健康・ヘルスケア
2018.6.6

女医に訊く#16|薄毛対策に有効な「食べ物」「シャンプー習慣」「病院での治療」

\"\"

加齢はもちろん、極端なダイエットやストレスの影響で、若い世代にも起こる抜け毛・薄毛。今回の美的保健室では、抗加齢学専門医の浜中先生に、“自分で出来る薄毛対策”や“病院での治療法”を教えていただきました。

薄毛対策には「食べ物」と「睡眠」が大切

抜け毛や薄毛対策に自分で実践できることとしては“食生活を見直すこと”“良質な睡眠をとること”、この2点が大きいそうです。

「食べ物に関してはビタミン、ミネラル、タンパク質、炭水化物をバランスよく摂取することが理想です。特に髪を作るタンパク質や、タンパク質の合成に関わるビタミン B 群を積極的に摂取しましょう。スタイルを気にして過度なダイエットを実践すると、髪に栄養が行き渡らず1本1本の毛がやせ細ってしまいます。食事制限する場合でも、無理はせず栄養のバランスに配慮してほしいところです」(浜中先生)

睡眠時間は、毎日最低5~6時間は確保して。なるべく“夜寝て朝起きる”、太陽のリズムとともに就寝・起床すると、髪の成長に関与するホルモンのバランスが整いやすくなります。「しっかり睡眠をとることで、抜け毛の原因の1つとなるストレスの緩和にもつながります。さらに細胞の成長を促す成長ホルモンの分泌にも関わってくるので、良質な睡眠を心がけて」(浜中先生)

抜け毛が気になる時は「シャンプー習慣」の見直しを

自分でできる抜け毛対策として、“毎日のシャンプー習慣を見直すこと”も重要です。きちんと汚れを落とし、清潔に保つシャンプーは、髪の土台ともいえる“頭皮環境”を整える大切なステップ。

「頭皮の脂っぽさや臭いを気にする方もいますが、“洗いすぎ”には注意が必要です。女性の場合、総じて頭皮がオイリーな方は少ないと言えます。頭皮が乾燥しているのに洗浄力が強いシャンプーを使うと、乾燥やダメージの原因になることも。抜け毛が気になる時は、アミノ酸系洗浄成分を配合した“低刺激のシャンプー”に切り替えるのも一案です」(浜中先生)

シャンプーをするとある程度髪は抜け落ちますが、抜け毛が気になるときはシャンプーしたほうが良いのでしょうか、それとも少し控えたほうが良いのでしょうか。

「頭皮の汚れを落とし、清潔に保つという意味では、汗や皮脂が気になる夏は毎日洗髪して良いと思います。ただし冬場は、頭皮の状態や年齢によって、一日一回もしくは二日に一回の頻度で調整すると良いでしょう」(浜中先生)

“洗った直後”“翌日の朝”“翌日の夕方”、この3つのポイントで頭皮を触ると、自身の“頭皮のべたつき感や汚れの変化”を判断しやすいといいます。いずれにせよ、1日に複数回シャンプーするのは“洗いすぎ”の可能性が高いようです。

抜け毛・薄毛に悩んだら「病院」はどこに行けばいい?

抜け毛や薄毛に悩んだ時、どの病院へ行けば良いのでしょうか?

保険診療の範囲で治療できるという意味で言えば頭皮のトラブルや円形脱毛症は、一般的に皮膚科の領域とされています。しかし、それ以外の複雑な女性の薄毛に対応するには限界があるのも事実です。

「可能であれば“頭髪専門外来”がある病院がよいと思います。頭皮の状態はもちろんのこと、血液検査でホルモンの状態を調べたり、専門の医師が女性の薄毛・抜け毛に対して、多角的な診断を下すことが可能だからです」(浜中先生)

また治療の選択肢が豊富なことも、頭髪専門クリニックの特徴です。内服薬や外用薬、サプリメント、点滴療法、必要によってはホルモンを補充するなど、その人に合った治療が叶います。

頭髪専門の病院で受けられる薄毛治療の一例

以下は頭髪外来で受けられる、抜け毛・薄毛に関する治療の一例です。

薬剤による治療

内服薬による治療と外用薬による治療があります。唯一発毛効果が認められているミノキシジルを中心に処方されます。その人によって使う薬や濃度が変わりますが、一般的に市販薬よりも医師の診察による処方薬のほうが高濃度で且つ浸透率も高いと言えます。

サプリメント

普段の食生活だけでは不足しがちな栄養素を高濃度の医療用サプリメントで補います。髪のタンパク質合成を促す“鉄”“銅”“亜鉛”“カルシウム”や“マルチビタミン”など。ドクターズサプリメントは、市販のサプリより濃度や吸収率に優れています。

点滴療法

髪や爪の成長に必要な成分を点滴します。直接血管に投与することで、内服薬や外用薬の効果を、効率良くサポートします。

ホルモン補充療法

ホルモンの分泌量を検査したうえで、天然型のホルモンクリームなどで、不足しているホルモンを補います。

円形脱毛症の治療は脱毛の状態や経過を考慮して選択を

円形脱毛症は、その発症の原因と思われがちなストレスはあくまできっかけにすぎず、免疫の異常で起こる「自己免疫疾患」の一つです。個々の体質も関係し、性別や年齢を問わず発症し、自然に治る場合もあるが、再発しやすいのが厄介な点といえます。それゆえ、治療方法についても患者さんごとに脱毛の状態や経過を考慮して選択しなければなりません。

まだ始まったばかりで小範囲しか脱毛していない場合は、ステロイドや塩化カルプロニウムなどの外用療法やグリチルリチン、セファランチンの内服療法で様子をみます。

狭い範囲で経過が長引くようなら、脱毛部にステロイドを局所注射する治療法や雪状炭酸圧抵療法もあります。ステロイドの局所注射は痛みを伴うことと、副作用として注射したところがへこんでしまうことがあり得ること、注射部分にだけ毛が再生することが難点で、広範囲な場合は不適当となります。雪状炭酸圧抵療法はドライアイスで脱毛部を軽く冷却する方法です。急速に拡大する場合はステロイドを内服すると難治の場合もかなり効くことがあります。

広く脱毛して6ヶ月以上も続いている場合は、局所免疫療法が適応となります。局所免疫療法は、かぶれを起こす特殊な薬品(SADBE、DPCPなど)を脱毛部に塗って、弱いかぶれの皮膚炎を繰り返し起こさせる治療法です。ただし、使う薬品は健康保険で認められてはおらず研究試薬ですので、使用に当たっては患者さんの同意が必要です。副作用として、人によってはひどいかぶれが起きることがあるので注意を要します。薬品の濃度や塗り方が大切ですので、専門医にしてもらうべき治療です。

病院における抜け毛・薄毛治療の回復率は約70~80%

抜け毛・薄毛対策には、生活習慣の改善や市販の育毛剤など、自分で出来ることも存在します。しかし、もし本当に悩んでいるなら「ぜひ頭髪専門医の治療を選択肢の一つに」と、浜中先生は語ります。

「抜け毛の原因を、頭皮だけではなく身体全体のバランスから診断し、その方に合った治療を選択できるのは、頭髪専門医ならではの治療といえるでしょう」(浜中先生)

20代の髪に100%戻るのは難しいとしても、医学的な治療を行うと平均70~80%くらいの改善は期待できるといいます。そして何より、抜け毛・薄毛の背後に隠された女性特有の悩みを、専門の医師に相談できる点も魅力です

「女性の抜け毛・薄毛の原因は、その人ごとに違います。悩みをうかがった上で、どんな治療をするか。そして生活習慣をどういう風に工夫していくか、親身にサポートすることこそ医師の重要な役割と考えます。髪は伸びるのに時間もかかりますから、治療には一定の時間が必要です。その点をご理解いただいて治療を開始し、薄毛が改善する患者さんも少なくありません。まだ頭髪専門クリニックは一般的ではありませんが、まずはその存在を知ってもらえたらと思います」(浜中先生)

aya_045x
抗加齢医学専門医
浜中聡子先生
ウィメンズヘルスクリニック東京 院長。脇坂ウィメンズヘルスクリニック大阪 顧問医師、国際アンチエイジング医学会専門医。米国抗加齢医学会専門医。女性頭髪専門外来において、多くの女性の髪悩みに向き合う。ていねいな診察ののち、内服薬、外用薬、サプリメントによる治療、点滴等、その方に最適な治療法を提案している。
■ウィメンズヘルスクリニック東京 https://www.womenshealth-tokyo.com

文/宇野ナミコ 撮影/横田紋子(小学館)

 

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter google+ Pocket

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事