健康・ヘルスケア
2021.11.24

いくつになっても背筋を伸ばして歩ける身体を保つには、何をしておけばいい?【女医に訊く#175】

%e5%a5%b3%e5%8c%bb175

 

つらい腰痛や骨がスカスカになってしまう骨粗しょう症を防いで、いくつになってもピンと伸びた背筋で歩けるような女性でいるためには、今からどんなことに気をつければいいのでしょう。骨粗しょう症予防のための「骨活プログラム」を開発した整形外科専門医の伊藤薫子先生に教えていただきました。

将来、骨粗しょう症にならないために気をつけることとは?

前回、「骨粗しょう症は加齢や閉経に加え、食事からのカルシウム摂取不足や運動不足が原因で起こる」という話をご紹介しました。では、骨粗しょう症はどうしたら予防することができるのでしょう?

「骨粗しょう症予防の3本柱は、食事と運動、そしてメンタルです」と話すのは、整形外科専⾨医の伊藤薫子先生。

「メンタルというのは意識するという意味です。骨活はまず自分の骨に興味をもってもらう、意識してもらうとことが大切です。たとえ、自分はまだ関係のない年齢だとしても、『お母さんはどうかな、おばあちゃんは大丈夫かな』など、骨を気にしていただきたいですね」(伊藤先生)

骨がつくられる成長期にダイエットを繰り返していた人、アルコールを1日3杯以上飲む人、お母さんが骨粗しょう症の人などは、骨粗しょう症になりやすいといわれています。今のうちから骨の健康を意識して過ごしましょう。

骨粗しょう症予防にいい食事とは?

骨の重要な構成成分であるカルシウムは腸管から吸収され、血液に乗って骨へと運ばれます。丈夫な骨のためにはカルシウムの摂取が重要ですが、カルシウムだけでは吸収されにくいため、カルシウムの吸収を促進するビタミンD、骨へのカルシウムの取り込みを助けるビタミンKなど、さまざまな栄養素も必要です。

「日本人はビタミンDが不足しがちですが、ビタミンDは20分くらい日に当たっているだけでも皮膚からつくることができますし、キノコや鮭などの食事から摂ることもできます」(伊藤先生)

カルシウムの摂取量を増やすには、牛乳や乳製品のほか、ししゃもや鰯、小松菜などの緑黄色野菜、ひじきなどの海藻、豆腐などの大豆製品を取り入れるのがおすすめです。骨の健康のためにも、エネルギーと栄養素を過不足なく摂取するよう心がけましょう。

骨粗しょう症&腰痛予防におすすめの運動とは?

丈夫な骨をつくためには、食事でカルシウムを摂取することも必要ですが、摂取したカルシウムを骨に沈着させるためには、骨に圧力をかける運動が必要です。

「運動といっても1週間に2〜3回、15分〜30分くらいのウォーキングで充分です。手を振ってみぞおちとおへそを伸ばし、おなかとお尻にキュッと力を入れて歩きましょう」(伊藤先生)

リモートワークなどで家から出る機会が減った今、ウォーキングは腰痛予防にも有効です。景色を楽しみながら、骨と腰を強化しましょう。

腰痛予防にいいストレッチとは?

腰痛予防には、「冷やさない」「中腰に気をつける」ほかにも、腰に負担をかけない姿勢を維持することや、運動・ストレッチで筋肉を柔らかくしておくことも有効です。次の3つのストレッチを朝と夜寝る前に行いましょう。

【お尻のストレッチ】

1)仰向けの姿勢から、片足を胸にゆっくり引き寄せる。
2)気持ちがいいところで止め、そのまま息を止めずに約30秒伸ばす。
3)もう片方の足も同様に伸ばす。

【腰背筋のストレッチ】

1)仰向けの姿勢から、おへそをのぞき込むように、両足を両腕で抱え込む。
2)両足を胸に引き寄せ、腰から背中の筋肉が伸びたところ止める。
3)そのまま息を止めずに約30秒伸ばす。

【腹斜筋のストレッチ】

1)仰向けに寝て両手を横に広げて両膝を立てる。
2)両膝をそろえ、両肩を床につけたまま、膝は右に、顔は左に倒す。
3)そのまま約30秒伸ばしたあと、膝も顔も正面に戻す。
4)今度は膝を左に、顔を右に倒し、そのまま約30秒伸ばす。

「寝起きはどうしても腰が固まってしまいます。朝と夜寝る前にストレッチをして腰まわりを柔らかくしておくと、ぎっくり腰や坐骨神経痛が起こりにくくなるのでおすすめです。腰と首は背骨でつながっていますから、スマホ首やストレートネックといわれている方にもおすすめですよ」(伊藤先生)

整形外科専門医

伊藤 薫子先生

文/清瀧流美 撮影/黒石あみ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事