最適な睡眠時間を見つけて健康な生活を送ろう!不調も防げて日中も快適
たくさん寝た方が日中元気で過ごせる人もいれば、寝すぎると逆にだるい…という方も。最適な睡眠時間はどのくらいなのでしょうか?最低限とった方が良い時間と、自分に合う睡眠時間の見つけ方をご紹介します。最適な眠りで、健康に過ごしましょう。
【目次】
・平均睡眠時間が6時間を切る人は『睡眠負債』かも
・ダイエット・風邪・薄毛予防にも睡眠は大事!
・最適な睡眠時間の見つけ方
平均睡眠時間が6時間を切る人は『睡眠負債』かも
「睡眠負債」は気づかないうちにたまっている
教えてくれたのは…スタンフォード大学医学部教授 西野精治先生
にしのせいじ/医師、医学博士。「スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNラボ)」所長。著書『スタンフォード式最高の睡眠』(サンマーク出版)が話題に。
\睡眠負債とは?/
忙しくて充分な睡眠時間をとれなかったり、あるいはしっかり寝たつもりでも寝不足感が抜けなかったり…。
「そんな状態が続いていると、『睡眠負債』=(眠りの借金)がどんどんたまってしまいます。放っておくと、肌や体にさまざまな不調が現れますよ」(西野先生・以下「」内同)
「個人差はあるものの、一般的に平均睡眠時間が6時間を切る人は『睡眠負債』を抱えている可能性が大。そもそも睡眠は貯蓄できないため、週末に少し長く寝たくらいで借金は返済できません。22〜翌2時が肌のゴールデンタイムという説も根拠なし。大切なのは時刻よりも、寝入って最初の90分にどれだけ深く眠るかです」
「睡眠負債」の有無は、早起きしなくても良い休日に普段よりどれだけ多く寝てしまうかが目安。90分以上だと、負債を抱えていると判断できます。
\なぜ「睡眠負債」はたまるの?/
【1】 睡眠時間が短い(6時間未満)
日本人の平均睡眠時間は6.5時間で、6時間未満が約40%。日本は世界一「睡眠偏差値」が低い国とされています。理想の睡眠時間には個人差があるものの、短時間睡眠の積み重ねは、「睡眠負債」を抱える最大の要因。
【2】 眠りの質(深さやリズム)が悪い
睡眠量は充分なのに上記の症状がある場合は、睡眠の質に問題が。ノンレム・レムといった睡眠のリズムが乱れている、眠りが浅いなど、脳も体も休息できない状態が続いて、「睡眠負債」がたまったような症状に。
\睡眠の質は“寝入りばな90分”の深さが大切!/
「8時間寝ても眠い人がいれば、6時間ですっきりな人も。その違いは入眠から約90分間続くノンレム睡眠(脳も体も眠っている状態)の深さによるものです。この最初の90分は、(1)自律神経が整う、(2)成長ホルモンがたっぷり(1日分の70〜80%)分泌される、(3)脳のコンディションが整う時間帯。ここで深く眠れていないと、睡眠の質が低下します。真のゴールデンタイムは、成長ホルモンの分泌が盛んなこの90分です」
ダイエット・風邪・薄毛予防にも睡眠は大事!
やせるためには、何よりも睡眠を優先
教えてくれたのは…ダイエットコーチ EICOさん
2005年度準ミス日本。日本初のダイエットコーチとして、700人以上のダイエットを指導してきたスペシャリスト。自身も21歳のときに4カ月で11kg減、1年でトータル20kgの減量を達成し、準ミス日本を受賞。「女性美を追究した、健康的で無理のないダイエット」をモットーとし、徹底的なカウンセリングを行った上で、ライフスタイル、運動経験、体質などを分析し、最短で最適なダイエット方法をコーチングしている。著書に『EICO式 自分で自分を「追い込み」ダイエット』(ぴあ)など多数。
「私が指導していた中で多かったのが、運動や食事を頑張りすぎて、睡眠が6時間を切っている生徒さんたち。でも、これはダイエットには逆効果なんです。起きている時間が長ければ長いほど、脳の栄養分である糖が必要になり、甘いものが食べたくなったり、疲れやすくなったりする。それに寝ていないと、自律神経の働きが乱れるし、体が命を守ることを優先するので、適切な食べ方ができず、運動してもやせなくなるんです」
やせるためには、何よりも睡眠を優先。EICOさん自身も、したいことがあっても寝ることを優先して、毎日平均8時間の睡眠時間をとっているそう。
いつまでもやせないのは、心のクセが原因かも!?【EICO式追い込みダイエットVol.4】
風邪予防には就寝1時間前に入浴し7時間ぐっすり眠る
教えてくれたのは…池袋 大谷クリニック 院長 大谷義夫先生
おおたによしお/医学博士。日本呼吸器学会専門医・指導医。東京医科歯科大学呼吸器内科兼任睡眠制御学講座准教授などを経て、2009年に同クリニックを開院。
「睡眠時間が7時間の人に対して、6時間未満は4.2倍、5時間未満は4.5倍も風邪をひきやすいというデータがあるので、睡眠時間は6時間を切らないようにしましょう」(大谷先生)
良い睡眠のためには、就寝1時間前に39℃程のぬるめのお風呂に約15分つかるのがポイント。入浴で深部体温をしっかり上げておくと、布団に入ったときに体温が下がるので、質の良い睡眠につながります。
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健康な髪に導く、ホルモンのバランスが整いやすくなる
教えてくれたのは…抗加齢医学専門医 浜中聡子先生
ウィメンズヘルスクリニック東京 院長。脇坂ウィメンズヘルスクリニック大阪 顧問医師、国際アンチエイジング医学会専門医。米国抗加齢医学会専門医。女性頭髪専門外来において、多くの女性の髪悩みに向き合う。ていねいな診察ののち、内服薬、外用薬、サプリメントによる治療、点滴等、その方に最適な治療法を提案している。
睡眠時間は、毎日最低5~6時間は確保して。なるべく“夜寝て朝起きる”、太陽のリズムとともに就寝・起床すると、髪の成長に関与するホルモンのバランスが整いやすくなります。「しっかり睡眠をとることで、抜け毛の原因の1つとなるストレスの緩和にもつながります。さらに細胞の成長を促す成長ホルモンの分泌にも関わってくるので、良質な睡眠を心がけて」(浜中先生)
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最適な睡眠時間の見つけ方
自分に適した睡眠時間は眠気や疲れを感じさせない
教えてくれたのは…快眠セラピスト 睡眠環境プランナー 三橋 美穂さん
寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。これまでの20年間に、1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、特に枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うか分かるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディ―ネートなども手がける。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる睡眠メソッド100』(かんき出版)ほか、日本語版を監修した『おやすみ、ロジャー魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)はシリーズ累計100万部を突破した。
「個人差はありますが、本来必要な睡眠時間というのは、20代~30代なら約7~8時間の人が大多数。40代だとこれより少し短くなります。さらにそこから自分にピッタリな睡眠時間を見つける方法がありますよ。
1週間ずつ睡眠時間を変えていくという方法です。たとえば私の場合は、1週目は8時間、2週目は7時間半、3週目は7時間と徐々に30分ずつ短く調整していきました。
何をバロメーターにするかというと、ズバリ“日中の状態”です。1週目の8時間睡眠では日中も眠気やだるさがとれず、3週目の7時間睡眠を実行しているときに、“あぁ、私のベストは7時間半なのね!”と思ったんです。7時間半の睡眠時間がとれている時は、夕方になっても眠気や疲れを感じず、1日のパフォーマンスが抜群に高かったのです」
三橋先生曰く、現代の日本人は、たくさんの睡眠負債を抱えているのだとか……。最適な睡眠時間を見つける方法は、長い時間から試してみて、徐々に短くしていくのがおすすめだそう。約7時間~8時間の間で、自分にピッタリの睡眠時間が見つけられれば、眠りの質も格段にあがりそうですね。
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