冷え性になりやすい人とは?冷えやすい人は痩せにくい?【女医に訊く#216】
気温がグンと下がり、手足や腰まわりの冷えが気になる季節になりました。冷え性になると、どのような症状が出てくるのでしょう? 冷え性について、内科専門医の伊東エミナ先生に教えていただきました。
どのような状態のことを「冷え性」というの?
この時季、手足や腰まわりの冷えに悩まされてはいませんか? いわゆる「冷え性」とは、どのような状態のことをいうのでしょう?
「冷え性とは体で熱、いわゆる“エネルギー”が上手くつくれていないということです」と話すのは、医学博士・内科専門医の伊東エミナ先生。伊東先生によると、エネルギーとは電気のようなものだそう。
「たとえば今、世界中で電気が止まってしまったら、すべての機能が止まりますよね? それと同じで、わたしたちにとって“生きる”とか“元気”などの“気”のもとというのは、体でつくられるエネルギーなのです」(以下「」内、伊東先生)
冷え性の兆候のひとつに、低体温があります。つまり、体温36℃未満のような低体温の状態というのは、体で熱が十分に産生できていないということ。そのため体の機能が低下し、さまざまな不調が出てしまうのです。
冷えの症状にはどんなものがある?
「冷え性は、西洋医学的病名ではありませんが、東洋医学では古代から病気の兆候として重要視されてきました」と伊東先生。冷えの症状は、物理的な冷たさだけではありません。
「たとえば、月経前症候群(PMS)や月経不順、便秘、肩こり、頭痛、腰痛、むくみなども、大きな意味での“冷え”の一症状みたいなものなのです。また、唇の色が紫っぽい、顔色がちょっと青ざめている、白っぽいなど、血色の悪さも大きな意味でいえば冷えの症状。そのような症状を合わせ持っている人も多いと思います」
冷え性になりやすい人とは?
「冷え性」の原因にはいくつかありますが、血流が悪くなると冷えるというのは、何となくイメージできますよね? では、なぜ血流が悪くなると冷えてしまうのでしょう。
「細胞の中にはミトコンドリアという細胞内小器官が存在し、そこで熱をつくっています。血液は酸素や栄養を運んでいるわけですが、それらはミトコンドリアの熱産生に必須の原料なのです」
つまり、血流が悪くなると、ミトコンドリアに必要な酸素や栄養が届かなくなり、その結果、生きるのに必要なエネルギーがつくられなくなってしまうというわけ。では、血流をアップさせるには何が必要なのでしょう?
「血行不良の原因のひとつに筋力の低下があります。筋肉量が熱をつくるには筋肉が必要です。筋肉は血流も多いですし、ミトコンドリアも脳の次くらいに多いところ。だから、筋肉が減ってしまった人、あるいは筋肉が元々なく体力のない女性などは、冷え性が多いのです」
冷えやすい人は痩せにくい?
「冷え性の方はダイエットをしても、効率はかなり悪いですね」と伊東先生。
ダイエットでよく使われる「燃焼」という言葉は、熱産生と同じ意味。つまり、熱産生が上手くいかなかったら燃焼もできないのです。
「熱産生が上手くいかないというのは、代謝が悪いということ。代謝にはミトコンドリアや血流、栄養などが関わっていますから、冷え性の方がいくら頑張ってダイエットしようとしても、なかなか難しい。さらに、カロリー制限をしてしまうと、筋肉が落ちるうえ、ミトコンドリアにいく栄養も減るため、余計痩せにくい体になってしまうんです」
冷え性の原因を治していけば、効率のよいダイエットに繋がることもあります。ダイエットをする前に、まずは、冷えにくい体づくりからはじめてみましょう!
文/清瀧流美
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エミーナジョイクリニック銀座院長。日本内科学会認定総合内科専門医。日本医師会認定健康スポーツドクター。日本医師会認定産業医。日本温泉気候物理医学会認定温泉療法医。東京女子医科大学医学部卒業後、同大学内分泌内科勤務。2002年、米国ヴァージニア大学留学。2004年に帰国後、2007年、富士河口湖に 統合自然医療センター「富士エミーナクリニック」開設。2010年、東京・銀座に「エミーナジョイクリニック銀座」を開設 (河口湖は同年閉設)。個人差に即応した根本治療と予防により、生涯を通じてのライフパートナー・クリニックとして、役割を果たすことを目指している。著書に『根本治療で「本当の健康」を手に入れる本』(カナリアコミュニケーションズ)がある。