体臭で病気がわかるってホント?真相を医師に直撃!
日常生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は、“ニオイ”について。体臭で病気がわかるって…ウソ? ホント? 内科医で認定産業医の桐村里紗さんにお答えいただきます。
Q:体臭で病気がわかるってホント?
「体臭から甘いニオイがすると糖尿病かも」「胃が悪いと酸っぱいニオイがする」などなど、体臭が病気のバロメーターになる説、みなさんも耳にしたことがあるのでは? 体臭で病気がわかるって本当なんでしょうか。
さっそく、この疑問を桐村先生にぶつけてみました! 果たして先生の答えは……?
A:本当
「体臭は、体内環境を元に体の表面から発生する揮発性のガスです。病気になると代謝が変わり、特有の代謝物が生まれるので、ニオイも変わります。ニオイには、人に感じられるニオイと感じられないニオイがありますが、現在は、ニオイ分子をがんの診断にも応用しようという研究が進められています」(桐村先生・以下「」内同)
糖尿病になると体臭がアンモニア臭くなる
「代表的なのは、糖尿病。重症の糖尿病では、ケトン体という独特の甘酸っぱいニオイがする代謝物が発生します。血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが低下して、糖がエネルギーに変えられず、脂肪が分解することで発生するのです。
腎臓が悪いと、尿から排泄するはずのアンモニアを排泄できなくなり、体臭がアンモニア臭くなります。老化現象として、アンモニアを分解する肝機能が低下してくる高齢者も、汗がアンモニア臭くなってきます。
また、腸内環境が悪化すると便が臭くなりますが、そのニオイ成分は、血液中に吸収され、主には肝臓で解毒されます。ただし、肝機能が低下していると解毒が十分にできずに、体臭として便臭が現れてしまう可能性も……」
酸っぱい、生ゴミ臭がする…胃が悪いと口臭が強くなる
「胃が悪い場合のニオイも様々。胃酸が過剰になる胃酸過多や胃酸が逆流してくる逆流性食道炎の場合には、口の中に胃酸の酸っぱいニオイがしてくることがあります。また、胃の消化力が低下する場合は、十分に消化しきれなかった食べ物が腸で腐敗し、腐敗臭が血液を通じて肺から呼気として分泌され、口臭となります。胃が悪いと口が臭いと感じている人の多くは、このタイプだと思いますが、生ゴミ臭とも言われる悪臭です。
また、ピロリ菌感染がある場合は、胃の中でアンモニアを発生させて、口臭がアンモニア臭い原因になることもあります」
ガンにも特有のニオイ分子が!体臭は病気の重要なサイン
「最近では、がん細胞は特有のニオイ分子を分泌することがわかっています。人には感じられませんが、人よりも嗅覚が敏感な線虫は、このニオイが大好きで、尿1滴あれば、人の体内でがんが発生しているかを敏感に感じ取れるのです。
HIROTSUバイオサイエンスの開発したN-NOSEという線虫を使ったがん検査では、stage0から9割の感度で、メジャーながんを含む多くのがんを検出することが可能です。2020年には実用化の見込みとのことで、今後は、血液検査や画像検査の前に、まずは尿を少量提出するだけで、線虫に何かしらのがんがないかを見つけてもらい、陽性であれば精密検査にすすむという流れになるでしょう。
病気による体臭は、体内に何かしらの変化があることを示す重要なサイン。自分や周囲の人の体臭の変化を感じたら、体の状態を振り返ってみるといいですね」
文/木土さや
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