元宝塚トップ・柚香光が見つめる「強さと気高さ」。“どう生きるか”を問う『十二国記』への挑戦〈前編〉

大人気小説シリーズ『十二国記』が待望のミュージカル化。主人公のヨウコ（中嶋陽子）を演じる元宝塚歌劇団花組トップスターの柚香 光さんにインタビューを行いました。前編である今回は、作品について深くうかがいます。

『十二国記』がミュージカルに！ 柚香光さんが意気込みを語る

シリーズ累計1,300万部を突破した大人気の大河ファンタジー小説『十二国記』が、ついにミュージカルに！ 世代を超えて愛され続けている作品が、いよいよ世界初上演されます。

中嶋陽子という女子高生が現実の世界から異世界へ連れ去られ、そこで様々な経験をするという壮大なファンタジーなのですが、異世界に連れ去られたヨウコを演じるのが、柚香 光（ゆずか・れい）さん。

2024年5月に宝塚歌劇団を退団後は劇団☆新感線など話題作に出演、そして今回が東宝ミュージカル初主演と、活躍を続けています。

華のあるたたずまいとしなやかな動きで魅了する柚香さんに行ったインタビューを、2回に渡ってお届け。今回は、『十二国記』の見どころや意気込みについてのお話をうかがいました。

多様なジャンルのファンに届く熱量の高い作品に

——今回の初主演はどんな気持ちで受け止めましたか？

柚香さん：素晴らしい舞台を作り続けている東宝ミュージカルにて主演をさせていただくのは初めてですので、身の引き締まる思いです。

とても光栄であるとともに、正直に言いますと大きなプレッシャーも感じています。30年以上も愛され続けている素晴らしい作品を、素晴らしいキャストやスタッフの方とご一緒させていただくことは今から待ち遠しくもあります。

原作ファンの方にも、『十二国記』に初めて触れる方にも楽しんでいただける作品にしたいという気持ちでいっぱいです。

——『十二国記』という作品の面白さはどんなところにあると思いますか？

柚香さん：原作を読んで、困難や問題が目の前に立ちはだかったときに「あなたはどうするんですか？」と問いかけられているようでした。 自身の生き方を問われていると感じ、大きなテーマを持ったすごい作品に出合わせていただいたな と感動を覚えました。

——今回は、異世界へ連れ去られた後のヨウコを演じられます。それこそ、今までとはまったく違う世界で困難を乗り越えていかなければならない状況ですよね。どんな気持ちで演じたいと考えていますか？

柚香さん：女子高生という年齢相応の葛藤や悩みを抱えていた中嶋陽子が、それまで当たり前だったことが通じない異世界で、初めての試練に立ち向かっていくときの彼女の心の持ち方やその姿勢は、大変学ぶことが多かったです。そんなヨウコの強さや気高さを、みなさまの心にお伝えできるよう大切に演じたいです。

宝塚歌劇で培った、刀を使った立ち回りは必見！

——原作のファンタジーの世界を実際に舞台化するということで、斬新な演出が随所にあるそうですが、柚香さんが思う見どころはどんなところでしょう？

柚香さん：『十二国記』ならではの演出が「モップ」という装置なのですが、最初に演出の山田和也さんからそのお話をうかがったときは「モップってなんだろう？」と想像がつきませんでした。

登場人物が飲み込まれたり、ぬめーっと出てきたりする「モップ」が移動することによって、舞台の奥行きが変化したり空間が転換されたり、印象的な効果を発揮するのではないかなと今は思っています。

——様々な仕掛けのあるミュージカルなんですね。

柚香さん：そうなんです。壮大なミュージカルなので曲も素晴らしくて。私が演じるヨウコと、現実世界の陽子を演じられる加藤梨里香さんが心情を重ねるシーンなど、楽曲に合わせて次々に展開されていきます。

私は刀を持ちます。男役のときにも立ち回りを経験させていただき、 今回も存分に刀を振り回します（笑） 。異世界の獣たちとどのように戦っていくのかというところも、楽しんでいただければと思っています。

右／小野不由美『月の影 影の海（上）』（新潮文庫）

——東京・福岡・大阪・愛知で公演されますが、各地で楽しみにされていることはありますか？

柚香さん：同じ作品でも劇場が変わると、空気感や感じ方、お客さまとの距離などで雰囲気が大きく変わるので、4か所で公演させていただけることがとてもうれしいです。

なにより 各地のお客さまとお会いできることが楽しみ 。みなさまが「観に来てよかった」と思っていただける作品にしたいです。

——いよいよ開幕ですね！ メッセージをお願いします。

柚香さん：素晴らしい原作から放たれるヨウコの魅力をどこまでも追求して、原作ファンの方にも「こんなふうに舞台化されたんだな」とお喜びいただけるように、誠実に演じたいと思っています。

撮影では「ヨウコ」を意識した衣装を身にまとい、力強い表情を魅せてくれた柚香さん。インタビュー後編では、美容のために実践されていることやおすすめのアイテムについてうかがいます。

お楽しみに！

ミュージカル『十二国記 -月の影 影の海-』

シリーズ累計1300万部突破（2025年1月現在）の大人気小説シリーズが、日本ミュージカル界を代表するクリエイターにより、待望のミュージカル化。

【Staff＆Cast】
原作：小野不由美『月の影 影の海　十二国記』（新潮文庫刊）
脚本・歌詞：元吉庸泰
音楽：深澤恵梨香
演出：山田和也

ヨウコ（中嶋陽子）：柚香 光
陽子（中嶋陽子）：加藤梨里香
楽俊：太田基裕・牧島 輝（Wキャスト）
蒼猿：玉城裕規
舒栄：原田真絢
延王：章平
景麒：相葉裕樹

【公演情報】
＜東京公演＞
2025年12月9日(火)～29日(月)
会場：日生劇場

＜福岡公演＞
2026年1月6日(火)～11日(日)
会場：博多座

＜大阪公演＞
2026年1月17日(土)～20日(火)
会場：梅田芸術劇場 メインホール

＜愛知公演＞
2026年1月28日(水)～2月1日(日)
会場：御園座

公式サイト

柚香 光
ゆずか・れい／1992年3月5日生まれ、東京都出身。元宝塚歌劇団花組トップスター。2009年に95期生として入団し、宙組大劇場公演『Amour それは…』で初舞台を踏む。花組に配属され、2014年『ラスト・タイクーン —ハリウッドの帝王、不滅の愛—』で新人公演初主演。その後キャリアを積み、2019年トップスターに就任。2024年『アルカンシェル』で宝塚歌劇団を退団。舞台を中心に活動を続け、2026年には『エリザベート TAKARAZUKA30th スペシャル・ガラ・コンサート』、舞台『ハムレット』への出演が決まっている。
▶︎公式サイト
▶︎Instagram：@yuzukaray.official

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撮影／大靏 円（昭和基地）　ヘア／小林雄美　メイク／佐藤裕太　スタイリスト／宮増芳明　構成・文／淡路裕子

※価格表記に関して：2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。