健康・ヘルスケア
2024.12.17

完璧すぎるUV対策で骨密度が下がるってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】

日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を医師や専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「骨と美容」について。完璧すぎるUV対策はビタミンD不足になるってホント? ゆりクリニック院長・医師の矢吹有里さんにお話を伺いました。

Q:完璧すぎるUV対策で骨密度が下がるってホント?

「骨といえばカルシウム」というイメージをもっている人も多いと思います。しかし、骨をつくるにはカルシウムだけでなく、その吸収を高めるビタミンDが必須なのです。そして、ビタミンDは、完璧すぎるUV対策をすることで不足してしまうというウワサ。本当なのでしょうか。さっそく、この疑問についてゆりクリニック院長・医師の矢吹有里さんに聞いてみました。

A:ホント

「ビタミンDは紫外線に当たることによって、皮膚でつくられます。よってUV対策をしすぎるとビタミンDの生成が妨げられ、結果的にカルシウムの吸収ができずに骨が弱くなってしまいます」(矢吹有里一さん・以下「」内同)

日本人の多くがビタミンD不足

「男女ともに、98%がビタミンD不足というデータがあります。ビタミンDが不足しているかどうかは人間ドッグで血中濃度の測定をしたり、骨粗鬆症検査をすることで調べることができますが、基本の項目には入っていないことがほとんど。そのため、不足しているという意識がないというのも、ビタミンD不足の人が多い原因だと思います」

ビタミンDの効果は?

ビタミンDにはカルシウムを骨に取り込む効果があります。ビタミンDがないとカルシウムは骨になりません。また、ビタミンDには筋肉量やバランス能力をキープする、大腸がんなど一部のがんや認知症の予防の作用もあり、特に高齢者には特に大事な成分といえます。そのほかにも、糖尿病やインスリンの効き具合を意味するインスリン抵抗性の低下、血糖値を安定させる効果も。

ビタミンDが免疫の調整に関わっているということはコロナ禍でも話題になりました。コロナで重症化した人の血中のビタミンD濃度はとても低かったという調査もあり、実際、血中ビタミンD濃度が高い人は重症化しにくいとされています。

加えて、ビタミンDには精神を安定させる作用もあります。例えば、北欧諸国では、日照時間が短いため、うつ病発症のリスクが高くなることがあります。それを防ぐという理由で、食品にビタミンDを添加するのがスタンダードになっています」

なぜ、UV対策でビタミンDの生成が阻害される?

「上でも少し触れましたが、ビタミンDは肌が紫外線に当たることでつくられるからです。近ごろの日焼け止めはとても優秀で、紫外線をしっかりブロックしてくれるものが多く、使用していればビタミンDの生成ができなくなります」

紫外線からビタミンDを摂るおすすめの方法は?

「とはいえ、紫外線はシミやしわの原因となるもの。光老化なども問題になっていますし、美容のためには顔のUV対策は完璧にして、シミがほぼできない手のひらを日に当てるのがおすすめです。実はビタミンDの生成は、夏なら5分~10分、冬なら15分~30分程度、手のひらを日に当てるだけで十分なのです。日差しが強い日などは日陰でも大丈夫。曇りの日でも晴れの日の2/3くらいの紫外線量はあるので、効果は得られますよ」

ビタミンDが摂れる食べ物は?

「勤務時間やお仕事内容、ライフスタイルの関係などで、どうしても日に当たれないという人は、サプリメントやビタミンDを豊富に含む食品積極的に摂るようにしましょう。効率のよさは劣るものの、ビタミンDは食べ物からも摂取できます。ビタミンDの含有量が段違いに多い食品は紅鮭です。ちょっと多いと感じるかもしれませんが、週3回くらい切り身を食べれば必要量を摂取できます。あとはキノコ類。特に生きくらげや干し椎茸など、天日干しされたもののほうがビタミンDの量が多いです

顔のたるみやシワは骨密度の低下が原因

「はい。顔の骨は骨密度の低下で痩せてしまいます。顔の骨は顔の土台。その土台が痩せて減れば、そこについている靭帯は緩み、筋肉や脂肪も減り…と、皮膚を支えられなくなってしまうのです。これによって起こるのが、ゴルゴラインやほうれい線の出現です」

ゴルゴラインやほうれい線ができるメカニズム

「これまで、顔のたるみの原因は、加齢による肌の弾力低下、表情筋の衰え、脂肪の萎縮の3つとされてきました。しかし、上述したように、顔の骨痩せもたるみの大きな原因になることがわかってきました。

顔の靭帯や筋肉は骨についているので、眼球が入っている穴の部分が広がってくると、そこについている靭帯が緩み、皮膚を支えきれなくなってゴルゴラインやほうれい線といったラインがくっきりします。目の下のクマのようなたるみも同様に、眼球が入っている穴が広がってくることで出てきます。

マリオネットラインの原因は、あごの骨が減ること。それによりサイドからの支えが緩み、頬が落ちて縦のラインができます。さらに、あご先の骨が減って短くなることで肉が余り、二重あごや首のシワにもできやすくなります。

ちなみに、こめかみのへこみは骨だけではなく、脂肪が減ることで起こります。それによってフェイスラインがゴツゴツと男性的になると、それもシワやたるみと同じように老けて見える原因になるため、気にしたいところです」

頭蓋骨が痩せると鼻の穴も大きくなる?

「いいえ。頭蓋骨が痩せれば鼻の骨の穴は広がりますが、鼻の穴そのものの大きさにはあまり関係がありません。ただし、鼻翼基部という小鼻の横のくぼみが深くなることでほうれい線が目立ってくることはあります。鼻の穴が広がるというより、穴の形が変わってくるといったほうが正しいでしょう」

 

ゆりクリニック 院長/「骨太な未来プロジェクト」 アドバイザー


矢吹有里(やぶき・ゆり)

文/土屋美緒

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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