生理の血が「黒い」のは大丈夫?!期間や周期から分かる異常のサイン
生理の血が黒い!これって大丈夫なの?なんで黒いの?生理の血の色に隠された体の状態や、生理期間や周期から分かる女性ホルモンバランスの乱れについて医師が徹底解説。
生理の血が「黒い」のはなぜ?大丈夫なの?
黒や茶の血は酸化が原因!基本的に心配しなくてOK
【色】 濃いめの赤が一般的 。茶色や黒の血は古いだけ
茶や黒い血は心配なし。大量の鮮血は病気かも!
「経血には子宮内膜が混じっているので、傷口から出る血液の鮮明な赤と比べると、少しくすんで見えます。その 濃いめの赤が一般的 な経血の色。もし真っ赤な 鮮血が大量に出るときは、経血ではなく 、なんらかの病気で出血している可能性があるため、婦人科を受診してください。一方、茶色の経血は問題ありません。排出されるまでの時間が長くなると、子宮内で 酸化して茶色 になることが多いのです。 黒っぽい色もその延長上 。1回の生理中に、色が赤から茶へ、あるいは茶から赤へと変化する人も多く、自然なことです」(泉先生)
生理の血の色は大体4つ!月経異常がないかCHECK
- 黒っぽい
- 茶色
- 濃い赤
- 鮮血
正しい「月経周期や期間」とは?
「生理期間」は3~7日間が正常、単に長いだけなら大丈夫
【期間】ダラダラ続く 「過長月経」 、すぐに終わる 「過短月経」 も女性ホルモンの乱れ!?
長く続いても、経血量が少なければ心配なし!
「生理の正常な期間は、 3~7日間 。それより短ければ 『過短月経』 、長いと 『過長月経』 と呼ばれ、何かしら異常を知らせるサインです。ダラダラと続く過長月経は、子宮や卵巣のトラブルだけでなく、血の止まりにくい病気を疑います。ただ、経血の量は多くなく、単に長いだけの場合は、 腟内にたまっている経血が少しずつ排出されている だけなので、心配いりません。逆に、1~2日で終わる出血は、生理ではなく 不正出血 の可能性も。また、生理期間ではないときの短い出血は、多くは 排卵に伴う出血 で、基礎体温をつけていれば、予測が可能。病気ではありません」(泉先生・以下「」内同)
- 過長月経は、生理が8日以上続く
- 過短月経は、生理が2日以内で終了
「生理周期」は25~38日が正常、無排卵には注意!
【周期】周期的な生理は排卵が行われている証。 生理不順はトラブル予防の警告
生理日のズレは様子見OK。無月経は婦人科へ!
「医学的に正常とされる生理周期は、 開始日から次の生理までが25~38日 の範囲。目安として、前月の生理初日と今月の初日が 7日以上 ズレていると、 生理不順 と捉えられます。ただし、2週間程度のズレが数回続いたとしても、緊急性はないので様子を見てOK。ストレスなど、生理不順なった原因がわかれば、その解消を心掛けましょう。一方、完全に 生理が来ない期間が3か月以上 続く場合は、多嚢胞性卵巣症候群(卵巣の中に液体がたまる袋状の嚢胞がたくさんできて排卵しない)など、 卵巣にトラブル が生じているかもしれません。稀ですが、早期閉経の可能性も。放置せず、早めに婦人科を受診しましょう」
以下に当てはまれば 生理不順
- 生理初日から次の生理までが25~38日より短い、あるいは長い。
- 生理日が前月の初日と7日以上ズレている。
- 基礎体温が高温期と低温期の2相に分かれていない。
Point
下のふたつのグラフのように、基礎体温の推移が低温期・高温期の2相に見えれば、排卵している。いずれも低温期から高温期に移る14~17日目のどこかで排卵。
Point
基礎体温が短期間で上下して、高温期・低温期の区別がつかないのは無排卵。
「月経異常」を見逃さないで!病気のSOSサイン
「体のSOSサイン」、読み取り行動実践ガイド【月経異常】
自分の月経周期や日数、経血の量に注意を払って!
「月経の正常な周期は25~38日で、それより短くても長くても月経異常のサインです。また、周期は正常範囲でも、夜用ナプキンが1~2時間でいっぱいになる程、経血量が多かったり、1回の月経が8日間以上続いたりするのも、放っておいて良い症状ではありません。まずは自分の月経の状況を把握して、少しでも不安があれば、すみやかに婦人科クリニックを受診しましょう」(小野先生)
こんな症状はSOS!
- 3か月以上、月経が来ない(1)無月経
- 月経周期が24日より短く、月経の頻度が多い(2)頻発月経
- 8日以上、月経が続く(3)過長月経
- 昼間でも夜用ナプキンが1~2時間でいっぱいになる(4)過多月経
- レバー状の塊が出る(4)過多月経
- 月経周期が39日以上、3か月未満で来る(5)稀発月経
子宮内膜症
症状(4):子宮の内側の内膜という組織がなんらかの原因で子宮の内側以外に付着・増殖する病気。痛みを伴い、不妊の原因にも。
子宮筋腫
症状(4):子宮にできる良性の腫瘍。症状はできる場所やサイズによるが、子宮の内側にできると月経痛、過多月経、不妊の原因にも。
子宮腺筋症
症状(4):子宮内膜様組織が子宮の筋肉の中に浸潤して増殖。子宮筋層が厚くなって子宮が肥大。経血量が多く、強い月経痛や貧血も。
黄体機能不全
症状(2):卵巣内の黄体ホルモンの分泌が少なく、子宮内膜が充分に発達しない。基礎体温で高温期が10日以内。不妊や流産の一因に。
高プロラクチン血症
症状(1):(A)のひとつ。乳汁を作るホルモン「プロラクチン」が過剰分泌。薬剤や甲状腺疾患、脳の良性腫瘍などが原因の可能性も。
機能性子宮出血
症状(2)(3)(4):女性ホルモンのバランスが乱れ、月経ではない時期に出血したり、月経が8日以上長引き、出血量が多くて貧血も。
無排卵周期症(A)
症状(2)(3):排卵していないのに、不正出血がある。基礎体温は低温期が続く。思春期や更年期のほか、ストレスや体重減少などが一因。
多嚢胞性卵巣症候群
症状(1)(5):(A)のひとつ。男性ホルモンが過剰分泌され、排卵障害が起こる。ニキビや体毛の増加、将来の糖尿病や子宮体がんのリスクも。
妊娠
症状(1):妊娠による無月経に気づかないことも。個人差はあるが、乳房の張りや痛み、おりものの変化、眠気、吐き気などを伴う。
婦人科を受診しよう
無月経、頻発月経、過長月経、過多月経…いずれの場合も、気づいたらすぐに婦人科を受診しましょう。また、普段からかかりつけの婦人科を見つけておいて、年に1回の定期検診を受けることをおすすめします。
生理不順と「女性ホルモン」の関係図
アヴェニューウィメンズクリニック 院長
福山千代子先生
金沢医科大学卒。日本産科婦人科学会専門医。東京大学医学部附属病院勤務などを経て、’09年から現職。女性ホルモンの影響を受けて、さまざまな悩みを抱える女性たちに親身に寄り添う診療が評判。
生理不順は女性ホルモン力低下のサイン!生理周期の乱れや経血の異常は、見逃し厳禁!
目には見えない自分の女性ホルモン。「そのコンディションを知るには、毎月の生理を観察するのが簡単でわかりやすい方法です」と婦人科医の福山千代子先生。「まずは正常な生理の周期、経血日数、経血量の目安を以下の“正常な生理の目安”でチェック。この範囲を外れていたら、女性ホルモンのバランスが乱れているサインです。ちなみに生理周期とは、生理が始まった日から次の生理が来る前日までの日数。ふたつの女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)は、この周期の中で交互に分泌量の増減を繰り返しています。基礎体温表をつければ、その流れを“見える化”できます」(福山先生・以下「」内同)
【正常な生理の目安】
周期:25~38日
経血日数:3~7日(平均5日)
経血量:20~140ml
実際、経血量は測定できないので数値での判断は難しいが、“夜用のナプキンでも漏れる” “1時間ごとにナプキンを替える”などは過多月経。“塊で出る”なども異常のサイン。
排卵の前後でふたつのホルモンの分泌は大きく変動&体調も変化
【月経期】
妊娠が成立しなければ、エストロゲン、プロゲステロンの量がともに減って、子宮内膜が剥がれ落ち、出血。月経として体外へ排出される。
【黄体期】
排卵した後の卵胞 が黄体に変化する時期。黄体からプロゲステロンが多く分泌されて、厚くなった 子宮内膜や乳腺など、妊娠しやすい状態となる。
【排卵期】
成熟した卵胞から卵子が飛び出す(排卵)時期。卵子は卵管采でピックアップされ、精子を待つ。 エストロゲンが激減し、プロゲステロンが増え始める。
【卵胞期】
卵巣の中の卵子のもととなる原始卵胞が成熟する時期。排卵を前にエストロゲンが急激に増え、 受精卵のベッドとなる子宮内膜を厚くする。
月経異常は放置せず、婦人科検診を !
「婦人科では、月経異常の治療として、経腟超音波、子宮頸がん検査に加え、ホルモン分泌を調べる血液検査を行います」
生理不順の「原因と対策」お家でできるセルフケアは?
女性ホルモンの乱れをしっかり知るには「基礎体温」をつけること
基礎体温をつけることで、生理周期を明確に把握できる
基礎体温とは、朝目覚めた後、最も安静な状態で測る体温のこと。生理周期に応じて、低温期と高温期の2相に分かれる。正常な場合は、エストロゲンが増える低温期が約2週間続き、排卵を挟んでプロゲステロンが増える高温期に移行。これも約2週間続く。
基礎体温の推移の乱れで妊娠や病気の兆候もわかる!
【妊娠したとき】
前の生理から低温期が続き、排卵した後、プロゲステロンが増える高温期がずっと続く。そのまま次の生理が来る頃になっても基礎体温が下がらず、生理が来ない。
【無排卵・無月経】
高温期がなく、ずっと低温期のままの場合、生理は来ていても、排卵が起こっていない状態。ホルモンのバランスも乱れている。生理が3か月以上来なければ、続発性無月経。
【黄体機能不全】
2相に分かれてはいるけれど、高温期が短い状態は黄体機能の不全の可能性あり。妊娠を持続させるプロゲステロンの働きが不足して、受精しても着床しにくい場合がある。
生理周期が乱れがち、生理日が長引く・短い、量が多すぎ・少なすぎは要注意!
\婦人体温計は大人女子のマストツール/
「基礎体温を測る習慣は、自分の生理や女性ホルモンに向き合えるので、妊娠目的だけでなく、普段の体調管理にもおすすめ」(福山先生)
女性ホルモンバランスの良し悪しってどういうこと?
成城松村クリニック 院長
松村圭子先生
日本産科婦人科学会専門医。広島大学医学部卒。広島大学病院等での勤務を経て、2010年に開院。女性の美と健康に関する知見を生かし、女性誌やテレビなどメディアでも活躍。女性ホルモンに関する著書も多数。
ホルモン分泌が正常に行われることに加えて、エストロゲンとプロゲステロンのバランスが整っていることも大事!
「キレイのためには“美のホルモン”と呼ばれるエストロゲンだけを増やせばいいと思いがちですが、多すぎは乳がんや子宮体がんなどのリスクを高める可能性が。その暴走を抑えるのがプロゲステロン。2種類の女性ホルモンがバランス良く、適度な関係を保ちながら分泌されるのが理想です」(松村先生)
エストロゲンとは…
肌や髪の潤い・ツヤを保つ、バストを豊かにする、ウエストを引き締める、丸みのある女性らしい体型にするなど、キレイを作るホルモン。骨や血管を守る、自律神経を安定させるなどの働きも。
プロゲステロンとは…
受精卵が着床しやすいように、子宮内膜を厚く保ったり、低温を上げたりして妊娠の維持をサポート。皮脂分泌を促す美容にマイナスな面もあるけれど、エストロゲンの調整役として必要不可欠。
女性ホルモンの乱れの原因3つ
さまざまなトラブルのもと“女性ホルモンの乱れ”はなぜ起きる?
1.過激なダイエット
無理なダイエットは、脳が妊娠できる体ではないと判断して、女性ホルモンの分泌を抑制するため、無排卵や無月経になりやすい。
2.ストレス過多
女性ホルモンは脳の指令で卵巣から分泌されるが、ストレスがかかると、その信号がうまく届かず分泌が乱れ、結果、生理不順に。
3.激しいスポーツ・BMIが低い
女性ホルモンはコレステロールから作られているため、ハードなスポーツでBMI18以下に体を絞っている人は、女性ホルモンのバランスが乱れがち。
今すぐ心がけたいセルフケア3つ
1.ストレスをためない
女性ホルモン分泌の司令塔は脳。ストレスによってホルモンバランスが乱れるので、まずはストレスの原因を振り返ってみましょう。
2.無理なダイエットをしない
急激な体重減少や低体重で栄養状態が悪くなると、女性ホルモンの分泌が抑制されて月経異常に。BMIが18.5以下にならないよう食生活に注意。
3.基礎体温をつける
目覚めてすぐの基礎体温測定を習慣にすると、月経異常に気づきやすくなります。毎朝でなくてもOK。
※アヴェニューウィメンズクリニックは2021年10月31日をもって閉院のため、福山先生は現在MET BEAUTY CLINICにいらっしゃいます。
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
医学博士。東京大学医学部卒。産婦人科医として経験を積み、米国立環境衛生科学研究所に留学。帰国後、現職に。