健康・ヘルスケア
2022.3.16

不正出血が起こる主な原因は? 不正出血があったら病院へ行くべき?【女医に訊く#189】

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月経期間以外で出血して焦ったことはありませんか? 何日も続く不正出血を放置してはいませんか? 不正出血の原因と診察について、産婦人科専門医の吉形玲美先生に教えていただきました。

不正出血が起こる主な原因とは?

不正出血(不正性器出血)とは、月経以外に性器から出血すること。その原因は、(1)ホルモンバランスの異常によるもの、(2)炎症によるもののほか、(3)良性の腫瘍(頸管ポリープなど)、(4)子宮腟部びらん、(5)悪性の腫瘍(子宮頸がん・子宮体がんなど)、(6)妊娠に関連するものが考えられるといわれています。

「不正出血の原因は、ホルモンバランスの乱れによるものがいちばん多いと思います。卵巣がうまく働いていない、排卵がうまく周期を保てていないときに出血することが多いのです」と話すのは、産婦人科専門医の吉形玲美先生。

例えば、卵巣機能不全や月経不順もホルモンの異常による病気。どちらも思春期前の若年女性から閉経前の女性まで、幅広い年代で発症し、不正出血が起きることがあります。

炎症による不正出血とは?

不正出血は、萎縮性腟炎や病原菌の感染など、炎症が原因で起こることもあります。

萎縮性腟炎(老人性腟炎)は、主に閉経後の女性ホルモンの分泌低下により、外陰部や腟が乾燥・萎縮して、雑菌が繁殖するために起こる炎症のこと。

一方、病原菌の感染とは、例えば細菌性腟炎やカンジダ腟炎など、もともと常在している菌などから、クラミジアやトリコモナスなど、性病に関連する菌まで含めたもので、これらの菌による腟内の炎症で出血することがあります。

「腟炎は腟の免疫状態が悪くなって風邪を引くようなもの。風邪を引くと、咳や鼻水が出てくるように、腟も免疫の低下により雑菌が内部に入ってしまうと、炎症を起こしておりものが増えたり血が出やすくなったりします。このように炎症系の病気は、性病も含めておりものも増えますし、出血することもあるので注意しましょう」(吉形先生)

不正出血があったら病院へ行くべき?

不正出血の原因は、ホルモンバランスの乱れによるものがいちばん多いとのことですが、不正出血があった場合、病院へ行くべきなのでしょうか?

「月経周期は一方で25〜38日といわれていますから、それより明らかに短い場合や長い場合、例えば2週間おきに来てしまう場合、2〜3か月空くことが続く場合などは受診した方がいいですね」と吉形先生。

月経周期は人によって違いますから、不正出血の診断には、月経の周期パターンや出血があった日などの個人データが必要です。毎日メモして持って行きましょう。

「周期的に排卵の時期に出血する『中間期出血』など、病気ではないものもありますが、基本的に不正出血は病気です。受診すれば、放っておいていいものなのか、減らすことができるものなのかもわかりますし、萎縮性腟炎や性交時出血、ポリープなどは、治療で出血を止められることもあります。閉経前の方で明らかに月経ではない時期に出血することがあれば、一度、婦人科を受診してみてください」(吉形先生)

どんな検査を行うの?

不正出血で婦人科を受診した場合、どのような診察を行うのでしょうか?

「まずは問診後、内診台に上がっていただいて、血が腟の壁から出ているのか、子宮の入り口から出ているのか、さらに多くの子宮の内側から出ているのか、腟鏡(クスコ)をかけて目で診てから、内診を行います」と吉形先生。

内診のあとは、経腟超音波(エコー)検査へ。特に子宮の内側から血が出ている状態のときは、子宮体がんのような変化がないか、出血源になる異常な所見がないか注意して画像を確認します。

「子宮体がんの疑いがあればおよそこの超音波検査でわかります。子宮体がんの疑いがある場合は子宮内膜の細胞を採取します。子宮頸がんは進行がんであれば目で見てわかりますが、ごく初期(ゼロ期ぐらい)のがんは視診ではわからないので、子宮頸部の細胞を採取して調べます」(吉形先生)

不正出血はどこから、どうして血が出ているのか、自分ではわかりません。重大な病気が隠れていることもありますから、産婦人科を受診してみましょう。

産婦人科専門医

吉形玲美先生

文/清瀧流美 撮影/黒石あみ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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