健康・ヘルスケア
2025.8.2

【眼科医が解説】“脳の日焼け”が熱中症原因に⁉目の紫外線対策が予防のカギ

酷暑が続いている今年の夏、疲労感や倦怠感、熱中症などカラダに不調が出ている人も多いのでは。その症状、『脳の日焼け』が原因かもしれません…。 目から紫外線を浴びることで起こるという『脳の日焼け』。熱中症リスクを高めるにとどまらず、シミやそばかすなど肌トラブルにもつながるんだとか。どう対策するとよいのでしょうか。「眼鏡市場サングラス新商品発表会」に登壇した眼科医の有田玲子先生に聞きました。

2024年の熱中症救急搬送者数は調査開始以降、最多…今年もすでに4万人に上る

夏の暑さが年々厳しくなる中、2024年5月から9月の熱中症による救急搬送者数は9万7,578人と2008年の調査開始以降、最多となりました。今年も5月1日~7月20日の期間の救急搬送者数は4万人を超えています。

有田先生によると、熱中症に関連した目の症状を訴える患者が増えているそう。激しい目の痛みや涙が止まらない、真っ赤に充血する、目が開けられないほどの目ヤニなどの急性期症状や、紫外線の蓄積による白内障・視力低下も見られるとのことで注意が必要です。

紫外線の強さを示す「UVインデックス」の月平均は8月が最も高く要注意

紫外線が人体に及ぼす影響の度合いをわかりやすく示すために、紫外線の強さを指標化した「UVインデックス」。3以上で「日差しを避ける」レベルとされていますが、2022年~2024年の「日最大UVインデックス」(1日の時間毎に観測したUVインデックスの最大値)の月平均を見ると、8月は「非常に強いレベルの8.1で、一年で最も高く、日中の外出を控えることを推奨するレベルとなっています。

目への紫外線が、熱中症のリスクを高める『脳の日焼け』につながる

紫外線が強くなる時季に注意したいのが『脳の日焼け』。自律神経と運動神経の中枢を担う脳が日焼けによりダメージを受けると、さまざまなカラダの不調を起こす原因に。有田先生は「脳の日焼けは、目から紫外線が入ること。網膜の部分は脳の一部なので目から紫外線が入ることは、脳が直接紫外線を浴びることを意味する」と解説しています。

『脳の日焼け』により自律神経や運動神経のバランスが崩れると、カラダの疲れやすさや集中力の低下、倦怠感につながります。さらに、「自律神経は温度の中枢でもあるので体温をコントロールできなくなってしまうと、最終的に熱中症のリスクをも高める原因のひとつになりうる」と有田先生は警鐘を鳴らします。

紫外線の目への影響とは?角膜炎、白内障などさまざまな病気のリスクに

『脳の日焼け』に限らず、紫外線の目への影響はさまざま。「紫外線によりまず涙の部分が影響を受け『ドライアイ』を引き起こし、次に角膜が炎症を起こし『角膜炎』に。特に角膜は敏感な部分なため、紫外線性の角膜炎は激しい痛みを伴います」と有田先生。

また、結膜(白目の部分)に紫外線が蓄積されると「翼状片」が発生し、水晶体への蓄積は「白内障」、網膜に紫外線が当たると日本人の失明原因2位の「加齢黄斑変性症」のリスクが増すとのこと。

さらに、有田先生は「脳が日焼けする状態にあると自分の細胞を自ら破壊する『活性酸素』ができてしまい、細胞が破壊されることで炎症が起こり、疲労感や集中力の低下、最終的には熱中症のリスクが高まります」と注意を呼び掛けています。

目への紫外線はシミ、そばかすなどの肌ダメージにもつながる

目への紫外線は、一見関係なさそうな肌ダメージにもつながるそう。「目から紫外線を受けると、脳が肌を守るためにメラノサイトを増やす指示を出し、それにより肌が日焼けした状態になりシミやそばかすなどの肌トラブルにつながります」と有田先生。これは、日焼け止めを塗っていても起こるそうなので、夏の肌トラブルを回避する
ためには、目から紫外線が入ることを防ぐことが重要となりそう。

サングラスで目の紫外線対策を!選び方のポイント

熱中症のリスクを高める『脳の日焼け』や夏の肌トラブル、将来的な目の病気の予防のために、目の紫外線対策は必須。紫外線の影響が年々深刻化する中、ファッションとしてだけでなく、紫外線対策としてのサングラスの日常使いがあたりまえとなってきそうです。

そこで、サングラス選びのポイントを有田先生に聞いたところ、4つのポイントを教えてくれました。
1、紫外線カット率99%以上のものを選ぶ
2、レンズの色ではなくUVカット機能の有無を確認
3、レンズの色はできるだけ暗くないものを選ぶ
4、顔にしっかりフィットし、隙間から紫外線が入らないデザインを選ぶ

レンズの色が暗いサングラスをかけると眼孔が広がり、水晶体や網膜に届く紫外線量が増えてしまうため、透明か薄い色のレンズがおすすめなんだとか。また、紫外線はいろいろな角度から入ってくるため、顔のサイズに合ったものを選ぶのもポイントです。

購入時は見た目だけでなく、紫外線カット機能をチェック!

目の紫外線対策が重要とされる中、SPF50+PA++++認証取得の高いUVカット効果のあるものや、裏面の反射などあらゆる角度からの紫外線を防ぐレンズ、透明度が高いながらもしっかりと紫外線対策ができるレンズなど、高機能なレンズを使ったサングラスも展開されています。購入の際は、見た目の印象だけでなく、紫外線対策機能をしっかりと確認してみるのがおすすめ。

猛暑の中の「目」の紫外線対策。まだ対策をしていない人はぜひ今年からはじめてみて!

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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