健康・ヘルスケア
2020.5.14

朝食を抜くと太りやすいってホント? 真相を医師に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】

A:ホント

「ハーバード大学などの研究者が、被験者を対象に“朝食をとるグループ”と“朝食を抜くグループ”に分け、昼食と夕食は同じものを食べてもらうという調査をしたことがあります。すると、朝食を食べなかったグループは、食後の測定で体温があまり上がらず、熱を発散していない結果に。これはエネルギーを消費しにくいモードになったと考えられる証。実際に研究を半月続けたら、朝食を抜いたグループは、体重の差を始め、コレステロール値も高くなっていたのです。また、2004年度に617歳の男女を対象に文部科学省が行った“体力・運動能力調査”によると、少食を食べない人の方が明らかに筋肉の量が少なかったというデータも。では、なぜ、さらに体内時計のメカニズムについて説明していきます」根来秀行先生・以下「」内同)

 

体内時計をコントロールするのが時計遺伝子

「時計遺伝子からは“時計たんぱく”という、たんぱく質が作られます。この時計たんぱくを規則的に増やしたり減らしたりすることが、体内時計のリズムとなるのです。時計遺伝子は全身の細胞に存在しますが、中でも多く、中心となって働くと言われている部分が脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)。この部分で強いリズムが刻まれ、親時計となって、体内時計をコントロールします」

 

実は、人間の体内時計は24時間11分

「人間のカーサディアンリズム(身体リズム)は、1日24時間11分。時間を合わせて放って置くと、体内時計は1日24時間の地球のリズムからどんどんずれていきます。では、どうやって合わせていくのか? まず必要なのが、親時計のリズムを合わせること。これは、朝に太陽の光を浴びることでリセットされます。リセットされた親時計は、ふたつのシグナルを出します。ひとつめは、脳の松果体(しょうかたい)と呼ばれる、睡眠を促すメラトニンを分泌する部分。このシグナルによって、メラトニンの分泌をストップさせます。ふたつめは、子時計へのシグナルです。自律神経を通して全身の子時計に伝えられることで、血圧や体温、代謝の上げ下げを行います」

 

子時計を正確に動かせるスイッチのカギのひとつが朝食

「子時計の時間を合わせるスイッチは3つ。ひとつめは、先ほどもお伝えしたように“親時計からのシグナル”。自律神経を通して送られるものなので、朝日を浴びることで働きます。できれば人間と地球の時差を調整するために、何度もこまめに時間を合わせることが必要なので、他にも交感神経をオンにする方法を取り入れることも大切です。

ふたつめのスイッチは“運動”。体を動かすことで、骨格筋にあるたんぱく質が増加し、子時計のスイッチを押してくれます。全身を動かすものでなくても大丈夫で、毎朝同じ時間に歯を磨いたり、顔を洗うなどの動作でも微調整してくれるので、ぜひお試しを!

さらに3つめのスイッチが“食事”。食事を摂取すると、血液中の栄養素が増えて、体温が上がって代謝の変化が起きますよね。これこそが、子時計に直接働くスイッチに。中でも重要なのが“朝食”です。起きてから1時間以内に摂取することが、体内リズムを整えるためには必要。さらに、1日3食を同じ時間にとると、子時計の精密度が上がります。なので、朝食を摂取することは、太りにくくなることだけでなく、健康のためにもとても重要なのです。そこまで食べていないのに、一向に痩せない人と悩んでいる人は、まずは起きてから1時間以内に朝食をとる習慣を身につけてみてください」

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医師・医学博士
根来秀行先生

ハーバード大学医学部客員教授、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、杏林大学医学部客員教授、信州大学特任教授、事業構想大学院大学理事・教授。近著の『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』(集英社)ほか、ベストセラー多数

 

文/むらなかさちこ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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