【医師に訊く】太る生活って、具体的に?
普通に食べているだけなのに、どんどん太る…ダイエットしてるのになかなか痩せない…とお悩みの女性必見!何気なく繰り返している生活習慣や、食生活が「太る原因」かも!痩せたいからと言って、食べないのは厳禁!医師や専門家に訊いた、正しい知識を知って「太る生活」を改善しましょう!
5つの太る「生活習慣」
【1】朝食を抜く
「朝食を抜き続けると体が“飢餓になるシグナル”をキャッチして、夜のため込みモードがオンになって太りやすくなります。食事抜きは太るもとだと肝に銘じましょう」(根来先生・以下「」内同)
「ハーバード大学などの研究者が、被験者を対象に“朝食をとるグループ”と“朝食を抜くグループ”に分け、昼食と夕食は同じものを食べてもらうという調査をしたことがあります。
すると、朝食を食べなかったグループは、食後の測定で体温があまり上がらず、熱を発散していない結果に。これはエネルギーを消費しにくいモードになったと考えられる証。実際に研究を半月続けたら、朝食を抜いたグループは、体重の差を始め、コレステロール値も高くなっていたのです」
「朝食を摂取することは、太りにくくなることだけでなく、健康のためにもとても重要なのです。そこまで食べていないのに、一向に痩せない人と悩んでいる人は、まずは起きてから1時間以内に朝食をとる習慣を身につけてみてください」
【2】食べない
管理栄養士・料理研究家・インナービューティスペシャリスト
関口絢子さん
川村学園短期大学食物学科卒業。米国栄養カウンセラー・ヘルスケアプランナー。企業やWEBサイト・各種メディアや媒体を中心に、レシピやコラム、 企画提案などを行う。斬新なアイデアやニーズを捉えた企画が人 気を博し、CM用のフードコーディネートやフードスタイリング、商業 施設のフードプロデュースなど多岐に活動。毎日続けられる事をモットーに、簡単・おいしい・お洒落、そして美容と健康に直結したレシピを発信。
「食べないっていうのは、ただ摂生している気分になっているだけなんです。
本当は食べることができたうえで痩せられるのが理想。しっかり食べながら痩せやすい体を作るほうがダイエットの成功率は高いです。食べて消化するだけでもエネルギーは使うのに、わざわざ食べないということは、筋肉が落ちたりエネルギーを燃やすための機能を停止してしまうということなんですよ。
筋肉が落ちてしまった体は、ちょっと何かを食べただけで太りやすく、脂肪がつきやすくなることもあります」(関口さん)
【3】運動不足(基礎代謝の低下)
産婦人科専門医
吉形玲美先生
浜松町ハマサイトクリニック 婦人科医。医学博士、日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、日本女性栄養代謝学会幹事。東京女子医科大学医学部卒業後、同大学産婦人科学教室入局、准講師を経て、現在非常勤講師に。2010年7月より浜松町ハマサイトクリニックに院長として着任。現在は同院婦人科診療のほか、多施設で女性予防医療研究に従事している。更年期、妊活、生理不順など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。
「人間が1日に消費するエネルギー量は、大きく基礎代謝量(生命維持のために消費される必要最小限のエネルギー代謝量)、身体活動量(運動や家事などの日常生活活動によって消費するエネルギー量)、食事誘発性熱産生(食事をした後、安静にしていても代謝量が増大すること)の3つで構成されています。
このうち約60%を占める基礎代謝量は、通常10代をピークに加齢とともに低下します。また、基礎代謝量を臓器別に見ると、筋肉・心臓・脳がほぼ2割ずつを消費しており、筋肉の少ない人は基礎代謝量が低くなります。
つまり、20代以降が太りにくく痩せやすい体を手に入れるには、食事や運動で筋肉量を増やし、少しでも基礎代謝を上げることが大切なのです」(吉形先生)
【4】睡眠不足
スタンフォード大学医学部教授
西野精治先生
医師、医学博士。「スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNラボ)」所長。著書『スタンフォード式最高の睡眠』(サンマーク出版)が話題に。
眠らないと糖の代謝が低下して血糖値が上昇。食欲抑制ホルモン「レプチン」が減る一方で、食欲増進の「グレリン」が増える傾向に。
2002年、米サンディエゴ大学の研究チームが女性63万6,095人を対象に調査した所、「短時間睡眠の女性はBMI値(体格指数〈体重÷〔身長×身長〕〉)が高い」という結果が出た。
【5】腸内環境が乱れている
小林メディカルクリニック東京 院長
小林暁子先生
医学博士。順天堂大学総合診療科を経て2005年にクリニックを開業。内科、皮膚科のほか、便秘外来や女性専門外来を併設し、治療に当たる。
「便秘が続いて便がたまると、腸がどんどん伸びて下がってしまいます(下がり腸)。そうすると、ほかの臓器も下に引っ張られてたるみ、スタイルがくずれる原因に。また、便秘で老廃物が腸内にたまったままだと、有害物質が発生し、それを含んだドロドロの血液が体内を巡ります。こうした質の悪い血液は脂肪に蓄積されやすいため、太りやすく、やせにくい体にもなってしまいます。」(小林先生)
やせ体質が手に入る5大条件
【1】食事
ボディメイカー
JUNさん
「3Days糖質オフダイエット」を考案。3か月で体重?17kg、体脂肪?16%を達成し、ベストボディジャパン横浜大会及びUSA大会でグランプリに輝く。現在は自身のボディメイク経験を生かし、トレーナーとしてダイエットに悩む多くの人を指導。著書『ダイエットに失敗してきた私がやせた3Days糖質オフダイエット』(学研プラス)も好評。
やせるも太るも食事がいちばん大事!
「体は食べたもので作られるので、やせるも太るも食事次第!『量は食べていないのに太っちゃう…』という人は、ごはんやパン、麺類など、糖質に偏った食生活が原因かもしれません。消費されなかった糖質は体内で脂肪として蓄積されてしまうので、普段から低糖質・高たんぱく・低脂質の食事を心掛けることが重要!」(JUNさん・以下「」内同)
【2】運動
日常生活における運動量を増やす
「わざわざジムに行かなくてもOK。朝にストレッチやウォーキングなどの軽い運動を行うだけで、基礎代謝が約10%アップします。あとはエスカレーターではなく階段を使う、ひと駅分歩く、スーパーやコンビニには少し遠回りして行く、部屋の掃除をこまめに行うなど、日常生活でできることを見つけて、1日の運動量を増やすことを心掛けましょう」
【3】水分補給
1日1.5Lの水分補給で巡りの良い体に整える
「水分が不足すると、栄養や酸素を細胞に届ける血液や、老廃物を回収するリンパ液の巡りが悪くなり、代謝も低下。汗をかきにくくなったり便秘を引き起こす原因にもなるので、1日に最低でも1.5Lは水分をとる習慣を身につけましょう。ポイントは喉が乾く前に飲むこと。トイレの回数は1日8~10回が目安です」
【4】入浴
40~42℃に毎日20分!湯船につかって代謝アップ!
「シャワーだけで済まさず、しっかり湯船につかって深部体温を高めることで代謝がアップ。じんわり汗をかく温度の40~42℃に20分程度入るのが理想です。体が温まることで睡眠の質が高まり、よりやせやすい状態に。入浴後は股関節周りなど、ストレッチやマッサージを取り入れると、より効果的です!」
【5】睡眠
1日7時間ぐっすり眠ってやせ体質に!
「睡眠不足だと体脂肪を分解する成長ホルモンや、食欲抑制・代謝をつかさどるレプチン、食欲増進を促すグレリンなどのホルモンのバランスがくずれてしまうため、ぼてBODYになりやすいんです。1日に最低でも7時間は睡眠時間を確保するようにしましょう」
普通に食べているのに太る?5つの太る「食生活」
【1】夕食偏重スタイル
「夜は血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの分泌量が低下します。それに加え、睡眠中の飢餓状態に備え体がため込みモードになるので、血液中にコレステロールなどの脂質も増えて糖が分解されにくくなります。同じカロリーを摂取しても夕食の方が太りやすくなるため、夕食偏重スタイルは卒業しましょう」(根来先生)
【2】炭水化物(糖質)のとりすぎ
管理栄養士
前田あきこ先生
パーソナルコンディショニングコーチ、日本抗加齢医学会指導士。女性ライフクリニック銀座・新宿のダイエット外来にて認知行動療法を取り入れた栄養や運動、睡眠などの生活習慣改善を指導。
「太りにくい体作りには、血糖コントロールも大切。気をつけるべきは、たんぱく質量が少なく過剰な糖質を含む、パンケーキや菓子パンなど。
一度に大量の糖質が体内に入ることで血液中の血糖が急増するため、肝臓と筋肉に貯蔵し切れずに体脂肪に変換されます。これが肥満の原因。」(前田先生・以下「」内同)
「炭水化物は体のエネルギーを燃やす大切な材料ですが、とりすぎると脂肪になってしまいます。」
【3】昼食前におやつをちょこちょこつまむ
出社時は楽しみだったはずのランチタイムも、テレワークになると、用意や片づけが面倒でつい手軽さを重視しがちに。さらに多いのは食べ損ね。
「動かないのでおなかがすかず食べない人も多かったというデータがあります。でも結局、小腹がすくので、おやつはちょこちょこつまむんですよね。それこそが太る原因。
軽めでも即席麺に卵ひとつのせるだけでもいいので、いつもの時間にランチをとって体内時計を整えましょう」
【4】夕食を心行くまで食べる
「18時を過ぎると血圧や中性脂肪が高まり始めます。一方、ストレスホルモンのコルチゾールの分泌が低下することで、夕方から夜は食事やお酒が一層おいしく感じられるようになる誘惑の時間帯。誘惑に負け、心行くまで食べてしまうと、脂肪をため込む要因となります<。」(根来先生)
【5】食べるのが速い
「気をつけたいのが早食い。食べる速度が速いと消化吸収も早くなり、同じ食事でも血糖値が上昇しやすいのです。」(前田先生)
やせ型より肥満型の人の方が、「食べるのが遅い人」が少なく、「食べるのが速い人」が多い傾向に。肥満型の人程、早食いの人が多いのを見ても、カロリーだけでなく、食べ方も重要なのがわかる。
すぐにでも取り入れたい、6つの「食事法」
【1】3食のバランスが4:2:4、リモート時は3:2:3
1日の摂取カロリーを1,800kcalとした場合の目安。活動量の少ないリモートワークの日は、食事量を腹8分目に抑えて。生活の変化に合わせて食事量も変化させるのが、新生活様式で食とうまく付き合うコツ。
【2】朝食は起きてから1時間以内に食べる
「朝食は起きてから必ず1時間以内にとりましょう。そうすることで体内時計がリセットされて、体のリズムが整うようになります。さらに毎日同じ時間に起床して朝食をとると、より効果的です」(根来先生)
「起床して1時間以内に朝食をとると、1時間半以内に肝臓に栄養素が届き始めます。すると、起床時と体の内部が起きたときの時差ボケがなくなり、夜のバイオリズムまで整います。下手に寝る何時間前までに夕食をとろうと思わずに、とにかく朝に食べることに集中した方が、自然と夜の食欲も落ち着きます」(前田先生)
【3】昼食は朝食から5から6時間後。毎日同じ時間にとる
「1日の食事は、3食が5~6時間ごとの間隔が理想。朝食同様、昼食を抜くと体内時計が大きく狂い、体が飢餓状態にあると判断されて、脂肪をため込むモードへシフトします。同時に胃腸にかかる負担も大。」(根来先生)
【4】夕食のタイミングは遅くても21時まで
「夜はBMAL1の働きで、体が脂肪を貯蓄するモードになるので、なるべくカロリーは控えめに。理想の摂取時間は18~19時ですが、現実的には難しいので遅くとも21時までに摂取しましょう。」(根来先生)
【5】たんぱく質+ミネラル類+良質な脂質を中心に
「基本はミネラル類を含む5大栄養素。中でも、たんぱく質と良質な脂質は体を作る柱、マストでとりたいです。たんぱく質量が多くてカロリー控えめの食材は、鶏胸肉や刺身、かまぼこなど。脂質はアマニ油やえごま油など、体内で作ることができない必須脂肪酸の不飽和脂肪酸がとれるものがべター。納豆やおひたしなどにひと垂らしして、加熱せずに体に取り込むと効果的です」(前田先生)
【6】理想のメニュー
ワカメサラダ、刺身盛り、小盛り玄米ごはん、豆腐と野菜のみそ汁
動物性たんぱく質をメインにしたメニューが理想。ここに植物性たんぱく質の納豆を加えて、さらにたんぱく質量をアップ。夜にみそ汁などだしが効いた温かい椀ものが1品あると、リラックス効果と食欲抑制作用もあって◎。
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
医師・医学博士。奈良県立医科 大学医学部客員教授、杏林大学医学部客員教授、信州大学特任教授、事業構想大学院大学理事・教授。著書は『病まないための細胞呼吸レッスン』(集英社)など。