健康・ヘルスケア
2018.6.18

頭痛、肩こり、めまい…その不調、天気のせいかも!?|天気病チェックリスト付

【天気病】雨が降ったり、風が強くなったり、突然寒かったり暑くなったり。最近天気がなんだか不安定だけれど、それに合わせて頭痛になったり体が重くなったり、気分がふさいだり、自分の体調も不安定になる気が…。実は密接に関係しています! 今回、せたがや内科・神経内科クリニック 院長・久手堅 司先生と、慶應義塾大学 医学部 神経内科非常勤講師・舟久保恵美先生、気象予報士・崎濱綾子さんにお話を伺いました。

雨の日の不調は気のせいではなかった!

「ゲリラ豪雨のときに頭痛がひどい、雨が降るとめまいがするなどの症状があり、病院で検査をしても異常がない。診断がつかずに困って、私のクリニックを訪れる患者さんが多いんです」と話すのは、せたがや内科・神経内科クリニックで気象病・天気病外来を開設している久手堅 司先生。

これまで「雨の日に体調が悪くなるのは気のせい」と思われがちでしたが、「医学的に認められた病名ではありませんが、近年は『天気病』『気象病』などと呼ばれ、少しずつ知られるようになりました」と久手堅先生。ひどくなると会社を休職する人もいる程で、特に女性は天気の影響で不調になりやすいといいます。しかし、これから紹介する原因やメカニズム、セルフケアの方法を知ることで、改善することも可能。天気に振り回されない体作りに、ぜひ役立てて!

天気病チェックテスト

□(1)天候が変わるときに体調が悪い
□(2)雨が降る前や天候が変わる前に、なんとなく予測ができる
□(3)耳鳴りやめまいが起こりやすい
□(4)肩こり、首こりがある。または首に外傷歴がある
□(5)猫背、反り腰がある。姿勢が悪い
□(6)乗り物酔いをしやすい
□(7)パソコンやスマホを1日平均4時間以上使用している
□(8)ストレッチや柔軟体操をすることが少ない
□(9)歯の食いしばりや歯ぎしり、歯の治療が多い。または顎関節症と言われたことがある
□(10)夏冬ともにエアコンが利いた環境にいることが多い
□(11)日常的にストレスを感じている

 

(1)、(2)がある人は天気病の可能性大。
(3)~(11)の中で3つ以上当てはまった人は天気病の予備軍!

慢性的な痛みの症状が気圧の変化で悪化!

天気病の症状は、頭痛、めまい、肩こり・首こり、吐き気、耳鳴り、関節痛、古傷の痛み、気管支ぜんそくなど人それぞれです。
「元々頭痛もち、肩がこりやすいなど慢性的な症状があると、それが気圧の低下によって悪化すると考えられます」(久手堅先生)

中でも女性に多いのが頭痛。頭痛には、締めつけられるような痛みの緊張型頭痛と、ズキズキと脈打つような痛みの片頭痛がありますが、
「天気病では片頭痛の方が影響を受けやすい。また、フワフワとしためまいを感じる人も多いですね」(久手堅先生)

こうしたわかりやすい症状だけでなく、なんとなくだるい、気分が沈むなどの症状を感じる人も。
「ラットの実験ですが、気圧が低下すると鬱症状が悪化することがわかっています」と慶應義塾大学医学部神経内科非常勤講師の舟久保恵美先生。
「周囲に理解されにくい症状ですが、職場の人にも天気病であることを知ってもらうことが大切です」(舟久保先生)

読者もこんなに!天気の変化で起きやすい不調はコレ!

美的クラブの調査でも、天気の変化によって体や心に不調を感じている人が多数いることが判明!

【頭痛】

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「雨の日や台風の日は持病の頭痛が特にひくなり、一日中ベッド中で過ごします」(31歳・主婦)
「雨が降る前は決まって、ほぼ一日中、頭痛がします。曇りで、雨が降りそう…そんなときがいちばんつらいです」(33歳・医療関係)
「雨が降り出す前に、頭が脈を打つように痛くなります」(34歳・事務)

【めまい】

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「季節の変わり目などの寒暖の差が激しいときは、めまいでまっすぐ立っていられないことがあります」(33歳・専門職)
「雨が降る前日や当日、季節の変わり目は体調が悪く、めまいもひどくなり一日中フワフワしています」(29歳・デザイナー)」

【肩こり・首こり】

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「梅雨の時期や温度差があるとき、雨が降る前は、まず首がこり始め、目や頭まで痛くなります。薬なしではいられません」(32歳・流通会社)
「雨が降ると肩こりがひどくなります。どうにもこうにもならず、仕事に集中できません」(37歳・ウェブデザイナー)

【だるくてなかなか起きられない】

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「台風の時期は体がだるくて昼過ぎまで起きられなくなります。毎年のことなのでその時期は派遣の仕事は入れないようにしています」(38歳・派遣)
「気温の変化が激しいと体がだるく不眠症気味になり、体はフラフラ。会社を休むときもあります」(35歳・銀行)

【吐き気】

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「台風の時期や雨の日は朝起きると目の奥がズキズキし、ひどくなるとめまい、頭痛、吐き気がして立っていられなくなります」(27歳・受付)
「台風の日や低気圧で悪天候の日は、偏頭痛が起きて吐き気もします」(35歳・ウェブデザイナー)

気持ちが落ち着かず不安になる

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「天気が悪くなる前日から気持ちが憂鬱になり、悲しい気持ちや寂しい気持ちになります」(33歳・主婦)
「雨が続く梅雨時や秋口は気分が沈みやすく、仕事もはかどらないことが多いです」(30歳・団体職員)

気圧の変化が起こりやすい日本の天候

梅雨や台風をはじめ、季節の変わり目は低気圧が周期的にやってくる時期。急激な気圧変化が多いので、今後も注意を。

【メイストーム】

移動速度が早く天気が急変!
5月に日本海や北日本で強く発達する温帯低気圧による大荒れの天気のこと。海や山で遭難事故を起こすほどの荒天をもたらす。
「中心気圧が1日に20ヘクトパスカル以上低くなる場合があり、天気が急変しやすくなります。低気圧の移動速度が早く、急に雨風が強まります」(崎濱さん)

【梅雨】

グズついた天気が1か月以上続く
「5月から7月にかけて、北海道と小笠原諸島を除いた日本、そのほか東アジア広域で見られる、雨が多くグズついた天気が続く気象現象です」と崎濱さん。長期にわたる雨で日照時間が少なくなったり、湿度の高さ、気圧の変化などが重なり、心身ともに不調が出やすく、天気病にはつらい時期。

【秋雨前線】

台風と重なると大雨を降らせることも
8月中旬ごろから9月にかけて日本付近に停滞し、秋の長雨をもたらす。東日本では梅雨時期よりも雨が多くなるため、天気病の人にとっては気を抜けない時期。
「台風が北上してくるときに秋雨前線に重なると、前線が刺激され大雨を降らせることも。気圧の変化も激しいです」(崎濱さん)

【台風】

1日の間に急激な気圧変化をもたらす
北西太平洋で発生した熱帯気圧のうち最大風速がおよそ17m/s以上のものが台風で、北半球の主に夏から秋にかけて発生。勢力が衰えると熱帯気圧や温帯低気圧に変わる。
「台風のときは1日の間で気圧が20ヘクトパスカル以上下がることも多くあるため、その気圧の変化は体に大きな負担です」(崎濱さん)

 

気象と体の不調について教えてくれたのは…
p219-2
せたがや内科・神経内科クリニック 院長 久手堅 司先生
くでけんつかさ/東邦大学医学部医学科卒業。東邦大学附属医療センター大森病院などを経て、2013年にクリニックを開設。日本神経学会神経内科専門医、日本頭痛学会頭痛専門医。

p219-1
慶應義塾大学医学部 神経内科非常勤講師舟久保恵美先生
ふなくぼめぐみ/天気痛のメカニズムを研究し、医学博士号を取得(名古屋大学)。日本で唯一の低気圧頭痛を専門にする産業保健師。企業の健康プロデューサーとしても活躍。

 

天気について教えてくれたのは…
p220-3
気象予報士 崎濱綾子さん
さきはまあやこ/大学卒業後、テレビレポーターやお天気キャスターなどを経験。’05年に沖縄初の女性気象予報士となり、ウェザーマップに所属。「Yahoo!天気・災害」などに出演中。

 

『美的』7月号掲載
イラスト/すぎうらゆう、尾代ゆうこ、山本郁子 構成/青山貴子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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