理想的な「生理期間」何日遅れると妊娠の可能性が?医師が答えます!
生理には個人差がありますが、正常の目安となる期間からずれていると不安になりますよね。まずは生理周期について、あらためておさらい!どのくらい遅れると妊娠が考えられるか、そのほかの体の不調の可能性など、医師が丁寧に解説します。生理周期を安定させる方法も教えますので参考にしてみてくださいね。
正常な「生理周期」をおさらい
経血日数は3日~7日が目安
「まずは正常な生理の周期、経血日数、経血量の目安を以下の【正常な生理の目安】でチェック。この範囲を外れていたら、女性ホルモンのバランスが乱れているサインです。ちなみに生理周期とは、生理が始まった日から次の生理が来る前日までの日数。ふたつの女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)は、この周期の中で交互に分泌量の増減を繰り返しています。基礎体温表をつければ、その流れを“見える化”できます」(福山先生)
【正常な生理の目安】
- 周期:25~38日
- 経血日数:3~7日(平均5日)
- 経血量:20~140ml
実際、経血量は測定できないので数値での判断は難しいが、「夜用のナプキンでも漏れる」「1時間ごとにナプキンを替える」などは過多月経。「塊で出る」なども異常のサイン。
【生理周期】
- 卵胞期
卵巣の中の卵子のもととなる原始卵胞が成熟する時期。排卵を前にエストロゲンが急激に増え、 受精卵のベッドとなる子宮内膜を厚くする。 - 排卵期
成熟した卵胞から卵子が飛び出す(排卵)時期。卵子は卵管采でピックアップされ、精子を待つ。 エストロゲンが激減し、プロゲステロンが増え始める。 - 黄体期
排卵した後の卵胞 が黄体に変化する時期。黄体からプロゲステロンが多く分泌されて、厚くなった 子宮内膜や乳腺など、妊娠しやすい状態となる。 - 月経期
妊娠が成立しなければ、エストロゲン、プロゲステロンの量がともに減って、子宮内膜が剥がれ落ち、出血。月経として体外へ排出される。
基礎体温をつけて自分の周期を把握して!
成城松村クリニック 院長
松村 圭子先生
日本産科婦人科学会専門医。広島大学医学部卒。広島大学病院等での勤務を経て、2010年に開院。女性の美と健康に関する知見を生かし、女性誌やテレビなどメディアでも活躍。女性ホルモンに関する著書も多数。
基礎体温とは、朝目覚めた後、最も安静な状態で測る体温のこと。
「女性の体温は生理周期に応じて低温期と高温期の2相に分かれています。正常な場合、 エストロゲンが増える低温期が約2週間続き、排卵を挟んでプロゲステロンが増える高温期に移行。これが約2週間続きます。
ただし、たとえ生理が規則的に来て、基礎体温が2相性でも、 出血量や出血期間に異常があったり、ほかに不調があれば、ホルモンバランスが良好とはいえません 」(松村先生)
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何日遅れたら「妊娠の可能性」がある?
基礎体温の状態で妊娠しているかがわかる
前の生理から低温期が続き、排卵した後、プロゲステロンが増える高温期がずっと続く。
そのまま次の生理が来る頃になっても基礎体温が下がらず、生理が来ない。
妊娠以外の月経異常もわかる
■無排卵・無月経
高温期がなく、ずっと低温期のまま
の場合、生理は来ていても、排卵が起こっていない状態。ホルモンのバランスも乱れている。生理が3か月以上来なければ、続発性無月経。
■黄体機能不全
2相に分かれてはいるけれど、
高温期が短い状態
は黄体機能の不全の可能性あり。妊娠を持続させるプロゲステロンの働きが不足して、受精しても着床しにくい場合がある。
月経異常は放置せず「婦人科検診」を受けて
「婦人科では、月経異常の治療として、経腟超音波、子宮頸がん検査に加え、ホルモン分泌を調べる血液検査を行います」(福山先生)
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生理周期を安定させる「5つの方法」
- ピルを活用
- 漢方薬で体質改善
- 血の巡りを良くする
- リラックスする余裕と時間を増やす
- 冷えを解消
【1】ピルを活用
ピルの効果
イシハラクリニック 副院長
石原 新菜先生
帝京大学医学部卒。同大学病院で研修医を経て、現クリニック副院長に着任。漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療に当たっている。そのほか、わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄で、TVやラジオ、雑誌、執筆活動と、幅広く活躍。
「生理不順の原因のひとつが、女性ホルモンのバランスの不調です。ピルにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンが1錠の中にバランス良く含まれています。 そのため内服中の脳は”ホルモンが分泌されている”と勘違いし、排卵を促す指令を出さなくなります。結果、排卵がストップして避妊が可能になるのですが、この状態は、子宮がお休みしているということです。その安静中に治癒されることでホルモンバランスも整っていき、その結果、生理周期も正しく改善されます。
ちなみに、服用を中止すれば、1~2か月で通常の月経が再開し、妊娠も可能になります」(石原先生・以下「」内同)
- ピル服用中は排卵がストップするため、排卵痛、つまり生理痛がなくなる。
- 月経量も減少するため、貧血も軽減される。
- 排卵を抑制することでホルモンバランスが整い、生理周期が改善される。
「ピルには中容量ピルと低容量ピルの2種がありますが、低容量ピルが認可されるまでは中容量ピルが一般的なピルとして知られていました。どちらも避妊目的や月経に関する悩みの解消に使われるものです。
中用量ピルは成分が強いことから副作用のリスクが低容量ピルより高くなります。そのため、安全性を考えて低用量ピルが用いられることが多くなっています。含まれる黄体ホルモンの種類や量によって数タイプありますので、どれが自分に合っているのかは医師に相談してみてください」
【2】漢方薬で体質改善
4種の漢方薬
「漢方薬は、痛みの発生を抑える西洋薬とは違い、個々の体を『気・血・水』のバランスで診断して体質改善していきます。生理痛体質(血行不良)の改善は下の4つが定番」
温経湯(うんけいとう)
- 脈やおなかの力が弱い虚弱なタイプの人の、月経不順や月経困難症、PMSなどを和らげる。
- 「血虚」(血不足)を改善する薬で冷え性にも効果的。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 体力虚弱で、冷え性、貧血の傾向があり疲労しやすい人の、生理痛、生理不順、むくみなどを緩和。
- 血巡りの悪い「瘀血」を改善し、体を温める。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 比較的体力があり、赤ら顔、冷えのぼせ、下腹部のハリなどを感じるタイプに向く。
- 「瘀血」を改善して、生理痛や月経異常などの症状を緩和。
加味逍遥散(かみしょうようさん)
- 体力があまりなく、肩こり、頭痛、のぼせ、イライラなどさまざまな不定愁訴に悩む人の諸症状を緩和。
- 「瘀血」の改善に加え、抑うつ効果も。
【3】血の巡りを良くする
血行不良を改善するには「運動」
血液専門医
濱木 珠恵先生
医療法人社団鉄医会ナビタスクリニック新宿 院長。日本内科学会認定内科医。日本血液学会認定血液専門医。北海道大学医学部卒業後、国際医療センター、虎の門病院、国立がんセンター中央病院、都立府中病院、都立墨東病院を経て、2016年より現職。貧血内科や女性内科などで女性の健康をサポートしている。
「美的世代で心配なのは、西洋医学的な病気としての動脈硬化などで血管が閉塞してしまう血行障害よりは、東洋医学的な意味合いでの『血の巡り』。若い人の場合、血管の異常で血流が途絶えることは少ないのですが、ストレスや運動不足のせいで末梢での血液の流れが悪くなってしまったり、疲労物質が滞ったりすることが多いのです」(濱木先生)
東洋医学的には、月経に関連した症状などもお血(けつ)という血の滞りが関係すると言われています。
「運動不足の人は筋肉を動かしていないので、こり固まっています。このために血流が滞りやすくなり、さらに肩がこるなどの症状が悪化するのだと思います」(濱木先生)
筋肉を刺激して動かすと、毛細血管のすみずみまで血液が流れるようになっていきます。また、適度な運動は交感神経の緊張をほぐすリラックス効果もあります。血行不良が気になる人は、 足首やふくらはぎを動かすなど、簡単なストレッチから始めてみましょう。誰もができる動的ストレッチとしては、ラジオ体操も有効です。
座ったままできる「足首回し」
【How to】
(1)座ったままの状態でOK!
(2)片足を浮かせて足首をくるくると円を描くように右回し、左回しをそれぞれ10回。
(3)反対の足首も同様に行う。
(4)脚全体がポカポカと血行が良くなるまで行う。
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壁を使って「ふくらはぎ伸ばし」
【How to】
(1)壁に両手をつけ、片足を後ろに引く。
(2)かかとを床につけたままひざをしっかり伸ばす。反対側も行う。
【4】リラックスする余裕と時間を増やす
【point1】8割できればOK!頑張りすぎない
成城松村クリニック 院長
松村 圭子先生
まつむらけいこ/日本産科婦人科学会専門医。広島大学医学部卒。広島大学病院等での勤務を経て、2010年に開院。女性の美と健康に関する知見を生かし、女性誌やテレビなどメディアでも活躍。女性ホルモンに関する著書も多数。
「女性ホルモンの分泌を指令する視床下部には、自律神経をコントロールする働きもあります。そのため、ストレスで自律神経が乱れていると、ホルモンバランスも乱れてしまうのは当然のこと。 ストレスや緊張で交感神経が優位な状態が多すぎる日常に、もっとリラックスする余裕と時間を増やしましょう。 責任感を持って仕事を頑張るのはいいことだけれど、四六時中、縛られている状況は問題。忙しい人程、オンとオフの切り替えが必要です。また、 不安や怒り、不満などのマイナス感情も自律神経やホルモンバランスを乱す要因。いつまでも引きずらないように、切り替えの気持ちを! 」(松村先生・以下「」内同)
「神経質な完璧主義者程、100%できるまで自分を追い込んでイライラ。まじめな頑張り屋さんも、休み所がわからなくてズルズル仕事をしがちです。心当たりのある人は、少し働き方を変えてみては?8割できれば今日はOK!くらいの心のゆとりをもちましょう」
【point2】思いきり泣いたり、物に当たるのも◎
「負の感情のデトックスには、思いきり涙を流すのがおすすめ。悔し涙ではなく、あえて“泣ける”映画やドラマ、小説などを選んで、声を出して泣きましょう。また、紙を思いきり破ったり、クッションを殴ったり…物に当たるのも、手っとり早いストレス発散法です」
【point3】口角を上げるだけでも効果的
「人は笑うと、免疫力を高めるNK細胞が活性化するといいます。口角を上げて作り笑いをしただけでも同様だそう。免疫力が上がれば、ホルモンバランスもおのずと整います。特にホルモン変動で気分にムラが出る生理前は、極力笑顔を心掛けてみてください」
【point4】香りを味方につけてリラックス
「忙しすぎる日の休息時間や、夜のリラックスタイムに、副交感神経を優位にさせるアロマを活用してみましょう。香りは脳にダイレクトに働くので、自分が心地よいと感じる香りをかぐと、自然と呼吸が深まって脳もリラックス。自律神経が整って、ホルモンバランスもUPします」
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- 忙しい女性のために、心のバランスが整う、原生の花々の香りを厳選。
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【point5】優先順位のチェック表で働き方改善
「時間に追われる仕事が山積みで、ストレスを感じている人は、まずその混乱を整理しましょう。今の課題を『重要』 『緊急』 『あまり重要でない』『あまり緊急でない』の4つの軸に振り分けて書き出すだけで、無駄なく賢く時間を管理できるようになります」
【5】冷えを解消
冷えによって子宮や卵巣に行く血液が後回しにされる
イシハラクリニック 副院長
石原 新菜先生
帝京大学医学部卒。同大学病院で研修医を経て、現クリニック副院長に着任。漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療に当たっている。そのほか、わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄で、TVやラジオ、雑誌、執筆活動と、幅広く活躍。
「冷えを感じると、体は生命維持に必要な内臓機能を守るために、まずは内臓周りに血液を集めます。そのため手足や皮膚の表面、さらには子宮や卵巣などが後回しにされて、結果、生理不順や無月経になることも」(石原先生)
お腹とお尻を温めて
「おなかやお尻は、脂肪が多い部位。脂肪は血管が少なく温度も低いのです。さらに、長時間同じ姿勢でいることから起きる血行不良が冷えの原因に」と指摘。「手足の冷えと違い、おなかやお尻の冷えは放置しがち。でもそのままにしておくと、便秘や生理不順、ひいては婦人科系の病気を引き起こすことも。その上なかなかヤセにくく、さらに脂肪がつきやすくなります」(渡邉先生)
【point1】湯船に座るとき、手の上にお尻を乗せて刺激!
冷たいおなかやお尻は、湯の中で手を当てたりゆっくり動かすとよりポカポカに。
「湯船の中でお尻の下に手を入れるだけでもOKです」(石川さん)
【point2】”カリウム”の多い有色野菜をたくさん摂る
水分や血液が滞りがちなぽっちゃりさん。血液が酸化してドロドロになっている可能性もあるので、抗酸化作用が強く、余分な塩分や水分を排出するカリウムが豊富な緑黄色野菜を積極的にとって。
【point3】温め&むくみ防止のサプリメントを活用
野菜多めの食事で栄養をとり、血流や代謝を促しつつ、サプリも賢く取り入れましょう。体全体を温めるだけでなく、不要な水分の排出もサポートするサプリを継続してとってみて。
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【point4】歩くときは“早歩き”を心掛ける
運動不足を感じるのなら、なるべく歩くようにしましょう。
「少し早歩きをすることで太ももやふくらはぎの筋肉を充分に刺激することになり、代謝もアップしますよ」(渡邉先生)
※クリニックの価格は取材当時の金額となっています。
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
ふくやまちよこ/金沢医科大学卒。日本産科婦人科学会専門医。東京大学医学部附属病院勤務などを経て、’09年から現職。女性ホルモンの影響を受けて、さまざまな悩みを抱える女性たちに親身に寄り添う診療が評判。