イソフラボンの摂りすぎはNG? 気になる効果と注意点
大豆イソフラボン=「女性ホルモンを増やす」と思っている方も多いようですが、実は、直接女性ホルモンになるわけではないようです。摂取の注意点なども含め、専門家と医師に詳しく解説してもらいました。
イソフラボン摂取による「5つの効果」
【1】イソフラボンに似た物質の「エクオール」が増える
「大豆食品を食べたからといって、女性ホルモンが増えるわけではありません。大豆食品含まれる大豆イソフラボンによって、エストロゲンと似た働きをするエクオールが作られるということ。それが、加齢によって分泌量が減り、更年期障害などの要因となるエストロゲンの作用を補うといわれています」(浅野先生)
【2】「エクオール」が増えると「脂肪」や「PMS(月経前緊張症)」や「更年期症状」の改善に期待できる
産婦人科専門医
吉形玲美先生
浜松町ハマサイトクリニック 婦人科医。医学博士、日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、日本女性栄養代謝学会幹事。東京女子医科大学医学部卒業後、同大学産婦人科学教室入局、准講師を経て、現在非常勤講師に。2010年7月より浜松町ハマサイトクリニックに院長として着任。現在は同院婦人科診療のほか、多施設で女性予防医療研究に従事している。更年期、妊活、生理不順など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。
エクオールをつくれる人は内臓脂肪と体脂肪が少ない傾向に。
(※女性ホルモン(エストロゲン)が分泌されなくなる50〜60代の女性対象にした結果)
「ほかにも、エクオールをつくれる人はPMS(月経前緊張症)や更年期症状が軽いことや骨密度が減りにくいこと、また、エクオール摂取による更年期障害やメタボリック症候群の改善、肌機能への効果などが研究で示されています」(吉形先生)
【3】2日に1回で「血管炎症」「脳梗塞」に対するリスクが下がるというデータが
大豆食品を2日に1回など、週4回ほどの摂取することで女性では血管炎症、脳梗塞などの疾患に対するリスクが下がるというデータも出ている。
【4】「乳がん」予防のヒントになるかも
乳腺科・乳腺放射線診断科
認定NPO法人 乳房健康研究会 副理事長
島田 菜穂子 院長
筑波大学医学専門学群卒業後、筑波記念病院およびつくばメディカルセンター放射線科にて従事。東京逓信病院、米国ワシントン大学メディカルセンターブレストヘルスセンター留学、都内クリニックを経て、2008年ピンクリボンブレストケアクリニック表参道開設。患者ひとりひとりの心に優しく寄り添いながら、乳がんに関する正しい情報の発信と、死亡率低下に貢献するためのピンクリボン活動を展開している。
「ホルモンバランスを崩しがちな方には、大豆製品や場合によってはサプリメントを薦めることもありますよ。
また最近の研究では、大豆製品を良く摂る方の方が乳がんになるリスクが減る可能性が示唆されています。お味噌汁やお豆腐、納豆など日本の伝統的な食習慣は女性ホルモンのバランスや乳がん予防のヒントになるかもしれません」(島田先生)
【5】エクオールは腸内細菌との相乗効果で「加齢臭」を抑制する効果も期待できる
内科医・認定産業医/tenrai株式会社 代表取締役医師
桐村 里紗先生
予防医療を“ライフスタイルデザイン”再定義し、生活者の行動変容を促すコンテンツ開発を行う。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)など
「更年期から閉経後は、どうしても男性ホルモンの働きが強くなります。これを補うのが、女性ホルモン・エストロゲンとよく似た働きをする“エクオール”。皮脂の酸化という加齢臭の発生メカニズムを抑制する効果があります」(桐村先生・以下「」内同)
「大豆などに含まれる抗酸化成分・イソフラボンは、女性ホルモン様の作用があることが知られていますよね。でも実は、イソフラボンそのものではなく、腸内に暮らす常在菌・エクオール産生菌によって、イソフラボンがスーパーイソフラボンと呼ばれるエクオールに変わることで、その効果を発揮していたことが分かったのです」
「日本人の半分くらいの人の腸内には、エクオール産生菌が定着しています。大豆や小豆などをしっかり食べることで、エクオールを腸内で分泌してくれます。しかし、定着していない残り半分の人は、自力ではエクオールを作ることができません。この場合、エクオールをサプリメントで補うほか、エクオールを生産するビフィズス菌BB536を積極的に摂ることをおすすめします。抗酸化作用を持つ野菜や海藻類に含まれるファイトケミカルやビタミンA/C/E、亜鉛、鉄などもしっかり摂取すると、なおよいですね」
イソフラボンの摂りすぎに関する注意点
「女性疾患」を持っている人にはリスクになることも
「女性疾患が多い方に関してはエストロゲンが増えることがリスクになることもあるので、大豆食品の大量摂取はご注意下さい」(浅野先生)
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて1万8千人以上の栄養相談を実施。その経験を生かし、健康経営サポートや商品開発、人材育成、健康サービスコンサルティングを得意とする。コンビニや外食を使った実践型栄養アドバイスをフィールドワークとし、「コンビニ外食健康法」などの講演が人気を呼び、年間100時間以上の講演を行う。メディアや雑誌にも多数出演。新著に『血糖値は食べて下げる寝て下げる』(アスコム)『血糖値を下げる夜9時からの遅ごはん』(誠文堂新光社)『コンビニ食・外食で健康になる方法』(草思社)。夕刊フジで「きょうから実践 外食・コンビニ健康法」毎週水曜 連載中。