女性ホルモン様成分「エクオール」ってどんなもの?どう取り入れるの?|女医に訊く#46
巷に溢れるダイエットサプリ。なかでも、近年、女性ホルモンと似た働きをする「エクオール」のサプリが女性の身体と心の健康の鍵を握る成分として注目されています。「エクオール」の臨床研究をリードしている産婦人科専門医の吉形玲美先生に、その効果と摂取方法をうかがいました。
ダイエットに有効?注目成分「エクオール」とは
前回のお話で、エストロゲンには内臓脂肪をつきにくくしたり、食欲をコントロールしたりする役割があり、エストロゲンが優位に出ている卵胞期は、ダイエットに最適であることがわかりました。そして近年、このエストロゲンと同じような働きをする「エクオール」という栄養素が注目を集めています。
「エクオールは、大豆を食べた際に摂取できるイソフラボンが、腸内細菌により変換されて生み出される代謝産物。エストロゲンと構造が似ており、体内に吸収されると血液に運ばれ、エストロゲンのように全身に作用してくれます」と吉形先生。
吉形先生の研究では、女性ホルモン(エストロゲン)が分泌されなくなる50〜60代の女性で、エクオールをつくれる人とつくれない人を比較したところ、エクオールをつくれる人の内臓脂肪と体脂肪は圧倒的に少なかったそう。
「ほかにも、エクオールをつくれる人はPMS(月経前緊張症)や更年期症状が軽いことや骨密度が減りにくいこと、また、エクオール摂取による更年期障害やメタボリック症候群の改善、肌機能への効果などが研究で示されています」(吉形先生)
エクオールを増やすには発酵大豆食品と食物繊維がカギ
女性の健康の鍵となるエクオール。ですが、すべての人が体内でつくり出せているわけではありません。吉形先生が最近の研究で20〜80代の女性を調査したところ、どの世代も30%ほどの人しかエクオールをつくれていないことがわかりました。
「エクオールをつくれる人とつくれない人との差は、腸内環境にあります。エクオールはエクオール産生菌と呼ばれる腸内細菌が、食べた大豆イソフラボンを変換することでつくられます。エクオールをつくり出すには、この腸内細菌が活発に働いていることが重要なのです」(吉形先生)
腸内細菌のエサとなる食事成分に、食物繊維があります。味噌や納豆などの発酵している大豆食品に加え、根菜や海草、キノコなど、食物繊維の豊富な食材を毎日の食卓に取り入れることで、腸内環境を改善し、エクオールをつくれる体を目指しましょう。
「特に食物繊維については、1日の摂取推奨量が17gなのに対し、現在の若い世代は平均12gしか摂取していません。そのため意識して摂取を増やすことが大事です。食物繊維は食事から摂取するのであれば、一つの食品目ばかり食べるなど極端なことをしない限り過剰摂取について心配はないと思います」(吉形先生)
エクオールサプリメントを選ぶポイントは含有量と品質
約7割の人がつくれていないというエクオールですが、最近は、サプリメントで直接エクオールを補うことができるようになりました。
「エクオールサプリメントの中心ターゲットは、更年期やメタボリック症候群を意識し始める40代以降の女性です。しかし、栄養素としてどなたでも飲むことができます。若い世代の方でしたら、肌荒れや抜け毛対策、PMSが気になる方などにもおすすめです(ただし過剰摂取に注意し妊娠中の方はお控えください)」と吉形先生。
サプリメントを選ぶときは、どのようなことに注意したらよいのでしょう?
「サプリメントは足りない食材や栄養素を効率よく補うものであって、薬ではありません。加工食品と同じように、添加物が多いものなど品質はまちまちです。購入するときは、添加物や着色料、目的の栄養素がどれだけ入っているかをチェックしましょう」
ちなみにエクオールの場合、更年期症状の改善には1日10 mg摂取する必要があるとされています。エクオールのサプリについても、原料や含有量、そして製造国や製造方法などをしっかり確認して、安心・安全なサプリメントを選択しましょう。
文/清瀧流美 撮影/黒石あみ
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