健康・ヘルスケア
2019.5.9

女医が回答! “乳がん”は女性に最も多いがん…若い世代でリスクが高いのは、どんな人?

女性に最も多いがんと言われている「乳がん」。若い世代でリスクが高い人は、どんな人? 自由が丘みきブレストクリニック院長の森 美樹先生にお話を伺いました。

日本では忙しい働き盛りの年代に多い

「日本女性の乳がんは、年々増加傾向にあります。今、11人にひとりが乳がんにかかる時代といわれています。でも日本で最も多く乳がんにかかりやすい年代は、40代、50代。次に60代です。最近、若い20代、30代の有名人の方の乳がんが報じられていますが、全体の数からいえば、決して多くはありません。欧米では年齢が上がる程、乳がんにかかりやすい傾向にあるのに、日本では家庭でも社会でも忙しい働き盛りの年代に、乳がんが多いという特徴があります。これは、アジア女性特有のもので、その理由ははっきりとわかっていません」と森美樹先生。35歳未満の日本人女性の乳がんは全体の割合からいえば非常に少なく、3%未満ともいわれています。ですから、むやみに心配したり、怖がったりする必要はないです。けれども、乳がんは日本女性で罹患率第1位のがんであることには、変わりありません。罹患者数、死亡率とともに年々、増加の一途をたどっています。

血縁に乳がんや卵巣がんの方が複数いたら要注意

数は少ないとはいえ、若い世代でも乳がんにかかる場合も。では、いったいどのようなひとが、乳がんリスクが高いのでしょうか?「誰もがかかる可能性はありますが、特にリスクが高い人は初経年齢が早く、閉経年齢が遅い、出産経験がない、授乳経験がないなど、女性ホルモンのエストロゲンにさらされている期間が長い人があげられます。これは、乳がんの発生はエストロゲンに影響されて起こる場合が少なくないからです。他に注意したいのは、血縁者に乳がんや卵巣がんにかかった方が複数いる場合です。遺伝性の乳がんが疑われます。」と森先生。下記のチェックリストの中で、防ぐことができるのは、飲酒、運動不足、閉経後の肥満くらいです。乳がんは、生活習慣病で予防することが難しいのです。

Check! 乳がんが起こりやすいリスクにはこんな要因があります

□ 初経年齢が低い
□ 閉経年齢が遅い
□ 出産経験がない
□ 初産年齢が遅い
□ 授乳経験がない
□ 飲酒
□ 閉経後の肥満
□ 身体活動度が低いこと
□ 第一親等(自分の親また子)で乳がんになった血縁者がいる
□ 良性乳腺疾患にかかったことがある
□ マンモグラフィで高濃度乳房である
□ 身長が高い
□ 放射線による正常細胞への障害を受けること

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)とは?

血縁に乳がんや卵巣がんが多く起こる遺伝性の病気です
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HBOCは血縁に乳がんや卵巣がんなどが多発する病気で、アンジェリーナ・ジョリーさんの告白でも有名。原因はBRCA1、BRCA2という2種類の遺伝子の変異。HBOCが疑われるのは次に当てはまる人で、まず適切な遺伝子カウンセリングを受けることが勧められる。□40歳未満で乳がんを発症、□医学的な血縁内に複数の乳がん、卵巣がんの人がいる、□片乳房に乳がん発症後、反対側の乳がんか、卵巣がんを発症。ここでいう医学的な血縁とは、法律的な”〇親”とは異なり、上図のような第一度、第二度、第三度近親者まで含む(本人の配偶者は除く)。HBOCは、全乳がんのうち5~10%程度(国立がん研究センターがん情報サービスより)。逆にいえば、遺伝性でない乳がんの方が多い。詳しい遺伝子カウンセリングなどの情報は「日本HBOCコンソーシアム」hboc.jp/で。

 

お話を伺ったのは…
自由が丘みき ブレストクリニック院長 森美樹先生
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鳥取大学医学部医学科卒業。同医学部病態制御外科学講座入局後、がん研有明病院乳腺外科、聖路加国際病院乳腺外科、昭和大学乳腺外科助教、米国カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校を経て、’16年より現職。医学博士日本乳癌学会乳腺専門医・指導医。

 

『美的』1月号掲載
撮影/田中麻衣(本誌) イラスト/きくちりえ(Softdesign) 編成/増田美加(女性医療ジャーナリスト)

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