太らないための「朝食のトリセツ」コーヒーはNG?量やタイミングは?|新生活様式版・太らない食べグセ
リモートワークやおこもり生活で、平均3kgは太ったとも言われる今日この頃。とはいえ安易な食事制限は、今いちばん必要な免疫力を落としてしまうので絶対NG! これからは「賢く食べて太らない」のが新常識です。
ムダ太りを防ぐ「朝食のトリセツ」
太らない体を作る最大の予防こそが朝食
新生活の代名詞・テレワークは、人目がない分、食べ物をいつ食べてもいい状態。とはいえ“太らないためには朝食のタイミングが重要”と話すのは、ハーバード大学医学部客員教授 根来秀行先生。
「1日は24時間ですが、実は人間の1日の体内時計は24時間11分。この分のズレをリセットするために、最も大切なのが“朝日を浴びること”と“朝食を食べること”です。朝食で胃腸を刺激することで体がしっかりと目覚め、活動モードにスイッチが入ります。逆に朝食を抜き続けると体が“飢餓になるシグナル”をキャッチして、夜のため込みモードがオンになって太りやすくなります。朝は必ず食べる習慣をつけましょう」
前日に食べすぎた日は「量」を調整して。食べないのはNG
夕食で過食した際、陥りがちなのが翌日の朝食抜き。
「この帳尻合わせは、体内時計を乱すもと。翌日の3食を全体的に軽くして、いつもと同じ時間に食事を。食事抜きは太るもとだと肝に銘じましょう」(根来先生)
朝食前にすべきこと
起きたらすぐに1杯の水で血流を巡らせる
「睡眠中は汗や呼吸で大量の水分が失われるので、朝一番に水分補給を。起き抜けの水分補給は、胃腸に刺激を与えるので、排泄や排便を促すデトックス効果も。べストはコップ1杯の白湯か常温の水。また、コーヒーなどカフェインを含む水分は、すきっ腹に取り込むと胃に負担がかかり、疲れやすくなったり体内時計が乱れる可能性大。朝のコーヒータイムは朝食後が理想です」(根来先生)
「特に便秘に効果的なのが炭酸水。炭酸ガスが胃壁から吸収されることで胃の血流を促進するので、体内の老廃物の排出を早めてくれます」(管理栄養士 前田あきこ先生)
Point
・白湯か常温の水がべスト・便秘なら、胃を調節して血流を促進する炭酸水も効果的
・ゆっくり少しずつ飲む
これはNG!
・コーヒー、紅茶、緑茶など、カフェインを含むものは胃の負担に
・一気飲みは胃液が薄まるので注意
朝食のタイミングは?
起きてから1時間以内
「朝食は起きてから必ず1時間以内にとりましょう。そうすることで体内時計がリセットされて、体のリズムが整うようになります。さらに毎日同じ時間に起床して朝食をとると、より効果的です」(根来先生)
「起床して1時間以内に朝食をとると、1時間半以内に肝臓に栄養素が届き始めます。すると、起床時と体の内部が起きたときの時差ボケがなくなり、夜のバイオリズムまで整います。下手に寝る何時間前までに夕食をとろうと思わずに、とにかく朝に食べることに集中した方が、自然と夜の食欲も落ち着きます」(前田先生)
朝食の量は?
3食のバランスが4:2:4で昼を軽く!
「今までは朝3:昼3:夜4のバランスが良いとされていましたが、朝にしっかり食べてほしいので4:2:4のバランスが理想。朝食から昼食までの時間は短いので、昼は軽めでOKです」(前田先生)
「夜は血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの分泌量が低下します。それに加え、睡眠中の飢餓状態に備え体がため込みモードになるので、血液中にコレステロールなどの脂質も増えて糖が分解されにくくなります。同じカロリーを摂取しても夕食の方が太りやすくなるため、夕食偏重スタイルは卒業しましょう」(根来先生)
1日の摂取カロリーを1,800kcalとした場合の目安。活動量の少ないリモートワークの日は、食事量を腹8分目に抑えて。生活の変化に合わせて食事量も変化させるのが、新生活様式で食とうまく付き合うコツ。
食べるものは?
マストは胃を動かすカギとなるたんぱく質。25gはとって代謝を上げる!
「ムダ太り対策はもちろん、筋肉や肌、髪を作る材料となるのがたんぱく質。朝に必ずとる理由は、胃を動かすため。というのも、胃はたんぱく質を胃壁に触れさせないと動き始めないから。たんぱく質ゼロの場合は、食べたものが胃に留まった状態になります。胃を動かして代謝や体温を上げるためにも、朝はしっかり摂取を。たんぱく質の1日の目標摂取量は約65g。朝は最低でも25gを。リモート時でも体を作るたんぱく質の量だけは減らさないのが鉄則です」(前田先生)
朝食におすすめの手軽なたんぱく質は?
グラノーラ:含有量はそれぞれ
大豆たんぱくを原料としたタイプのグラノーラは、1食につきたんぱく質の含有量が10g以上のものが豊富。太らないためには糖質の低いタイプを選んで。
スライスチーズ:3.0g 約30kcal
血糖値の上昇が緩やかな低GIのチーズは、血糖値が急上昇しやすい朝食にぴったり。カルシウムが豊富で、糖質や脂質の代謝を促すビタミンB2もとれる。
水きりヨーグルト:約8〜10g 約100kcal
腸内環境を整えるヨーグルトは、水きりタイプを選ぶとたんぱく質量がアップ。1カップ約8〜10gもの量がとれる優秀食材。
魚肉ソーセージ:約7g 約161kcal
100gで約7gのたんぱく質が摂取できる魚肉ソーセージは、なんといっても低カロリー。プロテイン入りや特定保健用食品タイプも登場し、健康食としても呼び声が高い。
ゆで卵:約7.8g 約90kcal
美肌のもとである必須アミノ酸のバランスが抜群。卵白に含まれる酵素のリゾチームは、免疫力を高めるといううれしい効果も。
たんぱく質をとるメリットはほかにも!
Point
・筋肉や皮膚・髪などの材料になる・ストレス緩和
・免疫力を高める
・睡眠の質を高める
・脂肪になりにくい
「ストレスや睡眠、免疫力に関わるホルモンの材料にもなるのがたんぱく質。食事で摂取して体に材料を入れておかないと、起き抜けに朝日を浴びてもホルモンの分泌が正常に行われなくなるおそれも」(前田先生)
酵素のとれる果物や野菜をとれば、代謝をスムースに動かしてくれる!
「起床後の体は代謝が低く、インスリンが分泌されやすい状態。インスリンは血糖値を下げるホルモンでありながら、分泌量が増 えると体脂肪増加を促進させる一面も。そこで食べたいのが、生の果物や野菜。生きた酵素やビタミンがたっぷりで、果物に含まれる果糖にはインスリンの力を借りずに素早くエネルギーに変える効果もあるので、朝の栄養補給に最適です」(根来先生)
リンゴ
水溶性と不溶性の食物繊維を含むので、お通じ改善にも◎。皮に含まれるリンゴポリフェノールには、抗酸化作用や内臓脂肪の蓄積を抑制する効果もあり。
アサイー
高い抗酸化作用をもつアントシアニンやたんぱく質など多くの栄養素を含む果物。コレステロールの吸収を抑えてくれるフィトステロールも摂取できる。
小松菜
糖質の代謝に欠かせないビタミンB群が豊富。さらに強力な抗酸化作用で代謝アップを促進するフィトケミカルのβ-カロテンや食物繊維もとれる万能野菜。
パンは全粒粉のもので血糖値上昇をできるだけ緩やかに!
「朝はたんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素を摂取するのが理想ですが、すべてを網羅するのは大変。そこでおすすめなのがパンを全粒粉タイプにすること。食物繊維やビタミン&ミネラルが豊富な炭水化物で、血糖値の上昇が緩やかな低GI食品。咀嚼回数も増すので満腹感も高まります。玄米も同様の効果が。それぞれ卵をのせて食べたら完全栄養食の完成」(前田先生)
全粒粉パン
腸内環境の改善や、美肌や血糖値コントロールにも効果を発揮する食物繊維が豊富。よけいな塩分を排泄してむくみを防ぐカリウムも含む高栄養価パン。
食べ方も工夫を!
太るNGメニューを知っておこう!
「太りにくい体作りには、血糖コントロールも大切。気をつけるべきは、たんぱく質量が少なく過剰な糖質を含む、パンケーキや菓子パンなど。一度に大量の糖質が体内に入ることで血液中の血糖が急増するため、肝臓と筋肉に貯蔵し切れずに体脂肪に変換されます。これが肥満の原因。パンケーキや菓子パンを食べる前に低GIの野菜や果物、たんぱく質を食べておいたり、低GI食材をトッピングして一緒に食べたりすると、血糖値の乱高下が防げます」(前田先生)
NG!パンケーキ
自粛中に作る人が続出したパンケーキも要注意のメニュー。生地だけでなく、ジャムやシロップなどトッピングで糖質量がさらに増して脂肪をため込む要因に。
NG!菓子パン
ウインナーやチーズなどのたんぱく質が入ったおかずパンはOK。気をつけるべきは甘い菓子パン。特に揚げパンなど、生地の糖に加え、油×糖のコンビが危険。
腸内細菌やたんぱく質はWで摂取すると同化しやすい!
「乳酸菌などの腸内細菌系の食品やたんぱく質は、同時に2種類以上摂取すると体の利用効率が良くなります。卵や肉などの動物性たんぱく質と、納豆や豆腐などの植物性たんぱく質を合わせるのはもちろん、動物×動物と同じタイプ同士でもOK。たんぱく質が定着して皮膚や髪など、体の組織が作られていくことを“同化”といい、この同化が進むのは、2種類以上のたんぱく質を同時にとったときといわれています」(前田先生)
ハーバード大学 医学部客員教授
根来秀行先生
ねごろひでゆき/医師・医学博士。奈良県立医科 大学医学部客員教授、杏林大学医学部客員教授、信州大学特任教授、事業構想大学院大学理事・教授。著書は『病まないための細胞呼吸レッスン』(集英社)など。
『美的』11月号掲載
イラスト/菜々子 構成/金子由佳、むらなかさちこ、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
まえだあきこ/パーソナルコンディショニングコーチ、日本抗加齢医学会指導士。女性ライフクリニック銀座・新宿のダイエット外来にて認知行動療法を取り入れた栄養や運動、睡眠などの生活習慣改善を指導。