健康・ヘルスケア
2018.11.14

女医に訊く#37|流行中の風疹ってどんな病気?予防接種は受けていますか?

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風疹の流行が止まりません。妊娠初期に風疹にかかると、おなかの赤ちゃんが風疹ウイルスに感染し、目や耳などに障害がある赤ちゃんが生まれる可能性があります。風疹の症状や予防方法ついて、日本感染症学会専門医の源河いくみ先生にうかがいました。

風疹の主な症状は発疹や発熱、リンパ節の腫れ

風疹の流行が首都圏から全国に広がってきています。国立感染症研究所の報告によれば、今年初めから10月28日までに報告された風疹患者の累積数は1,692人。93人だった昨年1年間の18倍以上となっています。

10月22日には、アメリカのCDC(疾病対策センター)が日本の風疹流行を3段階の警告レベルのうち「レベル2」にランクづけしたことを発表。「ワクチン接種または風疹の抗体がない妊婦は、日本に旅行することは避けてください」という自粛勧告まで出しています。

「風疹は風疹ウイルスによる感染症で、発疹、発熱、リンパ節の腫れなどの症状が出ます」と教えてくれたのは、日本感染症学会専門医の源河いくみ先生。源河先生によると、今年は8月の終わりくらいから風疹患者が増え始めたそうです。

流行の中心はワクチンの接種率が低い30~50代男性

風疹は咳やくしゃみ、会話時に発生する飛沫で感染する感染症ですが、ワクチンで予防することができます。では、なぜこれほど大人に風疹ウイルスが蔓延しているのでしょう?

「今の子どもたちは男女ともに2回接種を受けてワクチンの効果を高めていますが、開始当初は先天性風疹症候群の発生を防ぐことを目的に、中学生の女子しか受けることができませんでした。そのため30〜50歳の男性は、ワクチンをまったく打っていないか、1回しか打っておらず、風疹にかかりやすいのです」(源河先生)

1979年からは男女ともに接種対象になりましたが、学校での集団接種ではなく、個別に医療機関に出向く必要があったため接種率は上がらず。たとえ1回接種していたとしても、時間の経過とともに抗体が下がってしまうこともあるため、近年の風疹患者の中心は、小児から成人へと変化しているのです。国立感染症研究所によると、風疹患者の96%が成人で、男性は女性の5倍。男性患者の62%が30~40 代で、女性患者の60%は20~30 代でした。

【風疹ワクチンの定期予防接種制度と年齢の関係】

◎1962年4月1日以前の生まれ
風疹ワクチンの接種歴がない年代です。

◎1962年4月2日から1979年4月1日生まれ
男性…1回も接種していません
女性…中学生のときに集団接種1回

◎1979年4月2日から1987年10月1日生まれ
男女…中学生のときに個別接種1回

◎1987年10月2日から1990年4月1日生まれ
男女…幼児期に個別接種1回

◎1990年4月2日から2000年4月1日生まれ
特別措置として中学1年や高校3年時に追加接種を実施

◎2000年4月2日以降の生まれ
男女…定期接種として1歳と就学前の2回接種

妊娠の2カ月前までにワクチン接種を済ませて

「風疹は通常3〜5日ほどで治ります。ただし、妊婦初期の女性がかかると、胎児が風疹ウイルスに感染し、白内障、先天性心疾患、難聴を主な症状とする先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれる可能性があります。実際、14,357人の風疹患者が出た2013年には、32人の赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断されました」(源河先生)

妊娠中は風疹含有ワクチンの接種は受けられないうえ、受けた後は2カ月間妊娠を避ける必要があります。妊娠を予定または希望している人で、これまで風疹にかかったことがなく、予防接種を2回受けていない人は、妊娠前に必ず受けておきましょう。

「予防接種や感染経験の記憶は曖昧なものです。母子手帳等の記録できちんと確かめてください。記録が残っていない方は、妊娠前に風疹の抗体検査(風疹に対する免疫があるかどうかの検査)を受けておくと確実です。抗体価が低い場合は、予防接種を受けましょう」(源河先生)

今はまだ予定がなくても、いつかは子どもを産みたいと思っている人は、妊娠中に風疹感染の不安に陥らないためにも、他人にうつさないためにも、今すぐ風疹ワクチンの接種を。妊娠を予定または希望している女性とその同居者を対象とした、無料の抗体検査やその結果が陰性だった場合の予防接種を実施している区市町村もあります。無料となる対象者や実施方法は地域によって異なりますので、お住まいの区市町村に相談してみましょう。

家族や同僚が妊娠したときは抗体検査を受けましょう

先天性風疹症候群を防ぐためには、妊娠する可能性のある女性の家族や職場の同僚など、周りの人の協力も欠かせません。風疹の症状は風邪とよく似ているので、感染に気づかないこともあります。体調がすぐれない場合には、無理して外出しないようにしましょう。

妊婦さんおよび妊娠を希望する女性の同居者の予防接種費用や抗体検査の費用を負担する自治体や企業も増えてきていますので、確認してみてください。接種費用の補助がない場合でも、自分のため、生まれてくる子どもたちのためにワクチン接種で予防しましょう。

「大人が風疹にかかると、関節痛がひどいことが多いとされています。また、ごくまれに脳炎や血小板減少性紫斑病などの合併症を起こすこともあります。自分自身のためにも、抗体検査を受けるか、風疹の予防接種を受けましょう」(源河先生)

教えてくれたのは・・・

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日本感染症学会専門医
源河いくみ先生
東京ミッドタウンクリニック トラベル外来医師。医学博士。日本内科学会総合内科専門医。日本感染症学会日本感染症学会専門医。国際旅行医学学会認定医。日本大学医学部卒業後、国立国際医療研究センターでの感染症科・渡航者外来勤務を経て2007年より現職。渡航前後の健康診断から予防接種、予防薬の処方などの渡航者の健康管理をサポートしている。
■東京ミッドタウンクリニック www.tokyomidtown-mc.jp

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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