健康・ヘルスケア
2021.10.27

プレ更年期、PMS、月経痛…女性特有の不調におすすめの漢方薬は?【女医に訊く#171】

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わたしたち女性の身体は、女性ホルモンの分泌の影響で、冷えたり、むくんだり、イライラしたり…。今回は、プレ更年期、PMS、月経困難症など、女性特有の不調に効果が期待できる漢方薬について、慶應義塾大学漢方医学センター医局長の堀場裕子先生にお話をうかがいました。

プレ更年期って?

 

プレ更年期という言葉を聞いたことがありますか? 日本人の平均閉経年齢は約50歳といわれており、「更年期」はこの閉経前の5年間と閉経後の5年間とをあわせた10年間のこと。早い人では40代前半、遅い人では50代後半に閉経を迎えます。つまり、早い人では40歳前後に「プレ更年期」がやってくることになります。

「プレ更年期は最近、ゆらぎ期とも呼ばれています。症状はあるのに家族や職場の人に理解されにくく、我慢したり悩んでいる女性が多くいます」と話すのは、慶應義塾大学漢方医学センター医局長で婦人科医の堀場裕子先生。

「プレ更年期を迎えると、イライラ、ホットフラッシュ、冷え、のぼせ、不眠、やる気が出ない、だるいなど、更年期症状と同じような“ゆらぎ”を感じはじめる女性が多くなります。これらのゆらぎは、閉経に向けて女性ホルモンが減少していくことによって引き起こされます」(堀場先生)

プレ更年期におすすめの漢方薬は?

「プレ更年期を迎えると、急な感情や体調の変化にストレスを感じ、動悸やめまいを起こしたり、気分の浮き沈みが激しくなったりすることがあります」と堀場先生。では、そんなときにおすすめの漢方薬はあるのでしょうか?

「精神状態がアンバランスなときによく使うのが、加味逍遙散(かみしょうようさん)という漢方薬です。加味逍遙散は年代を問わず出すことが多く、ホットフラッシュや不眠など典型的な更年期症状を訴える方はもちろん、マリッジブルーや生理前のイライラに悩む20代の女性に処方することもあります」(堀場先生)

PMSにおすすめの漢方薬は?

月経1週間くらい前になると、イライラ、落ち込み、むくみ、めまい、疲れ、下腹部痛、便秘、眠気、不眠など、さまざまな不調に悩まされていませんか? このような症状はPMS(月経前症候群)と呼ばれています。

PMSは月経周期に伴う女性ホルモンのバランスの変化が原因で起こると考えられています。ホルモンバランスを整える低用量ピルで治療することもありますが、体質や症状に合った漢方薬を服用することで、PMSの改善もできます。

「生理前のイライラには、先ほどの加味逍遙散のほか、抑肝散(よくかんさん)という神経の高ぶりを抑える漢方薬を処方することがあります。イライラを抑える作用が強いのが特徴です。血流が悪く、イライラのほかに便秘がちで月経痛も強い方には、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)という漢方薬がいいと思います」(堀場先生)

桃核承気湯は血流をよくする作用が強い漢方薬。これ一つで生理前や生理中に起こりがちな痛みやのぼせ、便秘、イライラなどの症状の緩和が期待できます。

「目の周りのクマやシミ、肩こり、便秘は、血流が悪いというサイン。桃核承気湯のような血流をよくする漢方薬を飲むと、便秘がよくなり肌トラブルが出にくくなります。生理前の吹き出物ができにくくなったり、目の下のクマが少し薄くなったり、肌の色がワントーン明るくなったりする可能性は充分ありますよ。また、肩こりがよくなるので、頭重や頭痛が改善します」(堀場先生)

月経困難症におすすめの漢方薬は?

月経痛がひどくて、会社を休んだり鎮痛剤を飲んだりしていませんか? 月経痛は背後に子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が隠れていることもあるため、まずは婦人科で検査を受けてみましょう。特に原因となる病気がない場合は、漢方薬による治療もおすすめです。

「レバー状の血の塊や目の下にクマが強く出るような血流が悪いタイプの月経痛で、便秘を伴うなら先ほど出てきた桃核承気湯を処方します。便秘がないなら桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を処方することが多いですね。冷えが強い、むくむ、月経不順がある場合の月経痛には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)が効果があります」(堀場先生)

体質や症状に合った漢方薬を服用することでプレ更年期の不調、PMS、月経痛の改善する可能性があります。体調を少しでもよくして、充実した毎日を過ごせるといいですね。

*日常生活や仕事に差し支えるほどの月経痛は月経困難症という病気かもしれません。我慢したり市販の鎮痛剤だけで対処したりせずに、婦人科を受診してみましょう。

 

日本東洋医学会漢方専門医・指導医

堀場 裕子先生

慶應義塾大学医学部 助教・漢方医学センター医局長。日本東洋医学会専門医・指導医。日本産科婦人科学会専門医。日本漢方生薬ソムリエ。女性ヘルスケアアドバイザー。2003年、杏林大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部・産婦人科学教室入局。大学病院並びに関連病院勤務を経て、2011年より慶應義塾大学医学部漢方医学センターへ。現在は、同センター医局長として外来や、研修医の指導に携わりながら、慶應義塾大学病院の婦人科外来も担当している。

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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