健康・ヘルスケア
2018.3.27

女医に訊く#6|生理痛緩和のためにできることは?ナプキンの取り換え時って?

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月に1度やってくる“生理”。人によっては寝込むほどツライという生理痛に苦しめられている場合も。痛みを和らげ、生理中も快適に過ごすにはどうしたらいいの? 婦人科医の福山千代子先生に教えていただきました。

冷えは大敵!入浴やカイロを活用しよう

前回記したように、生理痛は“子宮が収縮したり、体内に分泌する痛みの原因物質”によって発生します。病気が原因ではないこのタイプの生理痛は、ライフスタイルの変化によって改善が望めます。

「まず大切なのは“血流を促すこと”です。体が冷えないように気を配り、とにかく温めてあげましょう。たとえば入浴はシャワーで済ませず、バスタブにゆっくりつかること。公衆浴場のような場所でなければ、経血があるときでも入浴して構いません」(福山先生)

生理中はなんとなく湯舟に浸からないという人も多いのでは? 福山先生いわく、むしろお風呂は積極的に活用したほうがいいとのこと。また、お腹周辺をカイロで温めるのも有効です。貼る位置は、下腹部と背中の尾てい骨上あたり。効率良くじんわり子宮の周囲が温まります。就寝時には、仰向けになった状態で、レンジで温めるタイプの湯たんぽやカイロを脚のつけ根の鼠径(そけい)部あたりに置くのもおすすめです。

「とにかく冷えが大敵。それには内臓を冷やさないのが一番です。生理の時はもちろん、普段から冷たい飲みものを避けるようにするのもよいでしょう。また、カフェインは体を冷やす作用があるためほどほどに。“温かくてノンカフェインの飲みもの”をいただきましょう」(福山先生)

生理中のファッションは“ふわモコ系”で

「血流を妨げるファッションはNGです。特に下半身を締めつけるスタイルは、子宮周囲を圧迫して血のめぐりを悪くする原因。生理中はスキニーパンツやタイトな恰好を避け、できればふわっとしたスカートの下にニットショーツいわゆる“毛糸のパンツ”を重ね穿きするなど“ゆるくて温かいスタイル”を心がけましょう。下着もローライズなどお腹が冷えそうなものは避けた方がベター」(福山先生)

最近は生理用ショーツを穿かない人も多いそうで、そのために生理用ナプキンがズレてしまう=タイトなボトムスでフィットさせる、というのはいけません。生理用ショーツでナプキンが動かないようにして、冷え防止&締め付けない“毛糸のパンツ”を重ね、ゆったりしたパンツやスカートを……が理想です。

冬はもちろん、夏も冷え対策は万全に。冷房の効いた室内で過ごすときのために、羽織りものをいつも携帯する、サンダルに素足で長時間過ごすのを避ける、デスク仕事の間にはレッグウォーマーを履く、夏でも下半身は温めるなど、季節に関係なく“体を冷やさない工夫”をぜひ。

“痛いからじっとしている”は逆効果!?運動が生理痛を軽減

生理痛がしんどいから、1日中じっとしてやり過ごす……実はこれ、逆効果だそう。

「動かないでいると血流は滞りますから、経血を押し出そうと子宮が収縮し、余計痛みが増してしまいます。生理中は無理のない範囲で、なるべく体を動かしたほうがいい。デスクワークが続いたら、合間にストレッチするとか、エレベーターを使わずに階段を上り下りするとか。そのほうが結果として楽になるはずですからぜひ試してみて」(福山先生)

特に下半身の血流を促す運動がおすすめ。入浴して血流を促したあとに開脚や腰をまわすなどの軽いストレッチをするなど、生活の中で無理なくできることから始めてみましょう。

ナプキンの取り換え時を間違えると子宮周囲が冷える!?

ところで皆さん、生理の時、1日何回ナプキンを換えていますか? 近年のナプキンは高機能で経血の吸収力が優れていますが、そのことが原因で冷えを招いているかもしれません。「長時間同じナプキンをつけたままでいると、子宮周囲が冷えやすくなってしまうんです」と、福山先生。ナプキンを換えないと冷えるだなんて、ちょっと意外な気が……。

「水分を吸収したポリマーがデリケートゾーンに長時間触れているわけですから、極端な例え話でいうと、発熱した際におでこに貼るような“冷却ジェルシート”を股間に貼っているようなものなんです。子宮に近い部分ですから冷えが伝わりやすく、また雑菌も繁殖しやすくなります。それではどれくらいの頻度でナプキンを換えればよいかというと、理想は2~3時間ごと。トイレに行くたびに、新しいものにするイメージです。経血の量には個人差がありますが、“まだまだ吸収できそう”と感じても取り換えたほうがいいですね。ナプキンの機能が進化したからといって、“多い日用のナプキンを取り換えずに終日使う”のは、正しい使用法とはいえません」(福山先生)

多い日用のナプキンや夜用は、どうしても長時間トイレに行けない場合や就寝中など、あくまで“取り換えられない時”用のもの。何度もトイレに行っているのに取り換えない、長時間吸収できるからそのまま同じものをつけていても大丈夫などという考えはNGです。余談ですが、生理期間中以外に使うおりものシートも、ポリマーを使っていて生理用ナプキンと構造は同じ。水分を吸えばひんやりとするものです。こちらも終日で1枚ではなく、湿り気を感じたら取り替えるという習慣を。普段から冷えの原因をひとつひとつ排除していくと、生理痛も軽くなっていくかもしれません。

痛み止めは“早めに服用”がポイント

どうしても痛みが我慢できない場合、鎮痛剤を服用するのもひとつの方法です。生活に支障が出るほどの痛みはないに越したことはないでしょう。「体に悪いかも」などと思わず、痛みをブロックしてしまいましょう。我慢するほうがよっぽど体に悪影響かもしれません。

「市販薬でも構いませんが、服用のタイミングが重要。“痛みの発生する少し前”から使い始めてください。生理痛は体内の受容体に、痛みの原因となるプロスタグランジンが結合して発生します。痛み止めはプロスタグランジンの生成を阻害するため、プロスタグランジンが受容体に結合した後、すなわち実際に痛み始めてから使っても効果が限定されてしまうこともあります」(福山先生)

ギリギリまで痛みを我慢してから薬に頼ると、イマイチ効かないと感じることも。毎回必ず生理痛が起こる人は、そろそろかな?と思ったタイミングで、痛みが出る前に服用しましょう。

その一方で、なるべく痛み止めには頼りたくないという女性もいるはず。

「生理痛の緩和には“骨盤の血流を促す漢方”を処方する場合もあります。市販薬にもよいものは沢山ありますが、処方薬との違いは“有効成分の量”。市販薬では効かない場合も、専門医に相談くださるのがよいでしょう」(福山先生)

どんな痛みや症状のときは病院へ行くべき?

生理痛くらいで婦人科に行くのはちょっと……と思う人も多いのでは? いったいどんな症状を感じたら、病院で診察を受けるべきなのでしょうか。

「まず、痛みが生理前後に限らず長期間続く場合、子宮内膜症の可能性がありますので来院して頂くことをおすすめします。市販の痛み止めが効かない、推奨される用量を超えてしまうような場合や、経血の量が多すぎる場合も、何かしらの不調を抱えている可能性がありますので、一度専門医に相談いただくのが安心ですね」(福山先生)

痛みはまだしも、経血の量ってどのくらいが“普通”なのかよく分からないかも。多いとは、どのくらいを目安にすればいいのでしょう。

「個人差がありますが、“多い日用のナプキンが1時間で一杯になる量”というのが、1つの目安になると思います。患者さんのなかに、生理2日目には夜中に目覚ましをかけて、2~3時間ごとにナプキンを変えるという方がいたんです。ご本人にとっては当たり前のことでしょうが、さすがにこれは量が多いといえるでしょう」(福山先生)

生理痛や経血については、なかなか他の人と話す機会もないはず。本人にとっては“いつものこと”でも、「気軽に婦人科医に相談してほしい」と、福山先生。

「痛みにせよ経血の量にせよ、知らないままずっと大変なことを抱えているより、専門医に相談いただいたほうが、解決の糸口が見つけやすいはず。ちょっとでも気になることがあったら、億劫がらず、そして怖がらずにぜひ婦人科を受診していただけたらと思います」

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産婦人科専門医
福山千代子先生
アヴェニューウィメンズクリニック院長。金沢医科大学卒業後、東京大学医学部附属病院など複数の病院で経験を積み、2009年11月より現職。クリニックでは更年期障害をはじめ、月経痛や月経前症候群(PMS)など、女性特有の疾患に関する治療を行っている。
■アヴェニューウィメンズクリニック https://www.aw-clinic.com

文/宇野ナミコ 撮影/藤岡雅樹(小学館)

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