健康・ヘルスケア
2019.4.7

出血が多いなどの生理に関するお悩み| 生理不順や生理痛をピルや漢方で改善する方法など

出血の量が多い、生理不順、生理痛が重い、これってわたしだけ??なかなか人に聞きにくい生理に関するお悩み。病院に行くべき痛みや経血の量を産婦人科専門医に教えてもらいました。生理痛や生理不順を緩和する低用量ピル、症状の改善におすすめの漢方などご紹介します。少しでも気になることがあったらトラブルを放置せずに専門医に相談してみましょう!

【目次】
病院に行くべき痛みの症状と経血の量とは?
生理痛や生理不順を緩和“低用量ピル”
生理不順や生理痛・改善におすすめの漢方

病院に行くべき痛みの症状と経血の量とは?

どんな痛みや症状のときは病院へ行くべき?

\教えてくれたのは…/

どんな痛みや症状のときは病院へ行くべき?
産婦人科専門医
福山千代子先生
アヴェニューウィメンズクリニック院長。金沢医科大学卒業後、東京大学医学部附属病院など複数の病院で経験を積み、2009年11月より現職。クリニックでは更年期障害をはじめ、月経痛や月経前症候群(PMS)など、女性特有の疾患に関する治療を行っている。
■アヴェニューウィメンズクリニック https://www.aw-clinic.com

生理痛くらいで婦人科に行くのはちょっと……と思う人も多いのでは? いったいどんな症状を感じたら、病院で診察を受けるべきなのでしょうか。

「まず、痛みが生理前後に限らず長期間続く場合、子宮内膜症の可能性がありますので来院して頂くことをおすすめします。市販の痛み止めが効かない、推奨される用量を超えてしまうような場合や、経血の量が多すぎる場合も、何かしらの不調を抱えている可能性がありますので、一度専門医に相談いただくのが安心ですね」(福山先生・以下「」内同)

痛みはまだしも、経血の量ってどのくらいが“普通”なのかよく分からないかも。多いとは、どのくらいを目安にすればいいのでしょう。

「個人差がありますが、“多い日用のナプキンが1時間で一杯になる量”というのが、1つの目安になると思います。患者さんのなかに、生理2日目には夜中に目覚ましをかけて、2~3時間ごとにナプキンを変えるという方がいたんです。ご本人にとっては当たり前のことでしょうが、さすがにこれは量が多いといえるでしょう」

生理痛や経血については、なかなか他の人と話す機会もないはず。本人にとっては“いつものこと”でも、「気軽に婦人科医に相談してほしい」

「痛みにせよ経血の量にせよ、知らないままずっと大変なことを抱えているより、専門医に相談いただいたほうが、解決の糸口が見つけやすいはず。ちょっとでも気になることがあったら、億劫がらず、そして怖がらずにぜひ婦人科を受診していただけたらと思います」

痛み止めは“早めに服用”がポイント

どうしても痛みが我慢できない場合、鎮痛剤を服用するのもひとつの方法です。生活に支障が出るほどの痛みはないに越したことはないでしょう。「体に悪いかも」などと思わず、痛みをブロックしてしまいましょう。我慢するほうがよっぽど体に悪影響かもしれません。

「市販薬でも構いませんが、服用のタイミングが重要。“痛みの発生する少し前”から使い始めてください。生理痛は体内の受容体に、痛みの原因となるプロスタグランジンが結合して発生します。痛み止めはプロスタグランジンの生成を阻害するため、プロスタグランジンが受容体に結合した後、すなわち実際に痛み始めてから使っても効果が限定されてしまうこともあります」(福山先生・以下「」内同)

ギリギリまで痛みを我慢してから薬に頼ると、イマイチ効かないと感じることも。毎回必ず生理痛が起こる人は、そろそろかな?と思ったタイミングで、痛みが出る前に服用しましょう。

その一方で、なるべく痛み止めには頼りたくないという女性もいるはず。

「生理痛の緩和には“骨盤の血流を促す漢方”を処方する場合もあります。市販薬にもよいものは沢山ありますが、処方薬との違いは“有効成分の量”。市販薬では効かない場合も、専門医に相談くださるのがよいでしょう」

女医に訊く#6|生理痛緩和のためにできることは?ナプキンの取り換え時って?

生理のトラブルを放置せず婦人科検診を!

\教えてくれたのは…/

生理のトラブルを放置せず婦人科検診を!
ナビタスクリニック新宿 院長 濱木珠恵先生
はまきたまえ/北海道大学卒。都内病院にて造血幹細胞移植の臨床研究、血液疾患の治療に従事し、2016年4月より現職。貧血内科・女性内科などで、女性の健康をサポートしている。

生理のトラブルを放置せず婦人科検診を!
「ナプキンからもれるほど出血がある、生理不順を繰り返す…そんな状態を放っていると、食事で鉄分を補充した所で鉄不足は解消されません。婦人科へ行けば、低容量ピルで出血をコントロールするなど根本から改善する道も」(濱木先生)

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生理痛や生理不順を緩和“低用量ピル”

低用量ピルとは?

\教えてくれたのは…/

低用量ピルとは?
浜松町ハマサイトクリニック 産婦人科医 吉形玲美先生
よしかたれみ/医学博士。東京女子医科大学医学部を卒業後、同大学准講師を経て、非常勤講師に。2010年7月より現クリニック院長に着任。現在は診療のほか、多くの施設で予防医療研究に従事している。揺らぎやすい女性の体のホルモンマネージメントが得意分野。

低用量ピルとは?
排卵を起こさせなくするピルの中でも、含まれるホルモンの量が少ないタイプです。
「自然な排卵によって分泌される女性ホルモンは、場合によって生理痛の原因になったり、子宮内膜症などの進行を促したりします。そこで女性ホルモン(特に黄体ホルモン)を含むピルを飲んで脳を勘違いさせ、自然な排卵を休ませるというもの。それにより排卵が引き起こしていたつらい症状を改善・治療できます。日本も含め、今世界で最も多く使われているのが、女性ホルモンの含有量を最小限にとどめた『低用量ピル』です」(吉形先生・以下「」内同)

低用量ピルを飲むメリットは?

バースコントロールのほか、月経困難症、子宮内膜症、PMSのつらい症状を軽減。卵巣がんのリスク軽減も!
「ピルに含まれる女性ホルモンには子宮内膜の増殖を抑える作用があり、生理痛や子宮内膜症が緩和。血中のホルモン量が安定し、PMSの改善も期待できます。また、使い続けてきた卵巣や子宮を休ませられるため、卵巣がんや子宮体がんのリスク軽減も期待できます」

低用量ピルの種類

含まれる黄体ホルモンの種類や量によって数タイプ。セレクトは医師に相談を。
「低用量ピルは、含まれる黄体ホルモンの種類によって1~3世代、配合量で1相性と3相性に分かれます。1相性はホルモン量で一定で、生理痛やPMSの緩和向き。3相性は自然なホルモン分泌の波に近づけた3段階の量で、生理不順の改善や避妊薬として出すことが多いです。現在、月経困難症や子宮内膜症に対しては保険適応のピルが処方されます」

低用量ピルの種類
3相性として代表的なトリキュラー28
本来の自然なホルモンバランスに近くなるように、ホルモン量を3段階に変化させた、第2世代・3相性のピル。1シートに28錠入りで、生理1日目から服用を開始。子宮内膜の安定に効果的。

低用量ピルの種類
1相性として代表的なマーベロン28
第3世代・1相性のピル。28錠タイプは、休薬の1週間分にプラセボ(偽薬)が入り。プラセボを抜いた21錠のホルモンの量は一定。

低用量ピルの正しい飲み方

低用量ピルの正しい飲み方
1日1錠、毎日同じ時間にとるのが基本。
「飲み方は、毎日1錠ずつ、同じ時間が基本です。水やお湯で飲むようにしましょう。ジュースやお茶などで飲むのは成分を変化させる可能性があるので避けてください。そのまま飲み込むのもNGです。飲み始めるタイミングは目的によっても違うので、医師に必ず相談を!」

低用量ピルが合わないタイプの人はいますか?

血栓ができやすい人は要注意!
「喫煙者はピルの服用で血栓ができやすくなるといわれるため、たばこと低用量ピルの併用はおすすめできません。年齢的に40代以上も血栓症リスクは高まります。元々血栓のできやすい人や、家族に既往歴のある人は、初診時に血液凝固系の検査を受けましょう」

低用量ピルに副作用はありますか?

飲み始めの1~3か月に、吐き気や不正出血があることも。
「飲み始めの1か月くらいは吐き気、不正出血、めまい、乳房のハリなどの症状が出る人が多いけれど、これらは突然のピルの
侵入に体が驚いて反応したまで。2か月目くらいから自然に落ち着いてくるので、様子を見ましょう。3か月以上たってもトラブルが続くようなら、服用中の低用量ピルが体質に合っていないことが考えられるので、医師に相談してください」

“低用量ピル”で生理痛がラクになるって本当? 気になる疑問を女医が解説!

生理不順や生理痛・改善におすすめの漢方

漢方薬で体質改善していく方法

\教えてくれたのは…/

漢方薬で体質改善していく方法
イシハラクリニック副院長 内科医 石原新菜先生
いしはらにいな/帝京大学医学部卒。同大学病院で研修医を経て、現クリニック副院長に着任。漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療に当たっている。そのほか、わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄で、TVやラジオ、雑誌、執筆活動と、幅広く活躍。

「漢方薬は、痛みの発生を抑える西洋薬とは違い、個々の体を『気・血・水』のバランスで診断して体質改善していきます。生理痛体質(血行不良)の改善は下の4つが定番」(石原先生)

温経湯(うんけいとう)
脈やおなかの力が弱い虚弱なタイプの人の、月経不順や月経困難症、PMSなどを和らげる。「血虚」(血不足)を改善する薬で冷え性にも効果的。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
体力虚弱で、冷え性、貧血の傾向があり疲労しやすい人の、生理痛、生理不順、むくみなどを緩和。血巡りの悪い「瘀血」を改善し、体を温める。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
比較的体力があり、赤ら顔、冷えのぼせ、下腹部のハリなどを感じるタイプに向く。「瘀血」を改善して、生理痛や月経異常などの症状を緩和。

加味逍遥散(かみしょうようさん)
体力があまりなく、肩こり、頭痛、のぼせ、イライラなどさまざまな不定愁訴に悩む人の諸症状を緩和。「瘀血」の改善に加え、抑うつ効果も。

女医も実践! 生理日以外の日常ケアでもう生理痛に悩まない!

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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