ダイエットを効率よく!痩せやすい体を手に入れる食事のポイントは?|女医に訊く#47
年末年始などの暴飲暴食で増えてしまった体重を戻したいときは、どのようなダイエットがいいのでしょうか。太りにくく痩せやすい体を手に入れる食生活のポイントを、産婦人科専門医の吉形玲美先生に聞きました。
適量のたんぱく質で痩せやすい体に
そもそも私たちが太ってしまうのは、 摂取カロリーが消費カロリーを上回ってしまうから。摂取カロリーを消費カロリーより抑えれば、太ることはありません。
「だからといって食事を全部抜いてしまったり、ひとつの食材のみを食べ続けたりするようなダイエットでは、栄養も偏りますし、リバウンドもしやすくなります。
不要なのは、むくみとなる水分と余計な脂肪です。痩せやすい体をつくりながらダイエットをするには、筋肉を減らさないようにすることが大事。たんぱく質をちゃんと摂って、筋肉を維持しましょう」と吉形先生。
人間が1日に消費するエネルギー量は、大きく基礎代謝量(生命維持のために消費される必要最小限のエネルギー代謝量)、身体活動量(運動や家事などの日常生活活動によって消費するエネルギー量)、食事誘発性熱産生(食事をした後、安静にしていても代謝量が増大すること)の3つで構成されています。
このうち約60%を占める基礎代謝量は、通常10代をピークに加齢とともに低下します。また、基礎代謝量を臓器別に見ると、筋肉・心臓・脳がほぼ2割ずつを消費しており、筋肉の少ない人は基礎代謝量が低くなります。つまり、20代以降が太りにくく痩せやすい体を手に入れるには、食事や運動で筋肉量を増やし、少しでも基礎代謝を上げることが大切なのです。
食物繊維・発酵食品・良質な油で腸内環境を整える
また、年末年始の暴飲暴食などで乱れた腸内環境をリセットするには、食生活の見直しは欠かせません。たんぱく質や食物繊維を多く含む食品のほか、植物性発酵食品(漬物・納豆・味噌など)を食べて、腸内環境を整えましょう。
「食べ過ぎてしまったから、痩せるために下剤を飲んでダイエット……なんていうのはいけません。胃が重いといった症状の場合には胃薬を適切に使用しつつ、食生活を見直して快便にもっていくようにしてください。
外食を減らすのもひとつの手かもしれません。外食は高カロリーで栄養が偏るうえ、つい食べ過ぎてしまいますね。痩せやすい体をつくるために、自炊の頻度を上げることも候補にいれてみてください」(吉形先生)
オメガ3系脂肪酸やオメガ9系脂肪酸と呼ばれる、身体へ良い働きをする良質な油を摂ることも大切です。オメガ3系は体内でつくることができない必須脂肪酸のα‐リノレン酸が豊富なエゴマ油や、DHA・EPAを豊富に含む青魚に代表されます。それぞれ血液をサラサラにし脳を活性化する働きがあります。オメガ9系はオレイン酸を含むオリーブ油などでメタボや便秘改善に効果があります。
「ただし、エゴマ油は熱に弱く、炒めものなどの料理には不向きなので注意が必要です。1日小さじ1杯分を目安に、ドレッシングに混ぜるなど加熱せずにお使いください。私は加熱料理にはオリーブオイルを使用しています」(吉形先生)
スイーツが食べたくなったら和菓子を選んで!
疲れやストレスが溜まってくると、恋しくなるのが甘い物。無理してガマンをした結果、反動でドカ食いしたり、ダイエットを挫折したりした経験をもつ人も多いのではないでしょうか?
「甘いものがどうしても食べたい場合には、和菓子にしてみては。和菓子は洋菓子に比べて、腸内環境を整える食材を多く含みます。とはいえ、2個も3個も食べれば、当然カロリーオーバーになるので注意しましょう」(吉形先生)
和菓子は腸内環境に良いだけではありません。例えば、和菓子によく使われる小豆には、たんぱく質や食物繊維のほか、むくみを解消してくれるサポニンもたっぷり。きな粉の原料である大豆には、サポニンのほか、血中コレステロールを低下させるレシチン、善玉菌のエサとなるオリゴ糖、女性ホルモンに近い働きをするイソフラボンなどの成分が豊富に含まれています。また、米菓の原料であるお米は、調理後に冷めるとデンプン成分が変化して腸内細菌のエサになり、腸内環境を整える短鎖脂肪酸をつくり出します。
「短鎖脂肪酸はごはんが冷めた際につくられます。おにぎりやお寿司なども、熱々、ほかほかのご飯より太りにくく、腸内環境により良いですよ」(吉形先生)
文/清瀧流美 撮影/黒石あみ
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