残便感の解消にも効果的。葉もの野菜、さつま芋やじゃが芋、きのこ類、豆類、玄米などに豊富。それだけではなく、水分も一緒にとることが大切です」(小野さん)

【水溶性食物繊維】
「水に溶けると粘度を増してゲル状になり、腸にこびりついた老廃物を落としてくれるのが、水溶性食物繊維。不溶性よりもとるのが難しいので、意識して積極的に摂取を。ワカメやヒジキなどの海藻類や、ネバネバ食品、アボカドなどに多く含まれています」(小野さん)

【ポイント2】発酵食品をとる
「納豆や漬け物、甘酒など日本古来の発酵食品には、腸内の善玉菌を増やす植物性乳酸菌が豊富。動物性よりも菌の力が強く、腸に届きやすい特徴をもちます。ただし、動物性乳酸菌のヨーグルトは腸を活性化するので、積極的にとりたい食材です」(小野さん)

【ポイント3】良いオイルを適量とる
「オリーブオイルや亜麻仁油、えごま油など、良い油は腸の潤滑油になります。大さじ1杯をスープやサラダに回しかけるなど、生のままとることで便がつるんと出やすくなります。加熱料理には米油やオリーブオイル、ココナッツオイルが◎」(小野さん)

【ポイント4】なるべく添加物をとらない
「排泄の能力を超える程の添加物をとっていると、老廃物として腸内にたまって、腸内細菌のバランスが乱れやすくなります。また、血液の質が悪くなる上、巡りも低下することに。食材は、なるべく添加物を含まないものを選びましょう」(小林先生)

【ポイント5】就寝3時間前までに食事を終える
「便を作る腸のぜん動運動は、睡眠中に最も活発になります。ところが、就寝直前に食事をすると、睡眠中の胃腸の消化活動が盛んで、腸の動きは停滞。そんな事態を防ぐためにも、寝る3時間前までには食事を終えておくことが大切です」(小林先生)

 

【3】「有酸素運動」で適度に腸を刺激

  • 有酸素運動で腸を軽く刺激して、ぜん動運動をスムースに!

「適度に腸を刺激して、ぜん動運動を促すためにも、習慣的に体を動かすことが大切です。その際、筋トレなどの激しい運動よりも、ウォーキングやヨガなど、しっかり呼吸をしながらの有酸素運動が◎」(小林先生)

「デスクワークが続くときは、隙間時間に体をねじる、伸ばすなどのストレッチを行うなど、工夫をしましょう。その場で足踏みをするだけでも効果的。リズミカルな振動は下がり気味の腸にとって良い刺激になります」(小野さん)

【ポイント1】日中の活動をリズミカルに!
「あえて運動する時間をとれない人でも、通勤や買い物途中のウォーキングを弾むような足どりにする、駅の階段をリズミカルに上るなど、少しの心掛けで腸の停滞は防げます。1日20分程度のウォーキングを習慣にすれば、なお良しです」(小野さん)

【ポイント2】寝る前は腰を回しておく
「1日を過ごした腸は、重力で下がり気味。腸のぜん動運動が最も盛んな就寝中に備えて、位置を整えておきましょう。腰を回すことで、腸を支える骨盤周りの筋肉を刺激でき、腸が動きやすくなります。その際、便の詰まりやすい大腸のコーナーをつかんで刺激しながら行うと、より効果的です」(小野さん)

【How to】
(1)足を肩幅に開いて立ち、右手で骨盤上部にある腸骨の下、左手で肋ろっ骨の下をギュッとつかむ。そのまま腰をゆっくりと回して、骨盤周りの筋肉を刺激する。自然な呼吸を続けながら、同じ方向に5回程回して。

(2)上半身を前に倒して、おなかにぐっと圧をかけながら、(1)と同じ方向に腰を5回程回す。わき腹に力を入れて、肛門は締めて。次に、手の位置はそのままで、(1)→(2)と反対方向にも回す。


【4】「入浴&腸もみ」で“出せる”環境を整える

  • 就寝1時間前の入浴&腸もみで翌朝“出せる”準備を整える!

「1日1回、湯船にきちんとつかって体を温めることは、副交感神経を優位にして腸の働きを促すためにも効果的。38〜40℃のぬるめの湯に15分程つかっていると、深部体温が上がるとされています。つかっている間、腸もみを行えば、腸の動きがさらにアップして一石二鳥。湯船の中であぐらをかいて座った状態で、大腸をマッサージするイメージです。もむ方に体を倒すと、おなかの筋肉を緩めることができます」(小野さん)

【How to】

  1. 右の腸骨の上辺りを4本の指と親指でつかんでもみほぐす。
  2. 上半身を右側に倒しながら、下から上へ指の位置をずらし、数回に分けてもんでいく。
  3. 左の助骨の下辺りを4本の指と親指で押しながらもむ。
  4. さらに指を下に移動させ、上半身を左側に倒しながら、腸骨の下までマッサージする。


※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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