就寝中にトイレに行きたくて目が覚めるのは要注意ってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は、“尿トラブル”について。就寝中にトイレに行きたくて目が覚めるのは要注意って…ウソ? ホント? 四谷メディカルキューブ女性泌尿器科の藤﨑章子医師にお答えいただきます。
Q:就寝中にトイレに行きたくて目が覚めるのは要注意ってホント?
夜寝ていても、ふとトイレに行きたくなって目が覚めてしまう。よくある話に感じてしまう一方で、実は要注意サインというウワサも。本当なのでしょうか。さっそく、この疑問を藤﨑医師にぶつけてみました! 果たして答えは…?
A:ホント
「就寝中、排尿のために1回以上起きないとならない場合のことを“夜間頻尿”といいます。一般的に年齢とともに増える傾向にあります。これとは別に、内科的な病気によって頻尿が起こっている場合もあります」(藤﨑医師・以下「」内同)
夜間頻尿かどうか判断する基準
「就寝中にトイレへ行こうと1回でも起きれば、夜間頻尿に該当します。日本排尿機能学会が2003年に報告した40歳以上の排尿症状に関する調査では、夜間頻尿(1回以上)の頻度は、60%以上でした。とはいえ、一般健診などで問題なく本人が困っていないのなら治療の必要はありません」
- 就寝中にトイレへ行こうと1回でも起きれば、夜間頻尿に該当
- 一般健診などで問題なく、本人が困っていないのなら治療の必要はなし
夜間頻尿を引き起こす病気
「過活動膀胱など日中・夜間ともに頻尿を引き起こす病気のほか、心不全や高血圧、慢性腎臓病、睡眠呼吸障害、不眠症などは夜間頻尿をおこす病気として有名です」
夜間頻尿のセルフケア
「夜間頻尿といっても、夜間のみ頻尿になるのか、それとも日中も頻尿なのか、タイプはさまざまです。しっかりチェックするのなら、1日にどれくらいの水分を摂取したのか、排尿量は何mlなのか、排尿状態やパターンを把握するための“排尿日誌”をつけると良いでしょう。この場合、夜間の排尿量は、日中と同じか、それよりも多いのかもチェックして。日中に比べて、夜間の尿量が多くなることを“夜間多尿”といいます。夜間多尿の定義は、1日の尿量のうち、夜間就寝中の尿量が65歳以上では33%以上、若年者では20%以上とされています。
水分の過剰摂取によって夜間頻尿が起こっている場合は、水分量を調整したり、カフェインを摂りすぎていないかチェックします。また、減塩摂取量を減らすと、夜間頻尿の回数が減少する可能性があるという研究データもあり、塩分を摂りすぎている人は減らしてみるのも効果的かもしれません」
Point
◆1日にどれくらいの水分を摂取したのか、排尿量は何mlなのか、排尿状態やパターンを把握するための“排尿日誌”をつけると良い◆夜間の排尿量は、日中と同じか、それよりも多いのかもチェックする
◆日中に比べて、夜間の尿量が多くなるのが“夜間多尿”
◆水分の過剰摂取によって夜間頻尿が起こっている場合は、水分量を調整したり、カフェインを摂りすぎていないかチェックする
◆減塩を摂りすぎている人は、減らしてみるのも◎。
おすすめの対策法
「ふくらはぎがむくんだまま寝てしまうと、重力の影響がなくなって血流が増し、足に溜った水分が尿となり、夜間頻尿の原因となるという説もあります。足を使う運動をしたり、着圧靴下を履くなどして、足をむくみにくい状態にしておくことも有効と考えられています」
下肢挙上
「日中足がむくみにくいように、ふくらはぎの下に枕やクッションを入れ、足を高くした状態でキープする。デスクワーク中は、椅子を2つ並べて、足をフラットな状態にしておくのもおすすめ」
クリニックでの治療法
「夜間頻尿の種類によって治療法も変わります。日中も頻尿がある過活動膀胱ベースの場合は、膀胱訓練・骨盤底筋トレーニングや減量、カフェインを減らすなどの生活指導の上、内服薬を処方したりします。内服薬で効果が不十分な過活動膀胱・切迫性尿失禁の場合は、ボツリヌス毒素膀胱内注射などを行っていきます。不眠で眠りが浅く、目が覚めた時に念のためトイレに行っているような人の場合は、不眠を改善するような生活指導の上、場合によっては睡眠薬などを処方することもあります。
夜間多尿の場合は検査の上、食事や飲水、運動などの生活指導を行います。検査結果から、必要と考えられる場合は内科を紹介します」
文/木土さや
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四谷メディカルキューブ 女性泌尿器科、オザキクリニックLUXE新宿院、きつかわクリニックにて女性泌尿器科、婦人科形成術を専門に勤務。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医。日本排尿機能学会排尿機能専門医。日本性機能学会専門医。日本東洋医学会漢方専門医。医学博士。