健康・ヘルスケア
2022.1.21

「気が弱い」人の特徴? メンタルヘルスの専門家が教える克服法

自分は「気が弱いな」と思うことがありますか?なんとなく不安を抱えたりモヤモヤしたり、メンタルが弱くなることは誰にでもあること。そんな弱メンタルな自分と上手に付き合っていくためのコツをメンタルヘルスのプロが教えます!

まずは今の自分の「メンタルの弱さ」を知ろう!

当てはまる項目はいくつ?メンタル弱い度

心理カウンセラー「LOGOSCOPE」代表

片田智也さん

あなたの今のメンタル・レべルをCHECK

  • お願いされると反射的に「YES」と言ってしまう
  • 周囲からどう見られているのか、妙に気になる
  • SNSでの反応や「いいね!」の数が気になる
  • 同僚や友人、親しい人の幸せを素直に喜べない
  • イヤなことがあると翌日以降も引きずる
  • 「○○しないといけない」とよく言う
  • 空気を読んで自分の意見を控えることがよくある
  • ミスや失敗がないか、しつこく確認する
  • 最近「うれしい、楽しい、面白い」と感じていない
  • 初対面の人と話す際、しどろもどろになる
  • 優劣や勝ち負けなど、つい他人と比較する
  • 周囲の人の気分に振り回されてつらいときがある
  • 想定外の出来事が起きると、とり乱す
  • 「私は必要な人間ではない」と感じることがある
  • 何も言われていなくても責められている気がする
チェックの数が多い程、メンタルが弱っていて深刻な状態

0~2個|強メンタルさん

落ち込むことはあるけれど、クヨクヨ悩まず、立ち直りは早い方。

3~7個|やや弱メンタルさん

人の自分に対する評価が気になりがちだが、長くは引きずらない。

8~12個|弱メンタルさん

メンタルの弱った状態の負のスパイラルから、なかなか抜け出せない。

13~15個|超弱メンタルさん

常に不安や恐怖がつきまとい、自己否定感が強いため、生きづらい。

「弱メンタル」さんが生きやすくなる【ヒントその1】

Point

メンタルが弱った自分との向き合い方が大事!

「普段から落ち込むことが多かったり、失敗や不安を引きずりやすい人は、自分で自分を“メンタルが弱い人”と決めつけがちです。でも、元々“メンタルが弱い人”はいません。そのとき“メンタルが弱っている”だけで、誰にでもあることです」と、心理カウンセラーの片田智也さんは話します。

「重要なのは、その負の感情をどう捉え、この先、どう付き合っていくか。無駄に自己否定を続けると、“ずっとメンタルが弱っている状態”のままで、不調になることも。つらい状況も前向きに捉え、自分自身をうまく励ますことができれば、それが強さの材料になるのです」(片田さん・以下「」内同)

「弱メンタル」さんが生きやすくなる【ヒントその2】

Point

弱メンタルの中核にあるのは「不安」な気持ち

「メンタルが弱くなる背後には、物事や人に対する漠然とした『不安』が潜んでいます。悲しみや怒り、恐怖…などの強い感情に行き着く前の、モヤモヤ、ザワザワ、ピリピリとした気持ち。コロナ禍で“弱メンタル”の人が増えているのも、はっきりしない不安が一因でしょう。ただし、不透明な不安は、正体がわかった途端に和らぐという研究も。心がザワついているときは、一歩引いて原因を考えてみてください」

「弱メンタル」さんが生きやすくなる【ヒントその3】

Point

不安や落ち込みは「自然な弱さ」。否定すべき感情ではない!

「メンタルは、強いか弱いかの軸ではなく、図のように自然か不自然かを加えた軸で捉えることが必要。不安や落ち込みは、誰にでも起こる自然な感情です。その自然な弱さを“情けない”などと嘆くのは不自然な弱さ。一方、“早く忘れないと”と強がるのは不自然な強さです。実際、メンタルの自然な強さ・弱さに善し悪しはありません。感情をそのまま素直に受け入れて、不自然な強さ・弱さに向かわせないことが大切です」

「弱メンタル」さんが生きやすくなる【ヒントその4】

Point

自然な弱さは防御反応。「未来の危険に備えなさい」という前向きな警告!

「人間の感情をつかさどる脳の仕組みは、実は何万年以上も前の狩猟時代から進化していません。私たちの祖先が、獣や飢餓、災害などから身を守る中で抱いてきた不安や恐怖の感情は、自然な弱さであり、未来の危険に備えるための防御反応。それは現代人でも同じことです。この先に起こる出来事に恐怖を感じるからこそ不安を抱き、失敗しないように事前に準備をする。つまり、前に進むためのポジティブな警告と捉えるべきなのです」


自分の弱メンタルと上手く付き合うための「3つのルール」

心理カウンセラー「LOGOSCOPE」代表

片田智也さん

【ルール1】不安になっても自己否定しないこと

「誰にでも起こる不安や落ち込みの感情をいつまでも引きずって、そのうち自分は“メンタルが弱いからダメなんだ”と自己否定を始める人がいます。自然な弱さを否定するのは、“トイレに行きたい”という生理現象を否定するようなもの。用な自己否定を繰り返していると、自分のことが嫌いになるだけ。自然な弱さを受け入れて、これから行動を変えるきっかけにすれば、弱さから逃げなかったとき、自分に自信が生まれてくるはず」(片田さん・以下「」内同)

【ルール2】メンタルが弱くなることは人間らしさと認めること

「不安や落ち込みの感情には、必ずそう感じるにふさわしい理由があるはずです。理由があって落ち込んでいるのなら、むしろ健康的。メンタルの強い人はそう考えます。でも、メンタルが弱っている人は、その理由を自分の中に探し当てて×をつけようとするのです。世間の判断は○か×だけではありません理由があって落ち込むのは“人間らしいことだよ、大丈夫!”。そう自分に言い聞かせてみると、ふっとラクになるのでは?」

【ルール3】不安や落ち込みは自分を守るものと考えること

「コロナ感染への不安が、ソーシャルディスタンスやマスク装着といった自分の身を守る行動につながっているように、メンタルの弱さが備えを生む状況は多々あります。パフォーマーやアスリートが大きな舞台や試合の前に練習を重ねるのも、本番への不安があるからこそ。弱さは自分の守り神だと考え、備えとなる行動をとるのが正解です」


弱メンタルさんがラクに生きるための「6つのメンタルマネジメント法」

心理カウンセラー「LOGOSCOPE」代表

片田智也さん

【実践法1】深呼吸&腹式呼吸をする

呼吸を深める→ゆっくり腹式呼吸をすることで心が安定

  1. 背筋を伸ばして胸を軽く開き、口をすぼめて長くゆっくりと息を吐く。
  2. おなかの空気を全部出すイメージで吐き切ったら、自然に鼻から息を吸い込む。
  3. おなかが膨らんだら、3秒程息を止め、再度ゆっくりと息を吐く。
  4. これを5回程繰り返す。慣れたら回数を増やして。

「感情は自律神経と密接な関係をもっていて、緊張や不安を感じているときは交感神経が優位な状態です。乱れた自律神経を意識的に整えられる唯一の方法が呼吸。不安なときは呼吸が浅く速いのですが、深くゆっくりと息を吐くことで、副交感神経が優位になり、不安を軽減できます」(片田さん・以下「」内同)

【実践法2】思っていることをノートに書き出す

感情を言葉にする→出来事を客観的に把握できて安心

  1. ジャーナリングは別名“書く瞑想”。気持ちを鎮め、手を止めずに書き続けることがポイント。
  2. 5W1Hの事実と、内なる感情は線で分けて書くようにする。

「起きたことの5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)と、そのときの感情を書き留める“ジャーナリング”は、 自分を客観的に把握できる行為。安心感につながります。ただし、悪口で埋め尽くすのは、マイナス感情をあおるのでNG」

【実践法3】人と共有・共感する

信頼している人と話す→理解者の存在が安心につながる

話をして安心できるのは、『共感』『協力』『共有』をし合える相手。自分の悩みを親身になって聞いてくれる友人が理想的。

「人は社会的な動物のため、困ったら助けてくれる仲間がいることが、安心感の源泉になります。自分が感じている不安について同じ温度感で共感し、勇気づけてくれる人が◎。ただし、弱メンタル同士だと不安が強まるため、逆効果です」

【実践法4】笑える動画を見る

笑う時間を作る→笑い=リラックスの証

動物の赤ちゃんなど、可愛くてつい微笑んでしまうような動画は、リラックス効果が大。好きなエンタメやお笑いを観るのも有効。

「通常、笑っているときは、リラックスしているとき。精神的に安心安全な状態です。うそ笑いではなく、心から笑えるシチュエーションを作ることで、不安や落ち込みの感情から解放されます。大笑いする必要はありません。ふっと気を抜ける程度でも、習慣的に笑う時間をもつことは大事です」

【実践法5】同じ動作を繰り返す作業をする

手作業に集中する→単純な作業に没頭すると不安を忘れられる

料理に集中するのも◎。特に餃子を包むなど、同じ動作を繰り返す作業は、無になれて、不安や落ち込みの感情を忘れられる。

「不安を感じているときは、手や足を動かすことで、安心感を得やすくなります。貧乏揺すりもそのひとつ。例えば、編み物などの単純作業に没頭するだけで、気持ちが安定してくるものです。逆に、未来に起こるかもしれない危険に対して、ザワつく気持ちを抱えながら何もしないのは、不安を募らせることに」

【実践法6】日常の中で出来る運動を習慣にする

運動をする→心拍数UPや筋肉の緊張が、その後のリラックスにつながる

運動をノルマ化するとストレスになるので、通勤時にエスカレーターではなく階段を使うなど、無理なくできることを習慣に。

「運動をすると心拍数が上がって、筋肉が緊張します。そのときは精神的にも緊張を感じますが、運動後は自然にほぐれてリセット。運動で血流が促されることも、心の安定につながります。頭でリラックスしようと思うと、かえって緊張してしまうので、考えるよりも体を動かす方が早くて効果的!


不安やモヤモヤから心を安定させるための「5つのキーワード」

婦人科医、心療内科医

小野陽子 先生

心療内科・精神科を主とする『川村総合診療院』院長

川村則行先生

一級キャリアコンサルティング技能士

鵜飼柔美さん

【キーワード1】運動

Point

運動することで“脳の栄養”が3倍も増える!

心療内科医が“メンタルの安定に絶大な効果がある”と太鼓判をおすのが、適度な運動。

「運動をすると、脳由来神経栄養因子(BDNF)が増加します。BDNFは、脳の記憶や思考、感情などに関わる部位で活発に働いていて、いわば脳の栄養。運動するだけで、脳のBDNFが約3倍増えるという報告もあります。手軽でおすすめなのが歩くこと。できれば毎日同じべ―スで週に5万歩を目標に」(川村先生)

【キーワード2】睡眠

Point

理想は毎日7~8時間。寝る時間と起きる時間を一定にするのが大切

リモートワークなどで生活リズムが夜型になっている、仕事に家事に忙しく常に睡眠不足、という人は要注意。

睡眠環境が悪いとサーカディアンリズムが乱れ、自律神経失調症になりやすくなります。眠は毎日規則正しく、起床時間と就寝時間を一定にして、1日7~8時間寝るのがベスト。とはいえ日々忙しく睡眠時間がとれない、夜なかなか寝つけないという人は昼間に25分程仮眠をとってリカバリーしましょう」(川村先生)

【キーワード3】日光

Point

幸せホルモン「セロトニン」が増えて1日元気に過ごせる

朝起きたら、まず日光を浴びることで不安やモヤモヤをリセット!

日光を浴びると体内時計や自律神経系が整って、やる気スイッチがオンに。さらに、幸せホルモンであるセロトニンの分泌が促されるので、ストレスそのものを解消する効果も。朝日を浴びるのは5分程度でOK。紫外線ダメージが気にならない程度の外気浴を心掛けて。日中も日光が入る明るい部屋で過ごすのが理想的です」(小野先生)

【キーワード4】かかりつけ医

Point

気軽に頼れるドクターを見つけることは自分を守る褒められるべき行為

心療内科、婦人科はハードルが高いと思いがちですが、現場の医師によれば少しでもおかしいと思ったら気軽に受診してほしいとのこと。

「たとえ日常生活に支障がない程度でも、早めに受診した方がつらい症状は早く治まります。心と体はリンクしているので、“私は疲れるとメンタルが弱ってくる”など、自分のイエローカードを知っておくことも大切。グラン世代は“体に気をつけて、心に気をつけて”が基本です」(小野先生)

【キーワード5】会話

Point

“話す=離す=手放す”に。話すことで自分を客観的に見られる

心がゆらいだときには、信頼できる人やプロのカウンセラーに話を聞いてもらうのも効果的。

「話すというのは、心にあるものを可視化する行為。不安やモヤモヤを第三者に聞いてもらうことで、初めて自分の状況を客観的に見られたり、本当の気持ちに気づくことも多いんです。カウンセリングの現場でも選択肢を並べて、選ぶのはあなたですよというスタンス。自分で納得できると後悔が少なくなります」(鵜飼さん)

 

40代以降の女性は特にメンタル弱くなりがち!アンケートから見るみんなの不安

Q.心がネガティブにゆらいでしまうことはありますか?

『美的GRAND』読者へのアンケートでは、84.4%がネガティブな心のゆらぎを実感。自分事だけではなく、社会でも家庭でも多くの責任や役割を抱える世代だけに、悩みも複雑かつ深刻に。
(2021年7月実施 n=45)

グラン世代(40代以降)の8割以上がプチうつに!?

仕事の責任、家庭での役割、etc.ままならないことが多く、心身ともに疲弊しがちに……

8割以上の人が“心がネガティブにゆらいでしまうことがある”と回答しました。詳細を聞くと“不安”“モヤモヤ”“生きづらさ”などの言葉が目立ち、単にコロナの影響とはいえない、40代以上の女性ならではのストレスや複雑な心の内が見てとれます。

国内のうつ病患者数を見ても、男性の患者数は49・5万人に対し、女性は78・1万人(厚生労働省の患者調査:平成29年)と女性の方が多く、年代別で最も多いのは40代女性となっています。

グラン世代の“心のゆらぎ”は大きく3つ!

生きづらさ
コロナ禍による世相の変化で閉塞感をもつ人が多いだけでなく、「結婚すべき」「家事は女性の仕事」など従来の価値観から脱却できずに生きづらさを感じるケースも。

モヤモヤ
社会人、母、妻など与えられた役割をこなすうちに年月が過ぎ、自分らしく生きている実感がもてなくなりモヤモヤ…。このままでいいのかと焦っている。

不安
更年期による体の不調を感じたり会社の体制の変化や親の介護など、予期せぬ変化が訪れやすいグラン世代。先の人生にビジョンが描けないと漠然と不安を抱えてしまいがちに。

Q.心がゆらぐ原因やエピソードを教えてください

【不安】
「独身で仕事をしていますが、世代交代を感じています。また、同年代の人たちの子供が大きくなり話題にも入れず、 社会から取り残された気分が常にあります 」(専門職・40歳)

【モヤモヤ】
「主人の在宅ワークでのサポートが大変です。気を遣うことが多くなりました。子供も成長に伴い自己主張が強くなり、 家族を支える毎日が幸せなような、つらいような…。 」(主婦・45歳)

【生きづらさ】
「コロナで仕事の仕方が今までとかなり変わり、 今後どう対応していけば良いのか不安 になる。まじめな性格が災いして生きづらくなっているのでは、と思うと疲れる。」(保育士・40歳)

【モヤモヤ】
「同じ会社に勤めて早24年。いつの間にか管理職という立場に。 やりたい仕事かと問われるとそうではなく、生活のためだけに働いている。 このままでいいのか、モヤモヤした日を過ごしています。」(管理職・48歳)

【不安】
「最近、 更年期で生理不順になり動悸などの症状 も出てきました。これからどのような症状が出てくるのか、これがどのくらい続くのか不安です。」(主婦・51歳)

 

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事