健康・ヘルスケア
2018.5.2

女医に訊く#11|「私の運命の人はどこに?」理想の相手を求める女ゴコロの裏側って?

\"\"

「出会いがない」「いい人がいない」という会話、きっとあなたの身の回りでも耳にしたことがあるはず。今回の美的保健室は、美的世代の女性が心のどこかで求めがちな「運命の人との出会い」について、心療内科医の牧野真理子先生にお話しを伺いました。

「出会いがない」ではなく「理想の相手がいない」

気のおけない女友だちが集まると、美的世代なら1度や2度は「全然出会いがないのよ」「どこかに誰かいい人がいないかしら」という話題になったことがあるのでは?

“出会い”を求める人の中には、平日は仕事が忙しく、休日は休日で趣味に打ち込んだり、友だち同士でワイワイ過ごしたり。シングルでも公私共々生活は充実している人も少なくないし、SNSが普及したおかげで常に“誰かと繋がっている”感覚だから、特に寂しいという感情もなく……。ところが、周りに結婚する友人が増えてくると、心の中で焦りを感じることも。

「“出会いがない”という言葉は、患者さんとの会話でよく耳にする言葉ですね。確かに、職場の環境が女性ばかりという人もいますが、多くの場合“出会いがない”という言葉の裏側には『“理想の相手”との出会いがない』というニュアンスを含んでいるようにも感じます」(牧野先生)

「理想といってもそんなに高望みはしていないんだけどな」という人も、誰でもいいかといったら、きっとそんなことはないはず。“自分に合った相手と結ばれたい”。このごく当たり前ともいえる気持ちの裏側には、日本女性ならではの生真面目さが隠されているそうです。

がんばってきたからこそ「自分にふさわしい運命の人」をという心理

「日本の女性たちは皆さんまじめで、がんばり屋なんですね。学生時代ならコツコツ勉強を、社会に出てからは仕事に対し、地道に努力を重ねてきた人が多いと思います。“自分磨き”という言葉がありますが、語学などのスキルを身につけることしかり、趣味や習い事で知性を磨くことしかり。そして、サロン通いやエクササイズによって、美しくあるための努力も惜しまない……。そんな風に常にがんばってきたからこそ、その“努力した自分に見合う人がいるはず”という気持ちが心のどこかにあるように思います」(牧野先生)

これは患者さんと話していて、牧野先生が頻繁に感じることといいます。例えば、最初は不眠が理由で来院したとしても、話しを聞くうちに「私こんなにがんばってきたのに、評価されないんです」「こんなに努力してきたのに、彼氏がいないんです」という風に、“こんなに一生懸命なのに”という枕ことばとともに、悩みを吐露する女性は多いそう。

情緒不安定の回(前編)でお話ししたように、女性は男性に比べて、他者と自分を比較しやすい傾向があります。“あの人よりも優れた自分でいたい”“あの人よりも美しくありたい”という気持ちは、努力のモチベーションとなる面もあるでしょう。また社会に出てからは、男性と肩を並べて仕事で結果を残すために、並々ならぬ努力を重ねてきたのも事実だと思います」と、牧野先生。それら女性ならではの努力と経験が“努力に見合う運命の人”を求める気持ちも、ある意味共感できる心理です。

結婚や子育ての現実から生じる「運命の人の条件」

「その一方で、20代後半になると、周囲に結婚したり、子育てを始める友人が増えてきます。他者と暮らしていくことや、子供を育てていくことは、現実的にとても大変でエネルギーを必要としますよね。苦労している友人の姿を間近に見て“私はもっと人生を楽しみたい”という気持ちを抱く面もあるようです」(牧野先生)

自立した大人の女性にとって、シングルライフは“自由”なもの。自分のお金と時間を、自身のために使うことが可能です。その自由を手放してまで、結婚や子育てを選択するなら、「時間や生活に余裕が欲しいから、やはり収入のある相手がいい」と考えたり、仕事をすっぱり辞めて家庭に入るなら「社会的ポジションのある人の妻に」という思いが生じるのも、理解できる心理ではあります。これまで懸命にがんばって、自分自身が社会的地位を確立した人ほど、運命の人の条件として“収入や肩書き”に目がいきやすいのかもしれません。

「運命の人」で満たされない自分を埋めようとしていない?

「自分に見合う男性と結ばれたいという気持ちの裏側には、“努力してきたことへの自負”があるんですね。ところが、そんな自分を全面的に肯定しているかというと、そんなことはないんです。がんばってきた自分も“他者から見たら価値が低いのでは”という思いが、心のどこかにある……。その隙間の部分を他の誰かで埋めようとするのも、一般的によくみられる心理です」(牧野先生)

たとえば、自分が小さい頃バレエを習いたかったけど叶わなかったから、子供に習わせたいと願うとか、大学に進学できなかったから、子供には良い教育を受けさせたいというのもその一例です。自分自身が満たされなかった思いを投影する対象が、恋愛や結婚を意識する年代の女性にとっては“恋人や結婚相手”になりやすいのでしょう。

心のどこかで“運命の人”を求める女性の内側には、このようにさまざまな思いが交差しています。その結果「出会いがない」「いい人がいない」という言葉につながっているのかもしれません。しかし、視点を変えると“あなたにとっての運命の人”は、案外近くにいる場合も……!? 次回は出会いを求める女性たちに、生活の中で実践できるヒントをお届けします。

eye8fj_0363
心身医療内科専門医
牧野真理子先生
牧野クリニック 心療内科 診療部長。医学博士。心身医療内科専門医。優秀臨床専門医。北里大学医学部、メルボルン大学医学部大学院卒業。働く女性たちのメンタルヘルス事情に通じ、摂食障害やうつ病の治療に取り組む。患者自身が悩みの解決法を見つけられるよう、親身なカウンセリングでサポートしている。
■牧野クリニック http://www.makino-c.net

文/宇野ナミコ 撮影/藤岡雅樹(小学館)

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter google+ Pocket

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事