BCAAもまずは食べ物から摂取すべきってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を医師や専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「BCAA」について。BCAAもまずは食べ物から摂取すべきってホント? 管理栄養士の新生暁子さんにお話を伺いました。
BCAAって何?
「必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンの総称です。人が体内でつくることのできないアミノ酸のため、どんな人にも重要な栄養素と言えます。BCAAは筋肉のたんぱく質を構成する必須アミノ酸の中でも約35%と多くの割合を占めています。
BCAAは筋肉疲労の抑制や筋損傷を軽減する効果もあるため、特に運動をする人や筋肉のケガをした人には積極的に摂取してほしい栄養素です」
Q:BCAAもまずは食べ物から摂取すべきってホント?
体を動かすためのエネルギーや筋肉の材料となるBCAA。とても重要な栄養素なので、サプリメントなどで補給したほうが手っ取り早い気がしますが…。この疑問について管理栄養士の新生暁子さんに聞いてみました。
A:ホント
「大前提として私たちはバランスのよい食事を摂ることが基本です。サプリメントは食事だけでは不足する栄養素を補うことを目的とするものと考えてください」(新生暁子さん・以下「」内同)
栄養素は食べ物から摂ったほうが吸収されやすい?
「はい。食べ物は複数の栄養素がそれぞれ自然なバランスで含まれています。例えば魚にはたんぱく質、脂質、B群、鉄や亜鉛などのさまざまな栄養素が含まれていますよね。そして、この食材を組み合わせながら調理加工などの工程を経て料理となり、栄養素を複合的に摂取することができるのです。組み合わせることで相乗効果を発揮することもありますし、本来の機能を高めたり、吸収を促進するという利点があります。
また、食べ物にはサプリメントと違い、咀嚼が必要です。食品を飲み込みやすくし、唾液を分泌させることで消化吸収を助けます。咀嚼をすることで、唾液を出し口の中を清潔に保ったり、脳を刺激して活性化させるなど、幅広い役割を担っています。このように、食べ物を食べるという行為は吸収されやすいことだけでなく、人の体を正常に機能させるためにも、とても重要です。
そのため、BCAAもできるだけ食べ物から摂るように意識してほしいです」
BCAAが豊富な食べ物は?
「BCAAを豊富に含む食べ物には鶏むね肉、まぐろ、あじなどがあります。
運動やトレーニングの前にはエネルギー補給のため、BCAAに加えて体を動かすためのエネルギー源になる糖質や、糖質を燃やしてエネルギーに変えるのを手伝ってくれるビタミンB1を一緒に摂取するのがおすすめです。
ビタミンB1は動物性の食品に多く含まれる傾向にあり、特に豚の赤身肉に豊富です。植物性の食品であれば玄米や蕎麦、オートミールなどの穀類に多く含まれます」
足りないときはサプリメントの摂取もOK?
「はい。ただし、サプリメントは特定の栄養素を凝縮して含んたものなので、まずはバランスの取れた食事を摂ることが大切です。そのうえで食事だけでは不足する栄養素を補う程度のサプリメントを利用しましょう。
BCAAに限らずサプリメントには行政的な定義はありません。一般的にサプリメントは“特定成分が凝縮された錠剤やカプセル形態の製品”と考えられています。そのため、菓子や飲料、医薬品と類似した錠剤やカプセルまでをサプリメントと認識している人も多いでしょう。しかし、サプリメントは薬ではありませんから、あくまでも食品であることを認識して摂取するようにしましょう。
そして、サプリメントの摂取は食事の代わりにはなりません。サプリメントだけでは栄養素の過剰症を起こす危険性もあるので、サプリメントに頼りすぎないように注意しましょう。
また、近年では錠剤やカプセル形態のものだけでなく、粉やゼリータイプもあり、シチュエーションや目的によって選べる知識をもつことがサプリメント摂取をするうえで大切です。BCAAの場合は現在、粉末やタブレット・カプセル、ドリンク・ゼリータイプなどがあります。飲むタイミングやBCAAの含有量に応じてタイプを選ぶとよいと思います。トレーニングをしていたりして、1度に十分な量を摂取したい人は含有量が多いものを。食事でBCAAをたくさん摂取する人は少なめがベター。運動中や運動時間が長い場合はゼリータイプのサプリメントを使うと、簡単にネルギー補給ができ、腹持ちもよく便利ですね」
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文/土屋美緒
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
シドニーオリンピック金メダリスト高橋尚子率いる『チームQ』にて、栄養・調理担当としてチームに加わり、『チームQ』解散後はフリーの管理栄養士として活動。スポーツ選手への栄養サポートやスポーツ栄養の啓発に力を入れている。19年2月よりJリーグ 横浜F・マリノスの栄養アドバイザーを務める。