「生理前になると気持ち悪い…」PMSが起こる原因と対処法を専門家が解答!
気持ち悪くなったりむくんだり、憂鬱になったりと生理前に起こる体の不調。そんなつらいPMS(月経前症候群)が起こる原因は女性ホルモンが関係している?真相を専門家に直撃!みんながしている対処法、ピルや漢方などで軽減する方法などをご紹介します。生理前後のホルモンバランスを整る「キヌア」を使ったとっておきレシピも。自分にあった対処法を見つけて少しでもPMSを軽減させましょう!
PMS(月経前症候群)はなぜ起こる?疑問に専門家が解答!
女性ホルモンに問題あり?
■PMSは女性ホルモンが正常に働いているがゆえに起こる
「生理前に現れる心身の不調、PMSの原因は諸説ありますが、女性ホルモンの異常というわけではありません。むしろ女性ホルモンの分泌量が正常に上下しているからこそ、その変動に弱い人が不調に陥りやすいという説も。また、生理前は脳内の神経伝達物質セロトニンの分泌が減少するため、感情のコントロールが難しくなるともいわれています」(松村先生)
生理前のだるさやむくみ、おなかの痛みは生理痛と関係がある?
■生理前の不調は、生理痛とは原因が異なるPMS(月経前症候群)ホルモンバランスの影響が大!
「PMSは、排卵の後、黄体ホルモンが大量に分泌される時期に起こる体や心のさまざまな不調。だるさ、むくみ、胸のハリ、精神的な落ち込み、イライラなどは、典型的な症状です。
その原因は、生理痛とは違って、実ははっきりとわかっていません。ただし、女性ホルモンの大きな変動やバランスの乱れが大きく関わっていることは確かです。PMSの症状が重くなる原因としては、ストレスや乱れた食習慣、性格などが上げられます」(吉形先生)
知っておきたい不調を打破する「対処法」4選
【1】口角を上げるだけでストレス減少!
「人は笑うと、免疫力を高めるNK細胞が活性化するといいます。口角を上げて作り笑いをしただけでも同様だそう。免疫力が上がれば、ホルモンバランスもおのずと整います。特にホルモン変動で気分にムラが出る生理前は、極力笑顔を心掛けてみてください」(成城松村クリニック 院長 松村圭子先生)
【2】食事やライフスタイルを見直そう
アヴェニューウィメンズ クリニック 院長
福山千代子先生
金沢医科大学卒。日本産科婦人科学会専門医。東京大学医学部附属病院勤務などを経て、’09年から現職。女性ホルモンの影響を受け、さまざまな悩みを抱える女性たちに親身に寄り添う診療が評判。
「生理前のイライラ、落ち込み、疲れ、眠気、肌あれなど、いわゆるPMSの症状も、それで生活に支障が出るようなら我慢すべきではありません。一度婦人科を受診して、低用量ピルや漢方薬など、つらい症状を的確にコントロールする方法を指導してもらいましょう。
また、ストレスの多い日常を見直すことも大切。ビタミン・ミネラルたっぷりの食事、適度な運動や休息、良質な睡眠など、自律神経やホルモンのバランスが自然に整ってくるようなライフスタイルを心掛けて!」(福山先生)
PMSの症状にしろ、生理の影響は人によってさまざま。我慢せず、コントロールする方法を見つけるのが賢明。
【みんながしている対処法】
- 「友達に会って気晴らし」(自営業・33歳)
- 「自分に優しくする」(主婦・28歳)
- 「自分の時間を作ってリラックス」(保育士・28歳)
- 「体を温める」(保健師・34歳)
- 「ピルを服用。カイロ、スクワットで血流を促し、ビタミンCと鉄分を摂取。ヨガでリラックスとストレス抜きも」(Webデザイナー・34歳)
- 「無理せず、生理前だからと受け止める」(会社員・31歳)
- 「ラズベリーリーフティーを飲む」(クリニック勤務・27歳)
【3】自律神経やホルモンを整える習慣作りを!
「PMSのセルフケアは、まず疲れやストレスをためがちな日常を見直すことから。 腸内環境を整える栄養バランスのいい食事、適度な運動や充分な休息、良質な睡眠 など、自律神経やホルモンのコンディションを整えるようなライフスタイルを心掛けてください。
また、 体を冷やさないことも大切 です。特に、子宮や卵巣を取り巻くおなかや腰周りは積極的に温めるようにしましょう。腹痛や腰痛がつらいときは、お尻の上の 仙骨を温める と痛みが緩和します」(吉形先生)
【4】寝る前のストレッチで体をほぐす
イシハラクリニック副院長 内科医
石原新菜先生
いしはらにいな/帝京大学医学部卒。同大学病院で研修医を経て、現クリニック副院長に着任。漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療に当たっている。そのほか、わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄で、TVやラジオ、雑誌、執筆活動と、幅広く活躍。
「寝る前にストレッチで全身をよくほぐしておくと、体も心もリラックスできて入眠がスムース。生理前の不調や生理痛の軽減にも効果的です。深く呼吸しながら、瞑想をすることも」(石原先生)
低用量ピルや漢方で軽減する方法も!
低用量ピルを飲むメリット
■バースコントロールのほか、月経困難症、子宮内膜症、PMSのつらい症状を軽減。卵巣がんのリスク軽減も!
「ピルに含まれる女性ホルモンには子宮内膜の増殖を抑える作用があり、生理痛や子宮内膜症が緩和。血中のホルモン量が安定し、PMSの改善も期待できます。また、使い続けてきた卵巣や子宮を休ませられるため、卵巣がんや子宮体がんのリスク軽減も期待できます」(浜松町ハマサイトクリニック 産婦人科医 吉形玲美先生)
漢方薬で体質改善していく方法も
PMSにおすすめの漢方薬は?
日本東洋医学会漢方専門医・指導医
堀場 裕子先生
慶應義塾大学医学部 助教・漢方医学センター医局長。日本東洋医学会専門医・指導医。日本産科婦人科学会専門医。日本漢方生薬ソムリエ。女性ヘルスケアアドバイザー。2003年、杏林大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部・産婦人科学教室入局。大学病院並びに関連病院勤務を経て、2011年より慶應義塾大学医学部漢方医学センターへ。現在は、同センター医局長として外来や、研修医の指導に携わりながら、慶應義塾大学病院の婦人科外来も担当している。
「生理前のイライラには、先ほどの加味逍遙散(かみしょうようさん)のほか、抑肝散(よくかんさん)という神経の高ぶりを抑える漢方薬を処方することがあります。イライラを抑える作用が強いのが特徴です。血流が悪く、イライラのほかに便秘がちで月経痛も強い方には、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)という漢方薬がいいと思います」(堀場先生)
桃核承気湯は血流をよくする作用が強い漢方薬。これ一つで生理前や生理中に起こりがちな痛みやのぼせ、便秘、イライラなどの症状の緩和が期待できます。
「目の周りのクマやシミ、肩こり、便秘は、血流が悪いというサイン。桃核承気湯のような血流をよくする漢方薬を飲むと、便秘がよくなり肌トラブルが出にくくなります。生理前の吹き出物ができにくくなったり、目の下のクマが少し薄くなったり、肌の色がワントーン明るくなったりする可能性は充分ありますよ。また、肩こりがよくなるので、頭重や頭痛が改善します」(堀場先生)
■温経湯(うんけいとう)|PMSを和らげる&冷え性にも効果的
イシハラクリニック副院長 内科医
石原新菜先生
いしはらにいな/帝京大学医学部卒。同大学病院で研修医を経て、現クリニック副院長に着任。漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療に当たっている。そのほか、わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄で、TVやラジオ、雑誌、執筆活動と、幅広く活躍。
脈やおなかの力が弱い虚弱なタイプの人の、月経不順や月経困難症、PMSなどを和らげる。「血虚」(血不足)を改善する薬で冷え性にも効果的。
生理前後のホルモンバランスを整える食材を使ったレシピ
キヌア入りやみつきポテトサラダ
【キヌア】
キヌアは南米原産で、古来から「母なる穀物」として珍重されてきたもの。良質なたんぱく源であり、食物繊維やカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分などが豊富で栄養たっぷり。NASAが長時間の宇宙飛行にも適した優れた栄養成分があるとキヌアに注目しており、「ひとつの食材が、人間にとって必要なすべての栄養素を網羅することは不可能だが、キヌアは何よりもそれに近いもの」と評価したこともあるのだとか。
女性ホルモンと関係するフィトエストロゲンも含むため、生理前後のホルモンバランスを整えたり、生理痛の改善、肌や髪をツヤツヤにする効果も!血糖値が上がりにくい低GI値食品なうえ、良質な脂質を含みコレステロール値を正常に保つ効果もあって、ヘルシーなボディづくりにもひと役買ってくれる。キレイに貪欲な女子にとって、まさに“とらないなんて絶対にもったいない”食材!
■材料
・キヌア……大さじ2~3
・水……150~200cc程度
・じゃがいも……2個
・玉ねぎ……1/6~1/4個
・きゅうり……1/2本
・ツナ缶……1/2缶
・オリーブオイル……大さじ1程度
・マヨネーズ……大さじ1程度
・クリームチーズ……大さじ1程度
・こしょう……適宜
■作り方
【1】鍋にキヌアと水を入れ、キヌアを炊く。中火にかけ、水気がなくなって白いヒゲのようなものが出てきたら炊き上がり。炊き上がったらフタをして10分ほど蒸らす。
【2】鍋でじゃがいもを柔らかくなるまでゆでる。
【3】玉ねぎとキュウリはそれぞれ薄切りにして(スライサーを使うと便利)、塩をふりかけて10分ほど置いてしんなりさせる。
【4】じゃがいもは茹で上がったらザルに上げて水気を切り、温かいうちにフォークでマッシュする。
【5】ボウルに4のじゃがいも、1のキヌア、手で絞って水気を切った3の玉ねぎ&キュウリ、塩こしょうを加えてざっくり混ぜる。
【6】マヨネーズと、やわらかくしておいたクリームチーズを加えて混ぜる。味が足りなかったら適宜調味料を足して好みの味に。
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
まつむらけいこ/日本産科婦人科学会専門医。広島大学医学部卒。広島大学病院等での勤務を経て、2010年に開院。女性の美と健康に関する知見を生かし、女性誌やテレビなどメディアでも活躍。女性ホルモンに関する著書も多数。