とんかつはダイエットに効果的?おすすめする理由と注意点を解説
うまみたっぷりの肉や甘い脂身がおいしい、とんかつ。豚肉だけではなく、衣のさくさくとした食感や香ばしさも楽しめる料理です。この記事ではダイエットを行っている方へ、とんかつの栄養素を見ながら、おすすめの食べ方を管理栄養士がご紹介します。
とんかつのカロリーと栄養素
とんかつ1食(130g)に含まれるエネルギーと主な栄養素は、以下のとおりです。
エネルギーと 主な栄養素 |
ロース肉 (ロース/脂身つき/ とんかつ) |
ヒレ肉 (ヒレ/赤肉/ とんかつ) |
---|---|---|
エネルギー(kcal) | 558 | 493 |
糖質(g) | 11.8 | 18.2 |
たんぱく質(g) | 28.6 | 32.6 |
脂質(g) | 46.7 | 32.9 |
食物繊維(g) | 0.9 | 1.2 |
ビタミンE(mg) | 4.6 | 5.3 |
ビタミンB1(mg) | 0.98 | 1.42 |
ビタミンB6(mg) | 0.40 | 0.43 |
とんかつは使用する肉の部位によって、含まれるエネルギーと栄養素に違いが見られます。脂身が少ないヒレ肉は脂質とエネルギーが低く、そのほかの栄養素が相対的に高くなるため、ダイエット中はヒレ肉を使ったとんかつがおすすめです。
豚肉には本来、糖質や食物繊維、ビタミンEがほとんど含まれていません。とんかつの糖質と食物繊維は衣の材料であるパン粉、ビタミンEは揚げ油に由来しています。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
とんかつのお供「キャベツ」の健康効果
飲食店でとんかつを注文すると、とんかつに必ず添えられているキャベツ。キャベツに含まれるエネルギーと、主な栄養素を見てみましょう。
キャベツ 50g(結球葉/生)
エネルギー:11kcal
糖質:1.7g
食物繊維:0.9g
ビタミンK:39μg
葉酸:39μg
ビタミンC:21mg
キャベツは、ビタミンCを豊富に含む野菜です。ビタミンCには美容に効果的なイメージがありますが、病原体やウイルスから体を守る免疫という仕組みにも関わることがわかっています。
ビタミンCを摂ると免疫力が向上し、風邪などの病気を予防する効果が期待できるでしょう。
キャベツは、別名「キャベジン」と呼ばれるビタミンUも豊富です。ビタミンUには胃酸の分泌をおさえる作用や、胃の粘膜を修復する作用があるため、揚げ物を食べたときの胃もたれをおさえる効果が見込めます。
さらに傷ついた粘膜を修復するとともに、胃炎や胃潰瘍を予防して、胃を健やかに保ってくれるでしょう。
出典:文部科学省|日本本食品標準成分表2020年版(八訂)
ダイエット中にとんかつをおすすめする2つの理由
揚げ物を食べると肥満につながりそうですが、とんかつはダイエットに効果が期待できるかもしれません。ここからは、ダイエット中にとんかつをおすすめする理由を解説します。
1.豚肉に含まれるビタミンB1の健康効果
豚肉に豊富なビタミンB1には、糖質がエネルギーに変わるのをサポートする働きがあります。余分な糖質は脂肪として体に蓄えられてしまうため、ダイエット中は摂取した糖質をすばやくエネルギーへ変えて、消費することが大切です。
糖質と一緒にビタミンB1を摂取して、糖質をスムーズにエネルギーへ変換し、効率よくダイエットを進めましょう。
2.とんかつの腹持ちの良さ
油で揚げて作られるとんかつは多くの脂質を含んでおり、腹持ちがよい食べ物といえます。
なぜなら、たんぱく質や糖質などの栄養素と比べて、脂質は消化から吸収までに時間がかかるためです。脂質が多い食品を摂ると、食品が胃腸に長い間とどまってお腹が空きにくくなります。
しかし、脂質が多くなればその分、摂取エネルギーも増えてしまうことに注意が必要です。1日3食のうち1食にとんかつを食べて、ほかの2食で摂取エネルギーを調整すれば、ダイエットを後押しするメニューになってくれるでしょう。
ダイエット効果アップ!とんかつを食べる際の注意点
揚げ物でありながら、ダイエット効果が期待できるとんかつ。しかし、注意して食べなければ、脂質やエネルギーを摂り過ぎて逆効果になってしまうでしょう。
ここからはダイエット効果を高める、とんかつの食べ方のポイントを解説します。
調理方法や部位の選び方を工夫する
とんかつの脂質やエネルギーをおさえるには、調理方法や豚肉の部位をよく選びましょう。
とんかつは大量の油で揚げるだけではなく、衣をつけてオーブンなどで焼いても調理できます。調理に必要な油を少なくすれば、とんかつのエネルギーをおさえることが可能です。
とんかつに使用する豚肉は、ロース肉ではなくヒレ肉を選びましょう。ヒレ肉はロース肉よりも脂身が少ない分、摂取エネルギーをおさえられます。
温かいスープを飲んでから食べる
とんかつを食べる前に、温かいスープや味噌汁を飲みましょう。食事を始めてから満腹感を覚えるまでに20〜30分ほどかかるため、温かい汁物をゆっくり時間をかけて飲むことで、満腹と感じるまでの時間を稼げます。
さらに、最初に汁物を飲んでお腹を満たしておくことで、とんかつの食べ過ぎを防げるのです。加えて、食後の血糖値の上昇をおさえるために、野菜がたっぷり入ったスープや味噌汁を飲みましょう。
食後の血糖値が急上昇すると、血糖値を下げる「インスリン」というホルモンが多く分泌されます。インスリンは糖質を脂肪に変えて体に取り込もうとするため、インスリンの過剰分泌は肥満につながってしまうのです。
野菜に豊富な食物繊維は、食後の血糖値の上昇を緩やかにする作用があります。汁物で野菜をしっかり摂取して血糖値の上昇をおさえ、肥満を効果的に防ぎましょう。
食べ方を工夫してダイエット中もとんかつを楽しもう
大量の油を使って調理されるとんかつは、脂質やエネルギーが高くなりがちな食べ物です。ダイエット中に食べるのはよくないとされますが、ビタミンB1の作用や腹持ちのよさを上手に活用すれば、ダイエットの味方になってくれる食べ物でもあります。
ただし、食べ過ぎはやはり肥満をまねきます。取り入れ方に気をつけて、ダイエット中でもとんかつをおいしく食べてください。
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
アパレル企業を退職し、栄養士資格を取得。病院栄養士、食品メーカー品質管理、保育園栄養士などを経験する。現在はフリーランス管理栄養士として食・健康に関する記事を執筆する傍ら、日本ワインに合うおつまみレシピを発信している。