生理期間や周期を知り体のSOSに気付こう!不調の原因と改善策をご紹介
長いお付き合いになる“生理”。周期がバラバラだったり、期間が長かったり、短かったり…さまざま。ただし、さまざまで過ごしていては危険です! 乱れや不調は病気の原因や不妊にも繋がりかねません。正常な周期や仕組みを理解し、上手に生理とお付き合いしましょう。
【目次】
・年齢別女性と生理の関係
・女性ホルモンの仕組み
・正常な生理の周期
・月経不順の原因と注意したいこと
・出血量が多い人も要注意
・生理不順の改善や生理期間の移動
年齢別女性と生理の関係
アラサー女性は女性ホルモンのピーク期
教えてくれたのは・・・成城松村クリニック 院長 松村圭子先生
まつむらけいこ/日本産科婦人科学会専門医。広島大学医学部卒。広島大学病院等での勤務を経て、2010年に開院。女性の美と健康に関する知見を生かし、女性誌やテレビなどメディアでも活躍。女性ホルモンに関する著書も多数。
「女性ホルモンの分泌量は、初潮を迎える12歳前後から加速的に増加を続け、20代後半にピークに達します。この頃には、月経周期が安定し、妊娠・出産にふさわしい体内環境が整う上、ツヤツヤの肌や髪、丸みを帯びた体型など、外見的にも女性としての美しさ全開に。いわば女性ホルモンの黄金期です。もしこの時期に、肌や体に不調を感じているとしたら、女性ホルモン本来の力が完全には発揮されていないということ。ホルモンバランスが乱れている証拠といえるでしょう。
そもそも女性ホルモンは脳の視床下部からの指令によって分泌されています。ところが、不規則な生活やストレスなどが原因で視床下部にダメージが生じると、ホルモン分泌の指令をうまく出せません。たとえ黄金期であっても、ホルモンバランスは安泰ではないのです。しかも女性ホルモンの分泌量は、ピークを過ぎたら、閉経に向けて減る一方。その減少の速度も、普段の生活習慣や食習慣、環境、ストレスなどが大きく影響します」(松村先生)
女性ホルモンの基礎知識|いつがピークでどれくらい出るの? 妊娠や病気も確認できる“基礎体温”にも注目!
女性ホルモンの仕組み
2種類の女性ホルモンは、卵巣から分泌される
「女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があって、いずれも卵巣から分泌されています。子宮から分泌されている、と勘違いしている人が多いようですが、子宮は分泌に関与していません」(松村先生)
「卵巣に『女性ホルモンを分泌しなさい』と指令を出しているのは、脳の視床下部から命令を受けた脳下垂体。卵巣から分泌された女性ホルモンの 量は、常に脳にフィードバックされていて、それによって新たに分泌する量を調節しています」(松村先生)
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正常な生理の周期
通常25~38日周期で変化
「毎月訪れる生理は、ホルモンバランスを知る指標のひとつ。規則的であることは必須条件です。ところが、そもそも生理周期の教え方や正常な生理周期を知らない人が少なくありません。生理周期とは、生理が始まった日から次の生理が来る前日までの日数。医学的に正常な生理周期は25〜38日です」(松村先生)
また、基礎体温表をつければ、生理周期を「見える化」することができます。基礎体温とは、朝目覚めた後、最も安静な状態で測る体温のこと。
「女性の体温は生理周期に応じて低温期と高温期の2相に分かれています。正常な場合、エストロゲンが増える低温期が約2週間続き、排卵を挟んでプロゲステロンが増える高温期に移行。これが約2週間続きます。ただし、たとえ生理が規則的に来て、基礎体温が2相性でも、出血量や出血期間に異常があったり、ほかに不調があれば、ホルモンバランスが良好とはいえません」(松村先生)
基礎体温を知っておくのも大事
黄体機能不全
2相に分かれてはいるけれど、高温期が短い状態は黄体機能不全の可能性。妊娠を持続させるためのプロゲステロンの働きが不足して、受精しても着床しにくい場合があります。
無排卵・無月経
高温期がなく、ずっと低温期のままの場合、生理は来ていても、実際は排卵が起こっていない状態です。普通の生理より出血が少なかったり、少量の出血がダラダラと続いたりも。
妊娠したとき
前の生理から低温期が続き、排卵した後、プロゲステロンが増える高温期がずっと続きます。そのまま次の生理が来る頃になっても基礎体温は下がらず、生理が来ません。
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月経不順の原因と注意したいこと
栄養不足やストレスが要因に
教えてくれたのは・・・浜松町ハマサイトクリニック 産婦人科医師 吉形玲美先生
医学博士。東京女子医科大学医学部を卒業後、同大学准講師を経て、非常勤講師に。2010年7月より現クリニック院長に着任。現在は婦人科専門医として診療のほか、多施設で予防医療研究に従事している。妊活、生理不順、更年期など、ゆらぎやすい女性の体のホルモンマネージメントが得意分野。
「月経不順や無月経になる原因はさまざまですが、生まれつきの体質に加えて、栄養不足やストレスが大きな比重を占めます。
普段の食事は、女性ホルモンの材料となる良質なたんぱく質(大豆、魚、赤身の肉をバランスよく)、良質な脂質(動物性脂肪、トランス脂肪酸は避ける)をしっかりとるようにしましょう。そのほか、ナッツ類やアボカドなどに多く含まれるビタミンEも、卵子の質を良くすることが期待できるためおすすめです。一方で、添加物に注意して加工食品などを食べすぎないことも重要です。
また、女性ホルモンはストレスに影響を受けやすいため、日々の生活の中でできるだけリラックスする時間をとることが大切。自分なりのストレス発散方法を見つけるといいでしょう。ストレスをうまくコントロールしていけば、自身の体を守り、引いては妊娠力を高めることにつながります」(吉形先生)
妊娠しやすい体を目指すなら、知っておきたい基礎知識【妊活vol.1】
生理不順を放っておかない!
教えてくれたのは・・・婦人科専門医 松村圭子先生
生理が不規則なのにもかかわらず、そのままにしていませんか?松村先生によると、生理不順の原因はホルモンバランスの乱れ。当然、排卵も不定期ですし、排卵されていない可能性も。将来、不妊などにつながることもあるそうです。
「プロゲステロンは排卵後に出ますから、排卵が起きていないというのは、エストロゲンしか出ていないということになります。その場合、乳癌や子宮体癌のリスクになりますし、エストロゲン自体が低くて排卵が起きていない場合は、肌や髪、骨、血管の老化が早まります」(松村先生)
心筋梗塞や脳梗塞、骨粗鬆症などの疾患が若い女性に滅多に見られないのは、エストロゲンのおかげ。閉経後まで骨や血管を守っていてくれるからなのです。
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生理が止まるようなダイエットはNG
教えてくれたのは・・・抗加齢医 田路めぐみ先生
形成外科専門医。日本抗加齢医学会専門医。東京大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院など複数の臨床病院勤務を経て、2014年より松倉クリニック&メディカルスパ勤務。患者さんの状態やニーズに合わせて柔軟に治療法を選ぶ、総合的な診療を行う。
生理はBMIが18を切ると止まるといわれています。BMIは体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}=BMIで算出します。正常体重のBMIは18.5〜25ですから、ダイエットは18.5を切らないところまでが原則です。
「生理血にはタンパク質や鉄分が豊富に含まれていますが、生理中はこれらを定期的に排出するため、さらに栄養状態が悪くなってしまいます。すると、体は防御反応として栄養の流出を防ぐために、生理を止めてしまうのです」
ただし、BMIが正常体重内だったとしても、急速なダイエットで栄養状態が一気に悪くなると、生理が止まることもあります。
「痩せて脂肪や筋肉が減った状態では、体内のコレステロール産生が低下し、女性ホルモンや抗ストレスホルモンなどの『ステロイドホルモン』がつくれなくなり、生理が乱れてしまいます。皮下脂肪は適度にある状態がベスト。減量は月に2〜3㎏内のベースがおすすめです」(田路先生)
もし、「まだ子どもはいらないし、生理がない方がラクでいいかも」と考えているなら大間違い! 生理の休止期間が長くなると、将来、骨粗しょう症を引き起こす危険性があるうえ、順調な生理周期が戻らなくなる可能性もあるのです。
「そもそも生理が止まるほど栄養が落ちているのであれば、肌や脳など、いろいろなところにもダメージが及んでいるはずです」と田路先生。90日以上にわたって生理が来ない場合は、医師に相談してみましょう。
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出血量が多い人も要注意
放置せず、婦人科へ
教えてくれたのは・・・ナビタスクリニック新宿 院長 濱木珠恵先生
はまきたまえ/北海道大学卒。都内病院にて造血幹細胞移植の臨床研究、血液疾患の治療に従事し、2016年4月より現職。貧血内科・女性内科などで、女性の健康をサポートしている。
生理が重い場合、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が隠れていることも。大量出血の原因から改善しない限り、貧血症状も迷宮入り。
\生理のトラブルを放置せず、婦人科検診を!/
「ナプキンからもれるほど出血がある、生理不順を繰り返す…そんな状態を放っていると、食事で鉄分を補充した所で鉄不足は解消されません。婦人科へ行けば、低容量ピルで出血をコントロールするなど根本から改善する道も」(濱木先生)
貧血症状を悪化させるこんな習慣、やっていませんか?|チェックリスト付
生理不順の改善や生理期間の移動
低用量ピルを試すのもあり
教えてくれたのは・・・婦人科専門医 松村圭子先生
「生理不順の人は、今、妊娠を希望していないのであれば、低用量ピルでリズムをつくって、生理周期を安定させておいた方がいいでしょう。妊娠を希望するようになったら服用をやめた際、内からのリズムが戻ってくることもあります。それでも不順が続く場合も、次の排卵を誘発させる治療に進みやすくなりますよ」(松村先生)
低用量ピルを服用すると、約28日周期で生理が訪れるようになります。低用量ピルによってホルモンが投与されると、体は安心して、自身によるホルモンの分泌を抑えます。そして、偽薬または休薬期間に入ると、「ホルモン剤が入ってこなくなった」ことによって、生理(消退出血)が始まるのです。
「休薬にする時期はコントロールできますから、生理の開始日の移動も簡単にできます。予定より早く休薬にすれば生理が早くくるし、先延ばしにすれば、生理も先延ばしにできます」と松村先生。
生理不順の改善だけでなく、たとえば、受験や旅行、スポーツの大会など、生理が重なってしまいそうなときに低用量ピルの助けを借りることもできます。「ドーピング検査の対象から外れるため、大事な大会を控えたアスリートにも低用量ピルを利用している方がいますよ」(松村先生)
生理不順がひどい…低用量ピルで改善できる?【女医に訊く#54】
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。