加齢臭は耳裏から放たれる…ってホント?真相を医師に直撃!
日常生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は、“ニオイ”について。加齢臭対策には、耳の後ろがポイントって…ウソ? ホント? 内科医で認定産業医の桐村里紗さんにお答えいただきます。
Q:加齢臭対策には、耳の裏を洗うのが効果的ってホント?
「カレの耳の後ろのニオイがキツくなってきた」、「加齢臭の発信元は耳のうしろらしい……!」っていう話を聞きませんか?加齢臭は耳裏から放たれるのでしょうか。とすれば、耳のうしろをよく洗えば、加齢臭は軽減するのでしょうか。
さっそく、この疑問を桐村先生にぶつけてみました! 果たして先生の答えは……?
A:ウソ
「耳の裏を洗っても加齢臭の対策にはなりません。確かに、某調査では、81%が加齢臭の発生部位を“耳の後ろ”と回答したとされますが、実は、これは大きな勘違い。加齢臭は、皮脂の中に含まれる脂肪酸・パルミトレイン酸が酸化することで発生する2-ノネナールが原因成分です。皮脂は、全身から分泌されます。どこからでも発生する可能性がありますが、耳の裏は、クサいと感知されるほどの発生部位ではありません。加齢臭が強く感知される場所は、背中と胸周り(体幹部)ということが明らかになっているのです。
耳のうしろから放たれるニオイは加齢臭ではなくミドル脂臭かも
「耳の裏が…というのは、男性特有の“ミドル脂臭”と“加齢臭”を混同しているのではないでしょうか。
ミドル脂臭は、40代前後をピークにしたミドルエイジの男性に発生する後頭部から首まわりにかけての古い油のようなニオイです。汗と皮脂の中の成分が合わさったジアセチルがニオイの原因であり、いわゆる枕臭の原因にもなる悪臭です。
一方で、加齢臭は40代から発生し、年齢を重ねるごとに増加するシニア特有のニオイ。これは、枯れ葉や古本などとも表現されるちょっと鄙びたニオイです。調査によると、男性の加齢臭について、女性はあまり悪臭とは感じない人が多いようです」(桐村先生・以下「」内同)
加齢臭をなくすためのゴシゴシ洗いは逆効果
「女性は年齢とともに、加齢臭の原因となる皮脂の分泌自体は減少していきます。一方で、閉経後は皮脂の酸化を防いでいた女性ホルモンの分泌が低下するため、皮脂の酸化が起こりやすく、加齢臭化しやすくなってしまうのです。年齢を重ねても皮脂分泌が減らない男性に比べると、女性の方が加齢臭について気になりにくいものですが、それでも若い頃と比較すると皮脂のニオイが変化したと感じてしまう方も多いようです。
加齢臭を放つ皮脂を落とそうと、洗浄力の高いソープを使ってゴシゴシこすり洗いするのは逆効果。皮膚を守っていた常在菌が減少してバランスが崩れ、体臭の原因となる雑菌が繁殖しやすくなります。また、皮膚を乾燥させてしまうことで、逆に皮脂の分泌を促してしまうことに……。ソープを使うなら、優しく手で泡立てたり、シルクや綿など天然素材の柔らかいタオルを使い、なでる程度にしましょう。そして、入浴後はしっかり保湿をし、皮膚をしっとり潤わせておくことで、適度な皮脂の分泌と常在菌のバランスを保つことができますよ」
乾燥が気になるこの時期。正しくやさしいお手入れ方法でお肌を労わりながら、ニオイケアもしていきたいですね。
文/木土さや
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