食・レシピ
2023.7.27

牡蠣フライの健康効果│栄養素やカロリーを解説

牡蠣フライは栄養がたっぷりつまった料理の一つです。揚げものであるため、健康に悪そうなイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、牡蠣そのものは栄養価が高い食品のため、工夫して食べることによって健康に嬉しい効果を得られる料理です。今回は牡蠣フライに含まれる栄養素とその働き、ダイエット中におすすめの食べ方を管理栄養士が解説します。

牡蠣フライのカロリーと糖質

牡蠣フライは生の牡蠣と比べると、衣をつけて揚げている分カロリーや糖質が高くなります。そこで、同じ魚介類のフライと比べたときに、どのくらい変わるのかも合わせて以下の表にまとめました。

可食部100gあたり

食品名 エネルギー(kcal) 糖質(g)
生牡蠣 58 4.9
牡蠣フライ 256 32.9
いかフライ 227 (18.8)
えびフライ 236 19.5
白身フライ 299 16.2

牡蠣はフライにすることでカロリーが4倍以上、糖質は7倍近く多くなっています。カロリーはいかフライやえびフライよりも少し高く、白身フライよりは少ないです。糖質はどのフライよりも多いため、ダイエット中に食べる際は注意しましょう。
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

牡蠣フライの栄養と健康効果

牡蠣フライは、栄養素が豊富な牡蠣を使った料理です。糖質の一種であるグリコーゲンをはじめ、必須ミネラルで不足しやすい鉄と亜鉛、必須ビタミンのビタミンB12、抗酸化力の高いセレンが含まれます。ここではそれぞれの栄養素の特徴や働き、不足した場合にどのような症状が起こるのかについて見ていきましょう。

グリコーゲン

グリコーゲンは、動物でんぷんとも呼ばれる糖質の一種です。牡蠣やエビなどの魚介に多く含まれており、たくさんのブドウ糖が繋がった多糖類に分類されます。摂取されてからエネルギー源として素早く使われる栄養素です。人が食事から摂取したブドウ糖が余った場合も体の中でグリコーゲンに合成され、筋肉や肝臓に蓄えられています。空腹時や運動後などには素早く分解され、ブドウ糖として使われる仕組みです。

ブドウ糖が不足すると体が疲れやすくなり、脳へのエネルギー補給も滞って脳の働きの低下につながります。そのためグリコーゲンを摂取することは、集中力や記憶力の向上、疲労回復に効果的です。

鉄はミネラルの一種で、人の体の中では赤血球の中のヘモグロビンというたんぱく質を作るのに必要な成分です。全身に酸素を運ぶときにこのヘモグロビンが必要となるため、不足することで貧血を起こします。特に妊娠中や成長期の子どもの場合は不足しやすいため、注意が必要です。

牡蠣に含まれている鉄はヘム鉄と呼ばれ、動物性の食品に多く含まれています。野菜などに含まれている非ヘム鉄よりも吸収率が良いため、より貧血には効果的です。ビタミンCと一緒に摂取することで更に吸収率がよくなるため、牡蠣フライにはレモンを絞って食べるとよいでしょう。

亜鉛

亜鉛は、不足しがちなミネラルの一種です。たんぱく質やホルモンを作るのを助ける働きをもち、不足すると新陳代謝が悪くなります。代表的な症状として知られているのが味覚障害です。舌は人の体の中でも生まれ変わりのスピードが早い臓器であり、亜鉛が不足することで起こる新陳代謝悪化の影響を受けやすくなってしまいます。

ほかにも肌のかさつきや脱毛、免疫機能の低下などが起こるため、不足しないように注意が必要です。特に成長期の子どもは発育不良にならないよう、積極的に取り入れるようにしましょう。

牡蠣フライであれば大ぶりのものを3個食べるだけで、成人女性の1日に必要な亜鉛を摂取できます。

ビタミンB12

ビタミンB12は水溶性のビタミンで、血を作るときに必要になるため「造血のビタミン」とも呼ばれるビタミンです。不足することで赤血球がうまく作れなくなる悪性貧血や、神経系の異常が起こります。

腸内細菌によっても作られるため、普通の食事を摂っている分には不足することはあまりありません。ただし、ビタミンB12は動物性食品に多く含まれるため、菜食主義の食事をしている場合や、消化管の不調で吸収がうまくいっていない場合には不足することもあります。

ビタミンB12が十分に補われていると、神経機能を正常に保つのに効果的です。末梢神経が傷つくことで肩こりや腰痛の原因となることもあるため、これらで悩んでいる場合は摂取量を増やしてみるとよいでしょう。また、目の筋肉に働きかけて眼精疲労を軽減する働きも持つため、パソコンを使う時間が多い方にもおすすめの栄養素です。

セレン

セレンはミネラルの一種で、抗酸化力が高いことで知られています。抗酸化とは体が酸化するのを防ぐ働きのことです。酸素は体の中で紫外線やストレスなどの刺激を受けると、活性酸素という不安定な物質に変わります。

活性酸素は免疫機能などにも関わっており、人にとってなくてはならない物質です。しかし増えすぎると体を傷つけ、がんや動脈硬化などの生活習慣病の原因となるほか、肌の老化にも関わります。

セレンはこの増えすぎた活性酸素を取り除く酵素や、活性酸素によって酸化されてできる過酸化脂質が作られるのを防ぐ酵素を作るのに関わる成分です。ビタミンEと組み合わせることで効果が増すため、オリーブオイルやナッツ類、アボカドなどど組み合わせるとよいでしょう。

ダイエット中に牡蠣フライを食べるときのコツ4つ

ダイエット中に牡蠣フライを食べるときにはコツがあります。「衣のつけすぎに注意する」、「トースターを使って焼く」、「野菜と一緒に食べる」、「レモン汁を使う」の4つです。ダイエット中でもこの4つのコツをおさえ、牡蠣フライを楽しみましょう。ここではそれぞれの具体的な方法をご紹介します。

1.衣のつけすぎに注意する

牡蠣フライに含まれる糖質のほとんどは、衣によるものです。ダイエット中にも牡蠣フライを楽しみたい場合、この衣の量を調整することで糖質を減らせられます。たっぷりつけずに、できるだけ少ない衣に抑えるようにしましょう。

パン粉の種類によっても揚げ油の吸収率が変わります。生パン粉と乾燥パン粉では乾燥パン粉のほうが油を吸いにくいです。また同じ乾燥パン粉であっても、粗いものよりも細引きのもののほうが多くつきにくく、油も吸いにくいため、乾燥の細引きを選ぶようにするとよいでしょう。

ほかにも衣の一部をゴマやナッツなどに置き換えることで、パン粉の量を減らして糖質量が抑えられるため試してみてください。

2.油で揚げずにトースターで焼く

牡蠣フライを揚げずに作ることで、カロリーを減らせられます。揚げてしまうとどうしてもパン粉が揚げ油を吸ってしまい、カロリーが高くなりがちです。パン粉をつけてからトースターで焼くことで、揚げ油を吸わない分カロリーを抑えられます。

少し味気なく感じてしまう場合には、パン粉にあらかじめ少量のオリーブオイルなどの油を混ぜてから衣として使うことで、よりフライに近づけられるためおすすめです。揚げ油を使わない分キッチンも汚れずにすみ、後片付けも楽になるため、ダイエット中に揚げものが食べたくなってしまった際に取り入れてみましょう。

3.野菜と一緒に食べる

ダイエット中にどうしても牡蠣フライが食べたくなった場合、一緒に野菜を食べることでダイエットへの影響を抑えられます。牡蠣フライによく添えられている千切りキャベツは、食物繊維を含む野菜です。不溶性食物繊維が多いため、キャベツを先に食べるようにしてよく噛めば満腹感が得られやすく、食べすぎを防げます。

キャベツに限らず、野菜には低カロリーで低糖質なものが多く、食物繊維を多く含んでいるため、一緒に食べるようにするとよいでしょう。糖質や脂質の吸収を穏やかにするには、海藻類などの水溶性食物繊維を多く含んでいる食材を取り入れるのもおすすめです。

4.ソースではなくレモン汁で食べる

牡蠣フライの食べ方で気をつけたいのが、味つけに使う調味料です。よく使われている中濃ソースやタルタルソースは、カロリーや糖質が更に追加されてしまうため、ダイエット中には避けたほうがよいでしょう。代わりにレモンを絞って食べれば、鉄や亜鉛の吸収率もよくなり、栄養素も効果的に摂取できるためおすすめです。

牡蠣フライは栄養満点!食べ過ぎないように楽しもう

牡蠣フライには、体に嬉しい栄養素が豊富に含まれていることを紹介しました。揚げものではあるため、食べすぎや組み合わせる食事には注意が必要ですが、工夫することでダイエット中にも楽しめます。揚げものだからといって我慢するのではなく、調理方法や組み合わせに気をつけて、ダイエット中でも上手に取り入れてみましょう。

管理栄養士

川島 尚子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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