女性に多い、「頭がしょっちゅう痛くなる」症状。これって片頭痛?それとも…【女医に訊く#82】
台風や雨雲が近づいたり、生理前になると、頭の片側がズキンズキンと脈打つように痛くなることはありませんか? 片頭痛とそれ以外の頭痛の違いについて、脳神経内科医の霜田里絵先生にお話をうかがいました。
片頭痛とその他の頭痛はどう違うの?
ひとくちに頭痛といっても、その原因や症状はさまざま。日本人の約8%が「片頭痛もち」といわれ女性に多い症状ですが、いったい片頭痛とそれ以外の頭痛は、どう違うのでしょう?
「頭痛は片頭痛や緊張型頭痛など、いくつかのタイプに分けられます。片頭痛は痛みに波があるのが特徴。月1回~で多い方は連日起こり、その痛みは4~72時間続くといわれています」と話すのは、脳神経内科医の霜田里絵先生。
一方、緊張型頭痛は締め付けられる筋肉の緊張によって、ダラダラとした痛みが続くのが特徴です。反復性緊張型頭痛の場合は1か月に15日未満、慢性緊張型頭痛の場合は毎日のように起こり、その痛みは一日中気になる方もいます。
片頭痛と緊張型頭痛、痛みはどう違う?
片頭痛と緊張型頭痛では、痛みが起こる部位や痛み方も異なります。片頭痛の場合、頭痛の前兆として光がギザギザしたように見え、その後、ズキンズキンと脈打つような強い痛みが、頭の片側に起こります。
「頭痛が起こって、『あぁ痛くなってきた』と突っ伏したり、暗がりに行きたくなったり、動くと響いて痛みが悪化するのは片頭痛タイプですね。よく寝てリラックスすると起きやすいため、週末に頭が痛くなることが多い方も片頭痛タイプといわれています」(霜田先生)
一方、緊張型頭痛の場合、頭の両側をギューッと締めつけられるような重苦しい痛みが、頭の両側か頭全体、後頭部に起こります。ただし、日常生活への支障は少なく、仕事をしたり体を動かしたりすると、多少ラクになることもあります。
片頭痛はどうして起こるの?
片頭痛が起こる原因は、基本的には解明されおらず諸説ありますが、遺伝的なものは明らかにあると霜田先生は言います。
「片頭痛もちの方は、お母さまも片頭痛をもっているケースがすごく多いので、やはりなんらかの遺伝傾向はあると思いますね。そういうものを体質として持っている方が、排卵・月経といった生理変動や気象変動、ストレス、生活習慣の乱れなどの影響で引き起こすのだと考えられています」(霜田先生)
これに対して緊張型頭痛は、スマートフォンやパソコンの使い過ぎなどによる目の疲れや肩凝り、首凝り、運動不足、ストレスなど、筋肉の疲れや緊張によって起こります。
「実は、片頭痛と緊張型頭痛の両方をもっている方もたくさんいます。どちらの症状が出るかは、そのときによって違うので、見極める必要がありますね」
頭痛は片頭痛か緊張型頭痛か、またはそれ以外の疾患なのかによって、治療法も予防法も変わってきます。頭痛に悩んでいる人は、一度、頭痛外来で診てもらうといいかもしれません。
文/清瀧流美 撮影/黒石あみ(小学館)
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