健康・ヘルスケア
2023.10.30

【保存版】『美的』世代のためのプチ更年期講座

『美的』読者にはまだまだ気の早い話題と思っていたら、「今から将来が不安で気になっています」という声が意外にも多数。どうしても、女性の健康はホルモンに左右されるもの。でも、その症状や時期は人それぞれ。まずは、「どんなもの」か知っておけば、漠然とした不安も軽減されるはず!

明治国際医療大学 鍼灸学部 学部長・教授

伊藤和憲先生

政策研究大学院大学 保健管理センター 所長・教授

片井みゆき先生

東京大学大学院医学系 研究科産婦人科学 准教授

原田美由紀先生

『美的』世代のためのプチ更年期から始める、女性ホルモンケア

更年期の不調は人それぞれ。甲状腺トラブルのことも…

女性に訪れる閉経前後の更年期ですが、その症状はほてりや発汗、手指関節の痛み、イライラや不眠などよく知られたものだけではありません。

上記にあるように「これも更年期?」と思うものも数多く、症状の現れ方や重さも人ぞれぞれ。さらに、更年期はほかの病気にも気をつけなければいけない時期です。

「これまで女性の健康を守ってきた女性ホルモンのひとつエストロゲンが減少するため、生活習慣病などのリスクも高まります。

また、甲状腺機能異常のように更年期と症状が似ているため気づきにくい病気もあります」と政策研究大学院大学 保健管理センター 所長・教授の片井みゆき先生。

美的世代にとって、更年期は未知の世界。不安に思うことは当然ですが、大切なのは正しい知識。不調に備えるためにも、更年期の正体をひもといていきましょう。

美的クラブにアンケート

Q. 自分の不調がプチ更年期かもと感じたことは?

30歳前からほてりやのぼせを感じる、生理前じゃないのにイライラが止まらないなどの症状を訴える人も。
(n=74、2023年5月8日以下同)

Q. 更年期を迎えるのが怖い?

怖いと答えた人は、「母が重かったから」「人格が変わってしまいそう」「どんな不調が出るかわからないから」など理由もさまざま。

まだ先だけど必ず訪れる!不安の正体をチェック! 更年期「基本のキ」編

女性ホルモンの減少に体が慣れずに起こる症状
更年期症状の主な原因は女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの減少。その変化に体が追いつかず、自律神経が乱れたりとさまざまな症状が起こります。「ほてりや突然の発汗といった血管運動神経症状は典型的な症状。手指の関節痛を訴える女性も多いですね。更年期症状はストレスも大きく関係するため、更年期を気にしすぎない方が症状が軽くすむようです」(原田先生・以下「」内同)

HRTは更年期に増える病気の予防にも役立つ
「子宮がある人にはエストロゲン剤とプロゲステロン剤の2種を補充します。HRTに抵抗感をもつ人もいますが、更年期症状の改善に加え、動脈硬化や骨粗鬆症の予防、大腸がんなどさまざまな疾患のリスクを下げるメリットがあります」と原田先生。ただし乳がんの既往症があると治療を受けられないので詳しくは医師と相談を。

美的世代は生理の異常は早めに受診して!
「生理のつらい症状は低用量ピルで改善できるので、気になる症状があれば婦人科へ。40歳前に閉経する早発閉経は稀ですが、ほかに病気がないかのチェックも必要です。婦人科のかかりつけ医を見つけておくと、更年期治療も早めに相談できますよ」

\こちらもチェック!/
もしかして更年期? 似ている病気や甲状腺トラブル、受けるべき検診を紹介

私の更年期リアルストーリー

山本未奈子さんの場合

V Holdings 代表取締役Co-CEO

山本未奈子さん

早くから不調が現れたケース。「突然起き上がれなくなり、うつ症状に。仕事を半年休業しました」
仕事を半年間休職する程の更年期障害を経験した山本未奈子さんが、最初に“変化”を感じたのは42歳のとき。

「生理不順になって婦人科を受診したら、『更年期です』と先生に言われました。そのときは特に治療はしませんでしたが、44歳頃からホットフラッシュや疲れやすさ、不眠などの症状を感じ始めました。冬でも突然汗が止まらなくなったり、夜中に目が覚めて眠れなくなったり…。それでも『まだ大丈夫!』と思い込んでいたんです」

不調を感じながらも仕事や子育てを頑張ってきた結果、46歳のある日突然、起き上がれなくなって2か月も寝た切りに。

「その前から集中力の低下や待ち合わせの時間どおりに行けない、突然涙があふれるなどのサインはあったのですが、無理して走り続けてしまったんです。寝た切りになって、母親、経営者、美容家としての自信をなくし、『美容の仕事も諦めるしかない』とい詰めることも。周囲のすすめもあり休職することにしました」

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【更年期体験談】山本未奈子さん「突然起き上がれなくなりうつ症状に。仕事を半年休業しました」

君島十和子さんの場合

FTC代表

君島十和子さん

遅くから不調が現れたケース「閉経後、理由なくドキドキ、不安感に襲われることがあります」
50歳頃から動悸がしたり、肌や髪の乾燥を激しく感じるようになったという君島十和子さん。
「54歳のときに不正出血があって婦人科を受診したところ、低用量ピルを1か月分処方され、一度、生理を止めることにしたんですが、結局、そのまま閉経しました」

十和子さんが本格的な更年期症状を感じたのは閉経後のこと。
「朝起きるとドキドキして、心配事なんかないのに不安感に襲われるようになったんです。すごくつらかったのですが、これが更年期だとは思っていなくて。病気じゃないかと調べてみたら、更年期の症状だとわかってホッとしました」

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【更年期体験談】美容賢者・君島十和子さん「閉経後、理由なくドキドキ、不安感に襲われることがあります」

食事、血流改善…今すぐできる3つの習慣

【1】乳製品、発酵食品、大豆類をとって体を整える


腸内環境を整えるには、納豆などの発酵食品や腸内の善玉菌を増やす働きがある乳製品、食物繊維が豊富な大豆製品がおすすめ。

「大豆にはたんぱく質や女性ホルモンに似た作用をもつイソフラボンだけでなく、トリプトファンも豊富。摂取したトリプトファンは、太陽の光を浴びると脳内でセロトニンに変わり、夜になるとメラトニンに変化して睡眠をサポート。良い睡眠にも欠かせない成分で、朝食で摂取するのが特に効果的です」

【2】ツボ押しで更年期の不調を和らげる

手軽にできて続けやすいのがツボ押し。

「更年期やPMSの症状に効果的なツボを、イタ気持ちいい程度の強さで1回5~10秒程押しましょう。ツボにドライヤーやシャワーを当てて温めるのもおすすめです」


足の内くるぶしから上に指4本分のところにあるツボ。『女性のツボ』とも呼ばれ、ホルモンバランスや冷え、ホットフラッシュなどに効果的。


ひざの皿の上から指3本分上の内側にあるツボ。更年期症状や生理前のイライラ、月経不順の緩和に効果的。ここをじんわり温めるのも◎。

【3】爪もみ習慣で自律神経を整える

「神経が密に存在している指先を刺激すると、自律神経を整えることができます。ストレスを感じたときや電車での移動中、睡眠前など気づいたら取り入れましょう」


手の親指から小指までを順番に、反対側の手の人さし指と親指で両側からつまんで押しもみする。各指10秒程度を目安に気持ち良い程度で行う。

『美的』2023年9月号掲載
イラスト/伊藤美樹 構成/青山貴子、有田智子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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