【貧血】顔色が悪い、立ちくらみがする…こんな症状は体からのSOS! 血液検査で判断&対策を
朝起きるのが辛かったり、なんとなくだるい状態が続いていたりしませんか?もしかしたらその症状は貧血かも!?貧血は自覚症状ではなく、しっかりと病院で血液検査をして対策を!
「体のSOSサイン」、読み取り行動実践ガイド【貧血】
貧血は自覚症状ではなく、血液検査で判断&対策を!
「貧血とは、血液の赤血球に含まれる『ヘモグロビン』の濃度が低下した状態を指します。ヘモグロビンは主に鉄を材料とした赤い色素『ヘム』とたんぱく質からできていて、酸素と結合して全身に運ばれます。そのため貧血になると、体内は低酸素状態になり、疲れやすさやだるさ、息切れ、運動能力の低下などの不調が現れます。ただし、そういった症状があったとしても、必ずしも貧血とは限りません。左上の問診表で点数が高いと、潜在的な貧血の可能性は高くなりますが、実際には血液検査を受けて初めて正確に判断が下されるのです。
貧血は、出血を伴う婦人科系の病気や消化器疾患、血液を正常に作れなくなる深刻な病気が隠れていることもあります。また、鉄欠乏性貧血とうつ病の関係性も注目されています。たかが貧血と軽視せず、原因に合わせた対策をとりましょう」(小野先生)
こんな症状はSOS!
- 過去に貧血と診断されたことがある…4点
- 運動するのがつらい…3点
- 顔色が悪いと指摘される…3点
- なんとなくだるい…2点
- 立ちくらみがする…2点
- 夜間の尿量が多くなった…2点
- 朝起きるのがつらい…2点
チェックがついた項目の点数の合計が7点以上の場合、貧血の疑いがあります。
こんな病気のサインかも 消化器疾患 胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がん・大腸がんなど
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんや大腸がんなど消化器系の疾患は、進行すると体内で出血を起こすため、貧血症状を来す。
婦人科系疾患
子宮筋腫・子宮腺筋症など
子宮筋腫や子宮腺筋症などが原因で月経時の出血量が増える(過多月経)と、急激に大量に出血するため、鉄欠乏性貧血の症状が現れやすくなる。
血液疾患
白血病など
白血病といった血液の病気は、健康な血液を作れなくなるため、貧血を引き起こす。
腎疾患
腎不全など
腎臓の機能が低下すると、腎臓で作られている造血ホルモン「エリスロポエチン」の分泌量が減少。結果、貧血を引き起こす。ただし30代女性には稀。
どこを受診する? 内科
上記の問診票で点数が高いようなら、まずは内科へ。血液検査を受けて、実際に貧血かどうか、貧血なら原因は何かを診断してもらいましょう。その後は、貧血の原因となる病気を治療する科へ。
内科での診断によって
消化器内科・血液内科
胃や腸など、消化器からの出血が貧血の原因なら、消化器内科、白血病など血液の病気なら血液内科と、それぞれの専門外来で精密検査を受ける必要があります。
婦人科
貧血の原因が過多月経の場合、その原因となっている病気の治療のために婦人科を受診します。薬剤治療や手術療法など、症状や程度によって医師と相談の上、治療法を選択しましょう。
すぐにできるセルフケア
鉄分やビタミンをしっかりとる
貧血の大きな原因のひとつが鉄分不足。鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があり、ヘム鉄の方が体内への吸収率が高いです。ヘム鉄や非ヘム鉄、ビタミン(ビタミンC、葉酸、ビタミンB12など)を多く含む食品をバランス良くとるように心掛けましょう。サプリメントなどで補うと、過剰になることがあるため、使用の際は医師に相談してください。
鉄の1日当たりの摂取推奨量は10.5mg
(月経のある18~49歳の女性の場合)
【非ヘム鉄を多く含む食品】
【ヘム鉄を多く含む食品】
※文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より鉄量を小数点第2位で四捨五入して算出
貯蔵鉄にも目を向けて!
鉄不足に備えるための体内の貯蔵鉄「フェリチン」が少ないと、ヘモグロビンも減少。フェリチンを検査することが今後の貧血リスクの確認に。
『美的』2021年12月号掲載
イラスト/macco デザイン/&Y design 構成/つつみゆかり、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
おのようこ/日本産科婦人科学会専門医。日本女性医学会専門医。日本女性心身医学認定医。女性の心と体、両方の専門医として活躍。