飲む日焼け止めを飲んでいればサンスクリーンを塗らなくてもいい?【女医に訊く#71】
この夏は本当に猛暑! 朝からジリジリと強い日差しが照りつけ、35℃を超える地域も増えてきました。そこで活用したいのが、数年前から話題となっている〈飲む日焼け止め〉。その効果と使い方について、抗加齢医の田路めぐみ先生に教えていただきました。
飲む日焼け止めとサンスクリーン剤は役割が違う
近年、ブームとなっている飲む日焼け止め。外出前にきちんと飲んでいれば、サンスクリーンを塗らなくても紫外線は防げるのでしょうか?
「勘違いしている方が多いみたいなのですが、〈飲む日焼け止め〉はサンスクリーン剤の代わりにはなりません。〈飲む日焼け止め〉は、サンスクリーン剤を塗っていても、すり抜けて入ってきた紫外線が肌に起こす活性酸素を消去するものなんです。ですから入ってくる紫外線を防御はしてくれない。入ってきてしまった紫外線が悪さをするのを、できるだけ食い止めているだけなんです」と警鐘を鳴らすのは、抗加齢医の田路めぐみ先生。
飲む日焼け止めは、サンスクリーン剤とは役割が全然違うもの。必ず併用が必要です!
飲む日焼け止めの成分は?
塗る日焼け止めには紫外線自体を跳ね返す作用がありますが、飲む日焼け止めには紫外線によって発生する活性酸素や炎症を素早く消去、鎮静する効果があります。いったいどんなものが入っているのでしょうか?
「飲む日焼け止めの主成分は、ニュートロックスサンまたはレッドオレンジコンプレックスなどの抗酸化剤。どちらも地中海のシトラスやオレンジなど、柑橘類の成分なんです」と田路先生。
柑橘類といえば、ビタミンCが豊富な果物。では、なぜ柑橘類が活性酸素の除去に有効なのでしょう?
「ビタミンCには活性酸素によりDNAが傷つけられるのを強力に防ぐ抗酸化作用があり、特に紫外線には有効。真夏の日光の強い地区で育っている果物は、自然とそれを体内につくるんですね。そのため飲む日焼け止めには、柑橘系のエキス使っているものがすごく多いのです」(田路先生)
飲む日焼け止めに配合されている豊富なビタミン類は傷ついた肌を修復する効果も
飲む日焼け止めは「修復するサプリ」とも呼ばれています。では、抗酸化剤のほかにどのようなものが入っているのでしょう?
「紫外線によリお肌が受けたダメージを修復するための成分が入っています。例えば、当院で取扱っている〈ネオ−サンシェード〉は、ニュートロックスサンとレッドオレンジコンプレックスをダブルで配合しているほか、L–シスチン、ビタミンC、ビタミンD3、β–カロテンなどが配合されています」(田路先生)
L–シスチンはメラニン色素を産生する酵素であるチロシナーゼの活性を抑制する成分。また、肌のターンオーバーを促進して、シミを防ぎます。ビタミンD3はカルシウムの働きを助ける骨には欠かせない脂溶性のビタミン。通常は紫外線を浴びることによって体内で合成されますが、紫外線を防ぐことによリ不足してしまうため、紫外線をカットする場合には補充が必要です。β–カロテンは体内でビタミンAに変換されるビタミンAの前駆体。細胞の代謝を促進して、肌のシミ・くすみを防ぎます。
普段の食事でも紫外線ダメージをリセットできる?
飲む日焼け止めには、抗酸化成分やブライトニング成分などが豊富に配合されていることがわかりました。では、これらの成分を食事から補うことも、紫外線による肌ダメージを防ぐには有効なのでしょうか?
「はい。ビタミンCやビタミンA、ビタミンD、ビタミンEのほかにも、抗酸化力の高いポリフェノール類を摂るのもおすすめです。これらの成分は夏野菜や柑橘類など、その時季においしい旬の食べ物に多く含まれています。これらと相性のよい、オリーブ油も抗酸化力が高く吸収も助けるのでおすすめ」と田路先生。
また、最近は鮭の抗酸化力も注目されています。これらの食材を意識的に使って、“美味しくきれいになれる食事”を楽しみましょう!
文/清瀧流美 撮影/田中麻以(小学館)
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