健康・ヘルスケア
2021.1.5

香りを使った植物療法のメリットとデメリット・プロに聞く症状別使い方【5つ】とおすすめアイテム

ナチュラル志向の人には「植物療法」がおすすめ。植物の力で自然治癒力を高めましょう。おすすめの症状別使い方とアイテムをご紹介します。

植物療法とは

本来人間が生まれながらに持っている自然治癒力に植物の力を使い働きかけ、体を整えたり、病気を予防したりする方法。薬などと違い大きな副作用など心配する必要があまりないため、昔から用いられている治療法ではあるが、近年注目を浴び始めている。身近な使い方としては、アロマやハーブを用いている方が多いのではないでしょうか。

メリットとデメリット

カラーズ株式会社 ブランド・経営戦略室 室長/植物療法士

星野啓太さん

メリット

Point

効果は飲み薬より早い

「すべてとはいえませんが、不調の種類や原因によっては、飲み薬より早く改善が感じられる可能性があります」(星野さん・以下「」内同)

「香りは数十〜数百の香り成分の集合体です。それぞれの成分が鼻にある香りセンサーと結びつくことで電気信号に変換され、本能や感情を司る脳の部分に伝わります。その結果、身体の司令塔と呼ばれる視床下部や脳下垂体が反応し、身体の健康をつくる自律神経やホルモン系にはたらきかけます。その時間は1.5秒とも言われていて、香りが身体へ与える影響も早いと言えますね。もちろん、お薬のほうが早く効くというケースもありますから、香りと飲み薬、使い分ける必要はありますが、飲み薬に頼りたくないなどとというときには、試してみる価値はあると思います。

例えば自律神経のバランスによる不調。上で説明した通り、香りの成分が脳に届くまでの時間は1.5秒。自律神経への効果も瞬時に発生すると考えれば、飲み薬より早い可能性があります」

 

デメリット

Point

香りの効果が得られない人がいる

「香りの効果を得られないという方はいます。要因としては鼻腔内にある香りセンサーが欠けてしまっている場合、あるいは、その時の心理的なものが影響しているということも考えられます。また、そもそも香りによる影響は、受け取る人それぞれで差があるため、あまり感じないという人もいるでしょう。明確な原因は分かっていませんが、現在考えられる原因はこの3つです。

「香りセンサーとは鼻腔の嗅上皮上に約400個ほどある嗅細胞の嗅覚受容体のことを指します。嗅細胞は肌のターンオーバーと同じように随時生まれ変わっています。しかし、一説には極端なダイエットで生まれ変わりのための材料がなくなってしまい、香りセンサーが欠けてしまうことがあると言われています。また、もともと香りを受け取る力、受け取れる香りの種類が人によって違うことも考えられます。現在のところ、嗅覚障害の原因や治療法は明確に判明していませんが、この香りセンサーが欠けることも原因のひとつである可能性があります。

また、香りには薬理的効果と心理的効果があります。薬理的効果は体に常に効くものと定義すれば、心理的効果は効いたり効かなかったり、日和見的です。また、人によっては過去の記憶や現在の感情などに関連して効果が出る、出ないが決まる可能性があります。香りの好き嫌いや、イメージ、思い込みによる作用も関わっていると言えます。

香りの薬理的効果として、ホルモンなどの物質が出たとしても、それが実際に身体に及ぼす程度や影響の度合いは人によって異なります。また、最近分かってきたことですが、その違いは先天的な場合だけでなく、後天的にも起こるようです。

香りの効果をあまり感じられないという人は、こういった原因があるかもしれません。②の心理的なものが原因であれば、気持ちや環境次第で変わることがあると言えるでしょう」

香り効果の実感を高めるには?

「まずは、上記の心理的効果は効いたり効かなかったりと言う部分を疑ってみましょう。心理的なものが原因であれば、気持ちや環境次第でも変わることがあると言えるでしょう。

気温や気圧などに適応するため、昼夜それぞれの時間に即した変化を行うために、自律神経やホルモンバランスは常に変化しています。そのため、香りを嗅ぐタイミングや環境によって、効果が増減する可能性があります。

香りの効果を発揮させるためには、嗅ぐ時間や場所も気にしてみると良いでしょう。例えば、ゆっくり眠りたい夜には副交感神経に働きかける香りを選び、照明を落とした静かな寝室で香らせるなど、効果を実感しやすい環境を整えてみてください」

 

【5つの】症状別使い方とおすすめアイテム

【1】免疫力を高める

「精油にはホメオスタシス(恒常性維持機能)という身体の健康を作る機能にはたらききかける力があるので、免疫力を高めることも可能です。

弊社の研究ではマンダリン、ゼラニウムとその他複数の精油の組み合わせを香ることで、粘膜に多く含まれる免疫物質の代表とも言われる“分泌型IgA”の分泌の上昇が見られました。

香りを嗅いで体内に取り入れることが目的。なので、アロマディフューザーなどを使った芳香浴、シャンプーやトリートメントなどのヘアケア、アロマオイルによるボディケアなど、方法はお好みのものを選んで下さい」

 

\おすすめの香りヘアケアアイテム/

ザ パブリック オーガニック スーパーバウンシー ディープモイスト シャンプー(右) トリートメント(左)

価格容量
本体:1,580、詰替用¥1,180 本体:480ml、詰替用 400ml

【2】気分の落ち込みや不安を軽減

「精油の香りでホルモンの分泌を促進させることで、落ち込み、不安感を軽減させることができます。

気分の落ち込みや不安感の要因のひとつにはオキシトシン、β–エンドルフィンというホルモンが影響しています。これらは幸せホルモンとも呼れているもの。弊社のエビデンスを取得しているブレンドでは、イランイラン、フランキンセンス、レモングラスなどの複数の精油を組み合わせることで、このホルモンの分泌を40%〜60%上昇させることがわかっています。幸せホルモンの分泌が上昇したということは、気分の落ち込みや不安感が軽減されたということになるでしょう。

季節性うつの症状には不眠も上げられます。不眠に対して効果的な精油はヒノキ、スギ、シダーウッド・アトラスなど樹木系の精油です。これらの精油に含まれるセドロールは入眠までのスピードや睡眠の深さといった睡眠効率を高めるというエビデンスがあり、不眠症状に効果的と言えます。

また、付きの悪さは自律神経の交感神経のスイッチが入りっぱなしになっている可能性があります。まず、眠るために大切なのはリラックスすること。日中の活動を促す交感神経から、夜間など休息モードのときに働く副交感神経優位へとスムーズに切り替わることがポイントになります。その交感神経の働きを鎮めてくれるのがα–ピネンという香り成分を含むフランキンセンスやジュニパーベリー。α–ピネンには副交感神経を強壮させる働きがあるため、就寝前に香ると効果的です」

 

\おすすめの香りケアアイテム/

左から ザ パブリック オーガニック スーパーポジティブ ダメージリペア シャンプー、同トリートメント

価格容量
本体:¥1,580、詰替用¥1,180 本体:480ml、詰替用400ml

ザ パブリック オーガニック スーパーディープナイト ホリスティック精油ピローミスト フォールアスリープ

価格容量
¥2,800 60ml

 

【3】PMSに効く

「PMSに関わっていると言われている女性ホルモンのプロゲステロン、エストロゲン。この2つの女性ホルモンのバランスを調整するプロゲステロン様、エストロゲン様作用がある精油があるため、香りはPMSに効果的だと言えます。

ゼラニウム、ホーリーフの精油には緊張や不安、イライラなどを抑える作用があるので、PMS症状が辛いときに香っていただくことがおすすめです。

アーモンドオイルやホホバオイルなどのキャリアオイルに精油を混ぜたボディオイルを、デコルテまわりに塗っていただくと、香りを吸引しやすいのでより効果的です。精油は濃度が高すぎると肌を刺激してしまう恐れもあるので、ご自身でボディオイルを作るときはキャリアオイルに対して精油は1%くらいになるようにしましょう。余ったオイルは酸化防止のためにも遮光瓶に入れて、早めに使い切るようにしましょう。

複数の精油を組み合わせることで効果を高めることができるので、イライラを抑えるラベンダー精油+女性ホルモン調整をするゼラニウム精油、という具合にブレンドするのもOKです。身体に効果を与えるためには、自分自身が心地よいと思うことがとても重要なので、自分好みの香り作りも大切です。

精油には妊娠中の不調の緩和に役立つものもあります。しかし、人によっては月経を促す通経作用や排卵を促すエストロゲン様作用が起きることがあるため、使用する精油の種類には注意が必要です。先述したPMSに効果的なゼラニウムやホーリーフをはじめ、クラリセージ、サイプレス、シナモン、ペパーミント、カモミール、セージ、フェンネル、ローズマリー、レモングラスなども妊娠中の使用には注意が必要なもの。他にも妊娠期に注意が必要なものも多くありますので、精油選び、使用は慎重に行ってください。

妊娠中におすすめしたい精油やハーブもあります。初期であれば風邪予防としてエキナセアやネトルのハーブティーを。つわりが辛いときにはジンジャーを香ると症状が軽減されます。後期では子宮まわりの筋肉強壮作用があり、安産のハーブとも言われるラズベリーリーフのハーブティー、リラックスや精神安定のためにはラベンダー、ゼラニウムを香るのがおすすめです。ラベンダー、ゼラニウムは通経作用があるので初期の使用は禁忌ですが、後期であればリラックスや精神安定効果がある精油です。

妊娠期の精油の使用は注意すべき点がありますが、香りの力を活用することで快適に過ごすこともできます。上手に付き合ってみてください」

 

 

\おすすめの香りケアアイテム/

睡眠前、手のひらなどに塗布して香りをかぐことで、本来の睡眠リズムを整えるオイル。リラックス効果のあるオーガニック ラベンダー精油を10%配合し、ストレスなどで過敏になった意識を穏やかに導く。集中したいときや緊張時、ヨガ、瞑めい想そうの際に使用するのもおすすめ!

ヴェレダ ラベンダー ナイトオイル

価格容量発売日
¥3,08020ml2017-10-25
ラベンダー ナイトオイルの詳細はこちら

いつでもどこでも気軽に香りを楽しめるポケットサイズのロールオンタイプのフレグランスに、新しい香りが仲間入り。リラックスした時間を過ごしたいときにおすすめ。

ニールズヤード レメディーズ アロマパルス ウーマンズバランス

価格容量発売日
¥1,9809ml2019-10-01
アロマパルス ウーマンズバランスの詳細・購入はこちら

【4】肌もキレイになる

「香りが美肌づくりに効果的と言える理由として、大きくふたつの項目があげられます。ひとつは血流を促す効果がある香りがあるということ。もうひとつが肌の大敵と言われているストレスの緩和効果がある香り。このふたつを上手に取り入れれば、美肌に近づきやすくなるといえます。

健やかな肌をつくるには、毛細血管の端まで血流が流れ、酸素や栄養素を肌表面近くまで届けることが大切です。精油の香りで自律神経のバランスをリラックスモードの副交感神経優位にするれば、毛細血管への入り口が広がり、血流を促進することが可能です。これらに効果的なのがクラリセージ、フランキンセンス、ネロリなどの精油です。

また、肌荒れはストレスによっても引き起こされます。コルチゾールという身体の炎症を鎮めるホルモンがストレスへの反応に使われてしまうと、炎症を抑えられなくなってしまうのです。コルチゾールによい作用をもたらすとされているのが、酢酸リナリルを含むラベンダー、ベルガモット、プチグレンなどの精油です。

揮発性や脂溶性を備えている精油は香りを嗅ぐだけでも機能を発揮します。もちろん、植物オイルやクリームなどに混ぜて肌に塗り、体内に吸収させてもいいです。ただし、精油を肌に塗る場合、肌につけられるものは限定されます。必ずパッケージを確認してください。そして、原液では刺激が強過ぎるため、キャリアオイルなどに混ぜて1%程度に希釈して使用してください」

 

 

\おすすめの香りケアアイテム/

温かみのある香りで穏やかな気持ちに。

ニー ルズヤードレメディーズ エッセンシャルオイル ネロリ

価格容量
¥7,600 2.5ml

【5】集中力アップに

「気持ちの切り替えには自律神経が大きく関係しています。仕事モードのときは交感神経(アクティブ)が優位、休息モードのときは副交感神経(リラックス)が優位になっている状態。それを調整する香りがあります。

ローズマリーに含まれる“1,8-シネオール”には集中力を高め、作業効率を上げるはたらきが。仕事中に集中力が切れたと感じたときにはローズマリーの精油を香らせたり、嗅いだりするのはおすすめです。また、ユーカリにも同じ効果がありますよ。

休みの日なのに仕事のことばかり考えてしまってリラックスできない、ゆっくり休みたいというときは副交感神経系にはたらきかける香りが有効です。おすすめはベルガモット、ラベンダー、フランキンセンスの精油。休息モードに気持ちが切り替わります。

交感神経系に働きかける精油として有名なのは柑橘系の香りです。休み明けなどで仕事モードになれない、なんてときにはレモンやグレープフルーツの精油を香ると良いでしょう」

 

 

\おすすめの香りケアアイテム/

肌に直接つけられるピュアな精油。

ニールズヤードレ メディーズ エッセンシャ ルオイル オレンジ・オー ガニック

価格容量
¥2,100 10ml

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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