健康・ヘルスケア
2021.3.28

その不調「天気病」のせい?医師などに聞く原因や症状・対策

約9割の人が悩んでいるという「天気病」。今回は、医師に原因やメカニズム・症状・対策を教えていただきました。季節の変わり目や気圧の変化で起こるため、自律神経をきちんと整えることが大事なようですよ。

自分が当てはまるか「天気病」チェック

94%もの女子が天候に影響を受けている!

(有効回答252人、2018年4月9日~4月13日)
Q1 天候が体調に影響していると感じますか?

 

気象病診断テスト

  • 天気が変わるときに体調が悪い
  • 雨が降る前や天気が変わる前に、なんとなく予測ができる
  • 耳鳴りやめまいが起こりやすい
  • 頭痛、肩こり、首こりがある。または首に外傷歴がある
  • 全身に倦怠感がある、または低血圧で朝起きられない
  • 猫背、反り腰がある。姿勢が悪い
  • 乗り物で酔いやすい
  • パソコンやスマホを1日平均4時間以上使用している
  • ストレッチや柔軟体操をすることが少ない
  • 歯の食いしばりや歯ぎしり、歯の治療が多い。または顎関節症と言われたことがある
  • 夏冬ともにエアコンが利いた環境にいることが多い
  • 日常的にストレスを感じている

1、2がある人は気象病の可能性大、3〜12の中で3つ以上当てはまった人は気象病予備軍です。

 

「天気病」のメカニズム

せたがや内科・神経内科クリニック 院長

久手堅 司先生

慶應義塾大学医学部 神経内科非常勤講師

舟久保恵美先生

寒暖差や気圧の大きな変化による自律神経の乱れ

「体を落ち着かせるのが副交感神経で、緊張時に心拍数や血圧を上げるなどの働きをするのが交感神経です。交感神経が強く刺激されると、痛みが悪化します」(舟久保先生)

内耳のセンサーが気圧の変化を感知すると交感神経が優位に

原因とメカニズム

「自律神経は呼吸や体温など生きるためのあらゆる働きをコントロールしています。交感神経と副交感神経があり、通常は互いにバランスを取り合って体を一定に保っています」(舟久保先生)

しかし気温や気圧の急激な変化に弱く、そうした刺激を受けると交感神経が優位に。すると痛みを感じる神経も興奮して、不調が起こりやすくなります。梅雨や台風など気圧が急激に低下したときに、症状が出るのはそのためです。天気病の人が最も影響を受けやすいのが気圧の変化。
「私たちは普段はあまり感じていませんが、ほぼ気圧の中で生活しています。それは1平方メートル当たりに10tの重さが加わっていることになるので、体には大きな圧力が加わっているのです」(久手堅先生)

普段は体がつぶれないように、体内と外の圧力がつり合っていますが、気圧が急激に低下するとバランスがくずれて体がむくむなどの影響が出ます。
「そうした気圧の変化をキャッチするセンサーが、耳の奥の内耳にあることが最近の研究でわかってきました」と舟久保先生。

気圧が変わると、内耳の気圧センサーから『体のバランスがくずれている』という情報が脳に伝わります。
「しかし実際には体のバランスはくずれていないので、目から入ってくる情報と内耳からの情報が食い違うため脳が混乱し、交感神経や痛みを伝える神経を刺激します」(舟久保先生)
交感神経が刺激されると、頭痛やめまい、耳鳴り、血圧上昇などさまざまな症状が起こります。
「気圧が急に低下すると、心拍数が増加し、血圧が上がります。心筋梗塞のような血管系の病気のリスクも高まります」(舟久保先生)

さらに大きな寒暖差にも要注意。自律神経が体を一定の状態に保つようにエネルギー消費するため疲労がたまりやすく、それにより体が冷え不調に。
「天気病の人は寒暖差疲労であることも多いので、冷房で室外との気温差が大きくなる夏も気をつけましょう」(久手堅先生)

 

「天気病」の症状6つ

【1】首・肩こり

「梅雨の時期は特にひどくなり、首や肩のこりから頭痛や吐き気を催して、仕事を休むことも」(会社員・36歳)
「肩~肩胛骨が固まり、まるでおもりを背負っているように重くなる」(営業・32歳)

【2】めまい

「寒暖差が激しくなる季節の変わり目は、天井がぐるぐると回り立っていられない程に」(メーカー ・35歳)
「ひどいと転んだり、家具にぶつかったり…日常生活に支障が出ることも」(主婦・41歳)

【3】倦怠感

「起き抜けから体が重く、ベッドから起き上がれない」(会社員・34 歳)
「雨の日が続くと、とにかくずっと眠い。頭も回らないし集中力も切れやすくなり、気分も落ち 込みやすくなります」(事務・31歳)

【4】頭痛

「雨の日はもちろん、前日から頭が重くなり、市販薬が効かない程痛むことも」(自営業・33歳)
「台風の時期はズキズキと脈打つような頭痛が増え、一日中寝込んでしまうことも多い」(営業・29歳)

 

【5】吐き気

「台風の時期や雨の日は朝起きると目の奥がズキズキし、ひどくなるとめまい、頭痛、吐き気がして立っていられなくなります」(27歳・受付)
「台風の日や低気圧で悪天候の日は、偏頭痛が起きて吐き気もします」(35歳・ウェブデザイナー)

【6】気持ちが落ち着かず不安になる

「天気が悪くなる前日から気持ちが憂鬱になり、悲しい気持ちや寂しい気持ちになります」(33歳・主婦)
「雨が続く梅雨時や秋口は気分が沈みやすく、仕事もはかどらないことが多いです」(30歳・団体職員)

 

識者が提案する「天気病」を寄せ付けない対策7つ

【1】朝起きたら日光浴

夜型の生活や不規則な食生活などを続けていると、体内リズムが狂って自律神経のバランスを乱す原因になるので、毎日決まった時間の早寝早起きを心掛けて。朝起きたら太陽の光を浴びて、交感神経をオンにすると体が活動モードに。

【2】1日20分程度のゆっくりできる運動

自律神経を整えるには、激しい運動よりも、昼休みに20分程度のウォーキングをするなどゆったりとした運動がおすすめ。
「ゆっくりと長くできる運動は自律神経を安定させるので、ヨガやストレッチを習慣にするのも効果的です」(久手堅先生)

【3】ぬるめの湯にゆっくりつかりリラックス

38~40℃くらいのぬるめのお湯に、20分程つかって体を温めると、副交感神経が優位になりリラックスできる。逆に熱いお湯は交感神経を優位にして、寝つきが悪くなるので注意。また、片頭痛があるときは温めると悪化するので、入浴は控えて。

【4】6~7時間程度の充分な睡眠をとる

活動している日中は交感神経が優位になっているため、副交感神経が優位になる睡眠をしっかりとって自律神経を整えることが大切。睡眠時間は人によって違うが、6~7時間程度を目安に、自分がすっきり起きられる時間を見つけよう。

【5】眠る前のスマホは禁止!

夜にPCやスマホのブルーライトなどの強い光を浴びると、深い眠りに必要なメラトニンというホルモンの分泌が抑制されて、眠りの質が低下。暗い部屋でのスマホの光は特に強刺激になるので要注意。寝室にはスマホをもち込まないようにすのがベスト。

 

【6】自律神経を整える簡単3STEPストレッチを

【STEP 1】首

(1)頭をまっすぐ前に出して10秒キープ!
背筋を伸ばして立つ。体は動かさずに、頭をまっすぐ前に出し10秒キープ。背中が丸まらないように注意。

(2)あごを押して後ろにスライド
あごに手を当て、後ろに強く押し、あごを水平にスライドさせて10秒キープ。
「1日に何度も行いましょう。首と頭のつなぎ目の関節がストレッチされます」(久手堅先生)

【STEP 2】肩

肩を回してストンと落とし理想の位置に。立った状態で、肩をすくめて肩胛骨を上にもち上げる。そのまま肩を後ろに動かし、すっと力を抜いて、肩を下ろす。
「それが理想的な肩の位置です」(久手堅先生)

【STEP 3】肩胛骨

両手を後ろで組んで胸と肩胛骨を意識。両手を後ろで組んで、少し上に上げる。胸を開き、肩胛骨を寄せた姿勢で10秒間キープする。
「胸の緊張がほぐれ、猫背の予防にも。姿勢が良くなると呼吸もしやすくなります」(久手堅先生)

 

【7】姿勢を正す

Point

理想の姿勢は耳たぶ、肩、腰、ひざ、かかとが一直線になっている

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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