【脱オバ体型】ぽっこりおなかや尿漏れに!鍛えるべきはカラダの真ん中「骨盤底筋」|美的GRAND
大人女性の美容&ヘルスアップのキーワードとして、昨今話題の「骨盤底筋」。その正体は?グラン世代がそこにフォーカスすべき理由とは?効果的な鍛え方は?ーーそんな疑問を解き明かします。
- CHECK!あなたの「骨盤底筋」の衰え度は?
- あなたは骨盤底筋のこと、どこまで知っている?
・骨盤底筋のリアル1 骨盤内の臓器を支え、排泄をコントロールする骨盤底の基盤
・骨盤底筋のリアル2 骨盤底筋の力が弱いと、尿漏れや頻尿に。“オバ体型”の要因にも!
・骨盤底筋のリアル3 女性ホルモンの減少、運動不足、出産…で、骨盤底のダメージが進む
・骨盤底筋のリアル4 骨盤底筋は普段意識して動かさないから、手足の筋肉より衰えるのが早い!
・骨盤底筋のリアル5 硬く薄くなった骨盤底筋は“ほぐす・鍛える”の2ステップケアで若返る!
・今日から骨盤底筋を意識して、トレーニングを始めましょう
- 【実践編】骨盤底筋トレーニング
・Step1|硬くなった骨盤底筋を「ほぐす」
・Step2|薄く、弱くなった骨盤底筋を「鍛える」
- 骨盤底筋トレーング・フォローアップ編
・1.ラクして骨盤底筋を鍛えたい!だったら座るだけの「エムセラ」で!
CHECK!あなたの「骨盤底筋」の衰え度は?
\当てはまる項目をチェックして/
【生活習慣】
- 1日のうち座っている時間が長い
- 座るとき、体をお尻の後方で支え、骨盤が倒れている
- 猫背、反り腰など、姿勢が悪い
- 排便に5分以上かかったり、息むことが多い
- 重い荷物を持つことが多い
【体】
- 下腹部だけがぽっこり出ている
- 股関節が硬い
- 呼吸が浅い
- 妊娠・出産の経験がある
- くしゃみや咳をした瞬間に尿漏れすることがある
- 便やおならを我慢できない
当てはまる項目が多い程、骨盤底筋ダメージは進行しています。深刻化する前に改善を!
あなたは骨盤底筋のこと、どこまで知っている?
\骨盤の底で臓器を支えているから、“緩む”と一大事なんです!/
骨盤の底で子宮や膀胱、直腸などの臓器を支えているひし形のプレート臓器が「骨盤底」。骨盤底筋(群)は、靭帯、皮下組織と共にその骨盤底を構成する組織のひとつで、恥骨、尾骨、坐骨にハンモックのようについています。
骨盤底筋のリアル1 骨盤内の臓器を支え、排泄をコントロールする骨盤底の基盤
「骨盤の最下部『骨盤底』は、子宮や膀胱、直腸など骨盤内の臓器を支える役割を担います。その骨盤底の力を支配しているのが、恥骨や尾骨にくっついてハンモック状に広がる『骨盤底筋』。骨盤底筋が厚くしっかりしていてこそ、重い臓器を正しい位置に保てます。また、骨盤底の排泄を制御する働きも、実際は骨盤底筋によるものです。骨盤底筋を思いどおりに緊張・弛緩させる力があって始めて正常な排尿・排便が行われます」(女性医療クリニックLUNAグループ 理事長・女性泌尿器科専門医 関口由紀先生・以下同)
骨盤底筋のリアル2 骨盤底筋の力が弱いと、尿漏れや頻尿に。“オバ体型”の要因にも!
「よくある骨盤底筋の衰えのサインは、尿漏れや頻尿です。尿意を我慢するときにキュッと締める筋肉がまさに骨盤底筋で、その力が弱いと漏れを制御できません。また、体の中心にある骨盤底筋は体幹の筋肉とも相関するため、骨盤底筋の弱さは姿勢が悪い、おなかぽっこりといった見た目にも影響します。臓器を支える力が弱いと、腸が下がって便秘になったり、さらに進むと子宮や膀胱、腸が体外に飛び出す“骨盤臓器脱”になることもあります」
骨盤底筋のリアル3 女性ホルモンの減少、運動不足、出産…で、骨盤底のダメージが進む
「年齢と共に女性ホルモンの分泌が減少すると、全身の筋肉量が減ってきます。骨盤底筋も同様です。特に、普段運動をしない人や座っている時間が長い人は骨盤底筋の減少や衰えも進みやすいでしょう。また、女性ホルモンが減ると、粘膜や皮下組織の弾力を支えるコラーゲンやエラスチンの生成も減るため、骨盤底が薄く、もろくなる一因になります。
さらに、生理的に最も骨盤底にダメージを与えるのは妊娠・出産です。胎児の大きな頭が骨盤底を圧迫し続けるため、靭帯が伸びたり、筋膜を傷めたり…。産後1か月は9割の人が尿漏れします」
骨盤底筋のリアル4 骨盤底筋は普段意識して動かさないから、手足の筋肉より衰えるのが早い!
「“骨盤底筋を動かして”といっても、周辺の筋肉を動かすだけで、骨盤底筋そのものを動かせていない人が多くいます。骨盤底筋が弱っている人程そうで、動かせないから衰えるのも早いのです。手足なら鍛えたい部分を意識して動かせますが、骨盤底筋は難しい。まずは自分の骨盤底筋がどこにあるのか、どこを意識して動かせばいいのかを知ることが肝心です」
骨盤底筋のリアル5 硬く薄くなった骨盤底筋は“ほぐす・鍛える”の2ステップケアで若返る!
「運動も筋トレも、筋肉が硬く縮こまった状態で始めても思うような効果は得られません。事前に柔軟性を高める準備が必要。骨盤底筋も、鍛える前にまずマッサージやストレッチでこりをほぐしておくことで可動域が広がって、動きが良くなります。骨盤底筋をほぐすことで、骨盤内の血流がアップするため、冷えや生理痛、便秘の解消にも効果的です」
今日から骨盤底筋を意識して、トレーニングを始めましょう
【実践編】骨盤底筋トレーニング
コツさえつかめば、確実に効果が出る!デイリーにほぐして、鍛える「骨盤底筋トレーニング」
Step1|硬くなった骨盤底筋を「ほぐす」
「筋肉のこりをほぐすには、押したりもんだりマッサージをする方法と、動かして弛緩する方法があります。骨盤底筋は、股関節やお尻など、骨盤を支えるパーツのストレッチでほぐれます」(女性医療クリニックLUNA ネクストステージ 理学療法士 笹岡愛加さん・以下同)
Stretching 1|腟に指を入れて直接マッサージ
「骨盤底筋のコンディションを確認する上でも、腟に指を入れてダイレクトにほぐすのがいちばん効果的。腟を締めたり、緩めたりしながら硬くなっている部分を探して。爪で傷つけないように注意。」
脚を軽く開いて、腟に指を入れる。指の第2関節が隠れるくらい奥まで入れて、腟を伸ばすようなイメージで軽くマッサージ。硬くなっているところは指先で押してほぐす。腟が乾燥している場合は、ホホバオイルなど体内にも使える保湿剤を指に塗ってから挿入を。
Stretching 2|上半身の重みを使って、関節をストレッチ
「股関節の外旋筋と骨盤底筋には連動性があるので、脚を外に開いて股関節をストレッチすることで骨盤底筋も動きやすくなります」
左右各30秒×3回
イスに骨盤を立てて座り、片足をもう一方のももにのせる。背中をまっすぐにしたままおなかをふくらはぎに近づける。ひざは開いた位置をキープして股関節の外旋筋を伸ばす。
Stretching 3|ヨガの基本3ポーズで、背中~お尻の柔軟性をアップ
「ゆっくりと呼吸をしながら全身を伸ばすヨガのポーズは、骨盤底筋ほぐしにも効果的。骨盤周りの血流が促されて、筋肉を動かしやすくなります。心のリラックス効果も!」
【ハッピーベイビーストレッチ】股関節とお尻を同時にストレッチ(30秒)
あお向けになり、両ひざを開いて足裏をつかむ。曲げたひざをゆっくりとわきに向かって下ろす。鼠蹊部(太もものつけ根)が圧迫された状態で、ゆっくり呼吸をしながら30秒キープ。
【ダウンドッグ】骨盤底筋も意識しながらお尻を高く(30秒)
肩の下より少し前に両手、骨盤の下に両ひざが来るように四つんばいになり、ゆっくりと息を吐きながらひざを伸ばしてお尻を押し上げる。呼吸を繰り返しながら30秒キープ。
【キャット&カウ】背中や腰周りのこわばりを取る(5セット)
両手が肩の真下、両ひざが股関節の真下に来るように四つんばいになる。息をゆっくり吐きながら、骨盤から頭に向けて順に背骨を丸めていく。次に息を吸いながら背骨を反らす。
Step2|薄く、弱くなった骨盤底筋を「鍛える」
「骨盤底筋を鍛えるには、そもそもの骨盤底筋をきちんと動かせるかがポイント。締めるだけではなく、引き上げる感覚が大事です。逆に、腹圧で押し出すと、最も避けたい“息む”ことになり、かえって骨盤底にダメージが!」
Point
・優しく息を吐きながら骨盤底筋をもち上げ、ゆっくり息を吸いながら下ろす・肛門や尿道口、腟だけでティッシュをつかむイメージで締めて引き上げる
・動かすのは骨盤底筋のみ。腹筋や臀筋に力が入って、おなかやお尻が動くのはNG
Training 1|尿道、腟、肛門を締めて引き上げる基本の動きをマスター
「基本は、排泄口に当たる尿道、腟、肛門の3か所を締めて引き上げる動き。まずは3つのうち自分が意識しやすい“出口”を動かせばOKです。呼吸と連動させ、息を吐きながら締めて引き上げ、吸いながら緩めるようにします」
10回×3セット1日3回
かかとの上に股関節が乗るようにして立つ。腹部を突き出したり丸めたりせず、背骨をまっすぐに。
口から息をゆっくりと吐きながら(横隔膜が上がる)、骨盤底筋を引き上げるように締める。次に、息をゆっくり吸いながら(横隔膜が下がる)力を抜いて、骨盤底筋を元の位置に戻す。この“締める” “緩める”動作を繰り返すことで骨盤底筋が鍛えられる。
Training 2|歩きながら、座ったままなど、日常生活に取り入れて、こまめに実践
「骨盤底筋トレーニングは、歩きながら、歯磨きをしながらなど、いつでもどこでも行えます。肩やおなか、お尻は動かさず、骨盤底筋のみUP→DOWNさせましょう」
デスクワークの合間に骨盤底筋を引き上げる。引き上げたときは座面と陰部に少し隙間ができ、緩めるとぺたっとつく感覚が正解。
2~3歩歩きながら引き上げるように締めて、その後緩めて…を繰り返す。骨盤底筋を意識して姿勢良く歩く。呼吸は自然でOK。
Training 3|リズミカルな「ピフィラティス」で骨盤底筋を刺激&強化
「アメリカの泌尿器科医が骨盤底筋を鍛えるために提案したピフィラティスを取り入れるのも手。スクワットやランジのアレンジ版です。骨盤底に腹圧がかからないように“浅め”がおすすめ」
【 浅めのスクワット 】
足を肩幅より少し広めに開いて立つ。息をフッ、フッ、フッと吐く度に、ひざを軽く曲げ、体をリズミカルに上下させる。
【 浅めのランジ 】
息を吸いながら片足を前に踏み出し、フッ、フッ、フッと吐く息に合わせて体を軽く上下にバウンドさせる。
女性医療クリニックLUNA ネクストステージ 理学療法士
笹岡愛加さん
ささおかあいか/総合病院勤務、医療学院専任講師、仏留学などを経て、2019年
より現職。骨盤底リハビリテーションの臨床を実践。
骨盤底筋トレーング・フォローアップ編
『美的GRAND WEB』では、骨盤底筋トレーニングをさらに深掘り。あなたの骨盤底筋のスピード改善をサポートします。
1.ラクして骨盤底筋を鍛えたい!だったら座るだけの「エムセラ」で!
詳しくはこちら
『美的GRAND』2023秋号掲載
撮影/李 有珍(aosora) イラスト/別府麻衣 構成/つつみゆかり
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
せきぐちゆき/医学博士。骨盤底の血管・骨・筋肉の総合的な維持とヘルスアップを提唱。世界標準の女性医療の実践を目指す。
www.luna-clinic.jp