食・レシピ
2012.11.6

西の国美的通信vol.29 季節に見合った薬膳料理で体調管理@福岡(天地礼心)

>>前回の続きです

「麦門冬入り家鴨ときの子の薬膳スープ」(¥2,000)
「桔梗と冬虫夏草の梨和え」(¥1,000)
「百合根とホタテの菊の花煮」(¥1,500)
福岡市内を一望できる眺めのいい店内。客席はテーブル席のほか、円卓、堀ごたつ式2タイプの個室がある。

オーナーの尹玉さんによれば、「五行説の秋に対応する五臓は肺。東洋医学でいうところの肺は、呼吸器に関連する皮膚、鼻、口のほか、大腸までのことを指します。つまり秋の気温の低下や空気の乾燥などによって、咳や喉の痛み、鼻づまり、喘息だけではなく、皮膚がかさついたり、便秘や下痢といった症状があらわれやすい時期なのです」。そういわれれば、今の時期、風邪をひいて喉を痛めている人や肌の乾燥による皮膚トラブルを抱えている人が多いこと。私自身、風邪まではひかないにしても、冷えた朝などには多少の喉の痛みを感じることも多々あります。

「中国では呼吸器系の不調が広がる秋に、予防に適した食材を食べるんですが、その中でも代表的なのが家鴨なんです」。「家鴨? どんな味なのだろう」と想像できずにいると、察してくれたのか「食べてみますか?」と尹玉さん。こうして秋に最適な料理を、数種類作ってもらえることになったのです。

最初にいただいたのが、「麦門冬入り家鴨ときの子の薬膳スープ」。食した感想は、やはり家鴨も鶏は鶏。鶏肉の味でした(笑)。ただ地鶏のような感じで、ほとんど気にならない程度のクセはあったのですが、全体的にあっさりとしたスープでとてもおいしくいただくことができました。「家鴨は日本人には馴染みがないと知っていましたが、恐るおそるメニューに出してみるとなかなか評判よかったですね」。ちなみにこのスープは美肌にも期待できるそうで、とりわけ美容意識の高い女性に人気なのだそうです。

続いて「桔梗と冬虫夏。草の梨和え」と、「百合根とホタテの菊の花煮」をいただきました。桔梗や百合根は肺を潤し、のどの痛みを和らげてくれる秋におすすめの食材だそうで、いずれも食感、味ともに実にいい塩梅で、ついつい箸が進んでしまったほど。こういった料理は、季節のおすすめメニューとして同店でも味わえますが、自宅でも気軽に作れて、毎日を健やかに過ごせるのならどんなに素晴らしいことでしょう。これまでもクコの実や松の実、棗などは使っているものの、ちゃんと薬膳の知識と技術を身につけたい。そんな欲求が私を薬膳の学校へ通わせることになったのです。

同店では定休日の日曜日に「東方薬膳学院」という薬膳の学校を開講しています。以前、別の取材でもこの講座にお邪魔したことがあったのですが、中国薬膳大使の中国語を尹玉さんが訳して講義が進められるという、まさに本場さながらの本格的なものでした。さらに、机上の空論では終わらない、日常生活にも生かせる実践的なものだったことにも好感が持てました。

まずは初級からということで、早速10月から4期生として通いはじめたのですが、これがなかなか面白い。講義後半は今回ご紹介したような季節に見合った薬膳料理の実習、つまり季節の食養生もはじまります。美容の側面からも期待できる薬膳講座の様子は、初級講座が終わる半年後にまたレポートいたします。

<取材協力>
薬膳 天地礼心 東方人康食養館
http://shokuyokan.com/

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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