片頭痛には前兆や予兆があるってホント?真相を医師に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は、“頭痛”について。片頭痛には前兆や予兆があるって…ウソ? ホント? 日本頭痛学会認定指導医・専門医の五十嵐久佳先生にお答えいただきます。
Q:片頭痛には前兆や予兆があるってホント?
ズキンズキンと脈打つような激しい痛みが特徴の片頭痛。急にくるイメージがありますが「頭痛になりそうな感じがわかる」という人も。本当なんでしょうか。そんなことがありえるのでしょうか。さっそく、この疑問を五十嵐先生にぶつけてみました! 果たして答えは…?
A:ホント
「前兆がないものもありますが、多くの場合、片頭痛には予兆が現れます」(五十嵐先生・以下「」内同)
片頭痛の予兆とは?
「片頭痛の予兆は、生理前の症状とよく似ています。原因は、ホルモンや睡眠、食欲、自律神経を司っている脳の視床下部の症状とされています。そして今、片頭痛そのものがこの視床下部から起こっているのではと考えられているのです。
主な予兆の症状は、お腹が空く、生あくびが出る、イライラ、気分が落ち込む、甘い物が食べたくなる、手足のむくみ、肩こり、首の痛みなどが挙げられます。頭痛が起こる直前に予兆が現れる人もいれば、48時間前から現れる人もいます」
- お腹が空く
- 生あくびが出る
- イライラ、気分が落ち込む
- 甘い物が食べたくなる
- 手足のむくみ
- 肩こり、首の痛み
片頭痛の前兆とは?
「片頭痛がある人の10人中1~3人には、頭痛の前兆として目の前に稲妻のようなキラキラした光が現れるという症状があります。
これは、閃輝暗点(せんきあんてん)といい、片頭痛の症状の一部。通常は5-20分続き、長くても1時間以内に消失します。閃輝暗点は、脳の後頭葉と呼ばれる箇所が一時的に血流が増加し、その後、血流低下が徐々に前方に拡大することで生じるとされています」
Point
◆片頭痛がある人の10人中1~3人には、目の前にキラキラした光が現れるという閃輝暗点(せんきあんてん)という症状が現れる。◆閃輝暗点(せんきあんてん)は、片頭痛の症状の一部。
◆通常は5-20分続き、長くても1時間以内に消失する。
片頭痛が起こりやすい日
「人それぞれ異なりますが、片頭痛が起こりやすい日というのはあります。まず女性ホルモンが深く関係してくる生理の2~3日前から月経中、雨の前日といった気圧の変化。
そのほかでは、週末頭痛もポピュラーなもののひとつ。朝寝坊をすることで、いつもよりも睡眠時間が多くなる。加えて、前日の夕飯から翌日の朝食まで時間が空くことで、空腹になります。食事の間隔が空いて空腹になると、頭痛を引き起こしやすくなってしまうのです。さらに、休日なので女性はショッピングに出掛ける人も多いですよね。実はショッピングビルやデパートは、明るい照明に香水売り場のニオイ、人混みといった、頭痛の誘発因子がたくさん。お買い物に夢中になって、昼食をスキップし、帰宅する頃には頭痛が…というケースも少なくありません。
また、ママたちの中で、もっとも頭痛が起こりやすい日が、子どもの運動会などのイベントです。朝早起きしてお弁当を作るので寝不足になってしまう、さらに運動会は天気の良い日に行うことが多いですから、太陽の日差しもあります。実は日差しも頭痛の原因のひとつ。
そして、太鼓や音楽などの大きな音に、ママ友とのお付き合いといった人間関係のストレスなど…イベント日は、片頭痛を引き起こす誘発因子が重なり合っているのです」
アルコールとの関係
「よくアルコールを飲むと頭痛が起こるという人がいますが、これはアルコールによって脳の血管が拡張するためです。実はアルコールは、食べ物・飲み物の中で頭痛を誘発するものナンバーワンなのです。
アルコールの種類については、ウォッカや焼酎などの蒸留酒よりも、日本酒や赤ワインといった醸造酒のほうが頭痛を引き起こしやすいといわれています。特に、赤ワインに反応する人が多いかもしれません。もちろんそのときの体調にもよりますが、生理前や生理中の飲酒は要注意。余計に頭痛を引き起こしやすくなってしまいます」
頭痛の対処法
「アルコールによって起こった頭痛の場合は、市販薬を飲むことで痛みが軽減することがあります。しかし、片頭痛の場合は、なかなか市販薬では効かず、また痛みが酷くなってから薬を飲んでは効かなくなってしまうことがほとんどです。片頭痛に悩まされている人は決して我慢せず、頭痛外来を受診して痛みをコントロールするための治療をお受けになることをおすすめします」
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文/木土さや
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
富士通クリニックで頭痛外来を担当。富士通本社産業医、北里大学医学部脳神経内科学客員教授も務める。国際頭痛学会、米国頭痛学会、日本神経学会(専門医、指導医)、日本頭痛学会(理事、専門医、指導医)など、所属学会多数。
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