腹痛は体内のトラブルからのSOS!? 痛むパーツからのサインを見落とさずに適切な受診を!
腹痛の症状は多くありますが、部位別に病気の種類も異なります。美的世代に起こりやすい腹痛は、婦人系の病気が隠れているかも!?痛む部位をチェックして体内のトラブルを見落とさないで。
「体のSOSサイン」、読み取り行動実践ガイド【腹痛】
見えない体内のトラブルは腹痛が教えてくれることも
「おなかが痛くなる症状は、消化器、泌尿器、血管、筋肉、腹膜など、腹腔内のあらゆる器官の不調や炎症で起こります。さまざまな病気の症状としてトップを占めるのが腹痛でしょう。
中でも、美的世代に起こりやすいのは、婦人科系の腹痛です。特に月経時の下腹部痛は、程度に差はあるものの、生理的な現象としてほとんどの女性が経験します。ただし、日常生活に支障を来す程の強い痛みは、子宮や卵巣の病気が隠れている場合があるので、注意が必要です。放置せず、婦人科で検診を受けましょう。
婦人科系以外の腹痛は、痛む部位によって、どんな病気が原因になっているかを推測することができます。とりあえずは安静にして、痛む部位を温めてみるなどのケア法がありますが、痛みが激しかったり、継続するようなら放置せず、早めに内科や消化器内科の診察を受けてください」(小野先生)
こんな症状はSOS!
- 痛み止めを飲んでも月経痛が改善しない
- 月経痛が年々強まっている
こんな病気のサインかも
子宮内膜症・子宮腺筋症
子宮以外の臓器で内膜組織が増殖し、子宮を収縮させる体内物質・プロスタグランジンの働きで痛みが強まる。
- 下腹部の左右どちらかが突然痛む
こんな病気のサインかも
卵巣茎捻転(けいねんてん)
腫瘍ができて腫れた状態の卵巣(卵巣嚢腫)が、血管や組織を巻き込むようにねじれて戻らなくなった状態。
- 性交渉歴があり、腹部の痛みに加えておりものの異常や発熱がある
こんな病気のサインかも
骨盤内炎症性疾患
骨盤の内側にある子宮、卵巣、卵管周辺に起こる炎症。原因の大半は、クラミジアや淋菌などによる性感染症。
- 性交渉後、急に下腹部が痛む
こんな病気のサインかも
卵巣出血・卵巣腫瘍破裂
排卵や性交渉などの刺激によって、卵巣が傷つき出血、あるいは卵巣にできた腫瘍が破裂することで激しく痛む。
- 妊娠反応が陽性で、腹部が痛む
こんな病気のサインかも
子宮外妊娠・流産
卵管や卵巣など子宮以外に受精卵が着床する子宮外妊娠や流産をした場合、出血と共に強い腹痛が起こる。[/btk_sh_check_list]
どこを受診する? 婦人科
月経時、排卵時、性交渉後などに起こる子宮や卵巣周辺の下腹部痛は、迷わず婦人科を受診しましょう。月経異常との関係もあるので、普段から定期的に婦人科検診を受けたり、かかりつけの婦人科を作っておきましょう。
その他の腹痛
痛む部位別SOS! こんな病気のサインかも【1】膵炎(すいえん)
おへそ上からみぞおちにかけての激痛。胆石やアルコール多飲などが原因。
【2】胃潰瘍(いかいよう)
胃の壁が胃酸で深く傷ついて、食後にみぞおち辺りが痛む。
【3】過敏性腸症候群
最近3か月の間に、少なくとも週1回の反復する腹痛がある。
【4】鼠蹊(そけい)ヘルニア
脚のつけ根に違和感や痛みが発生。特に立っているとき症状が出る。
【5】十二指腸潰瘍
早朝や空腹時にキリキリと重苦しく痛む。黒っぽい便が出ることも。
【6】急性胆のう炎
特に食後に起こる右側上部の肋ろっ骨こつ周辺の痛み。多くは胆石が原因。高熱、吐き気も伴う。
【7】感染性腸炎
ウイルスや菌に感染し、発熱、吐き気、下痢、腹痛などを起こす。
【8】急性虫垂炎
いわゆる盲腸。発熱や吐き気などに加え、上腹部から右下腹部に痛みが移動。
どこを受診する? 内科
自分では原因がわからない腹痛は、内科を受診。診察や検査の結果次第で、専門の科を紹介されるケースが多い。
消化器外科
鼠蹊ヘルニアの可能性が疑われる場合は、消化器外科を受診しましょう。
心療内科
脳と腸管は密接な関係があり、ストレスなどが腸に影響することが知られています。精神的要因の腹痛は心療内科も選択肢。
『美的』2021年12月号掲載
イラスト/macco 構成/つつみゆかり、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
おのようこ/日本産科婦人科学会専門医。日本女性医学会専門医。日本女性心身医学認定医。女性の心と体、両方の専門医として活躍。