健康・ヘルスケア
2022.1.26

便意を我慢しすぎると便秘になりやすい? 硬い便が詰まったときの対処法とは?【女医に訊く#183】

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定期的にすっきり排便できず困ってはいませんか? 便秘を改善するにはどうしたらいいのでしょうか? 日本消化器病学会消化器病専門医の山本真矢先生に教えていただきました。

何日出ないと便秘? 慢性便秘とは?

あなたは何日間排便がないと「便秘」と感じますか? 実は、毎日排便がないから便秘というわけではありません。すっきり違和感なく排便ができていれば問題はないのです。

「日本の慢性便秘症に対するガイドラインでは、便秘とは『本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態』と定義されています」と話すのは、日本消化器病学会消化器病専門医の山本真矢先生。

具体的には、(1)自発的な排便が週に3回未満である、(2)排便時に強くいきむ必要がある、(3)便が硬い、(4)残便感がある、(5)肛門が詰まったような感じがある、(6)用手的な排便介助が必要である、という6項目のうち2つ以上が当てはまれば便秘症、さらに、これらの症状が半年以上続いているようなら慢性便秘症と考えられます。

「美的世代の女性でも、便秘が原因で切れ痔やいぼ痔になる方はたくさんいます。生活習慣を改善するなどしても便秘が治らない場合は、一度医師に相談してみましょう」(山本先生)

どんな人が便秘になりやすいの?

便を出したいという「便意」を感じたにもかかわらず、手が離せない、汚いトイレを使いたくない…などの理由で、トイレへ行くのを我慢したことはありませんか? 山本先生によると、このような行為の積み重ねも便秘の原因になるそう。

「よほど出したい場合でない限り、タイミングを逃すと便意は通り過ぎて腸の動きも止まてっしまいます。このような我慢を繰り返しているうちに、便意を感じなくなって便秘につながってしまうのです」(山本先生)

特に女性は男性に比べて腹筋が弱い傾向にあり、腸の外から押す圧力が弱いため、便秘になりやすいといわれています。

「筋力だけではありません。生理前や妊娠中は黄体ホルモンの影響で腸の動きが抑制されるため、便が出にくくなったり、便の水分がより吸収されて硬くなったりして、便秘につながりやすくなります。また、女性はダイエットをしている人も多く、食べる量が少ないため腸の動きが悪くなって便秘につながりやすくなります」(山本先生)

ほかにも、運動不足や睡眠不足、肥満、食物繊維の摂取不足なども便秘につながりやすいといわれいます。便秘しやすい人は十分注意しましょう。

便秘の治療法は?

便秘が続くと便の水分が過度に抜けて便は硬くなってしまいます。このような状態で便秘の解消にいいといわれる食物繊維を摂取したり、腸を強制的に動かして便を押し出すような刺激性下剤を飲んだりしても逆効果。お腹が痛くなるうえ、虚血性腸炎や痔などになってしまう危険性があります。

「便が詰まっているときは、お尻のためにも浸透圧性下剤などで便を軟らかくして出してあげる方がいいと思います。硬いまま下りて詰まってしまった場合は、浣腸で下から出してあげて、上から下剤でコントロールしてあげるのがいいでしょう」

一般的に、刺激性下剤は依存性も高く、慢性的に使用すると徐々に効かなくなってくるといわれています。便秘には便秘の種類や生活スタイルに応じた適切な薬の選択が必要です。便秘には病気が潜んでいることもありますから、なかなか改善しない場合は消化器内科医に相談してみましょう。

日本消化器病学会消化器病専門医

山本真矢先生

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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