肌と体に効く! 「低温加熱」 夏野菜サラダ
トマト、なす、きゅうり、カボチャ…夏野菜の栄養と旨みは、45℃~70℃の弱火調理でギュッと凝縮! エコ×簡単×おいしい、のいいことずくめなんです!
野菜は低温加熱で生よりおいしくなる!
肌や体にいい野菜をたっぷり、おいしくとりたい女子は「低温加熱」に注目です! 以前話題になった「50℃洗い」と同様、熱による細胞の変化を利用して食材の歯応え、旨みをUPさせるもの。ただし、「50℃洗い」のように食材をいきなりお湯につけるのではなく、常温から弱火でゆっくり加熱していくのがポイントです。「一般的に食材の細胞が壊れ始めるのは70℃辺り。水から湯に変わる低い温度帯をゆっくりと通過させることで旨みも引き出され、料理がぐっとおいしくなるんです。しかも、70℃で火を止めれば、食材のフレッシュ感を残しつつ、栄養の破壊や成分の酸化も抑えられます。料理のプロは、常識として行っている技術ですよ」(料理科学研究家・水島弘史さん)
科学の料理人
水島弘史さん
みずしまひろし/料理科学研究家。東京の有名フレンチレストランでシェフを務めた後、2000年に自店をオープン。2010年からは料理教室や著書などを通して、科学的理論を取り入れた独自の調理法を指導。
低温加熱の2大調理法は蒸し・ゆでの2種類!
【Point!】どちらの場合も温度計とタイマーを用意して!
低温ゆでのコツ
常温からゆっくり加熱して70℃で火を止める
■Vegetable
赤黄パプリカときゅうりをサイコロ状にカット。細かく切る程、素材の中までの熱伝導は早くなる。
0.8%の塩水(水600mlに対して塩4.8g)に野菜を入れて、弱めの中火(火が鍋の底にギリギリ当たらない程度)で加熱。酵素活性で野菜がおいしくなる50~60℃の温度帯をゆっくりと通過させて、70℃で火を止める。 ※小さじ1杯の食塩は約5gに相当。
■meat
ささ身などの肉も水からじっくり低温加熱することで縮みやパサつきを防げ、食感や旨みがUP。臭みも抜ける。
鍋に1.5%の塩水(水400mlに対し塩6g)とささ身を入れて中弱火で加熱。肉が縮み始める40℃でいったん火を止めて5分蒸らすことで、やわらかさを保持できる。その後、ゆっくり70℃まで加熱すればさらにプリプリに。
低温蒸しのコツ
食材のかたさに応じて蒸し器内を70~75℃にキープ
オクラやパプリカなど熱の通りが早い食材は、蒸し器を先に加熱して70℃になってから10分キープ。一方、カボチャやじゃが芋などかための食材は、蒸し器にセットしてから75℃まで加熱。
Memo
加熱温度による湯&湯気の変化
45℃…【ゆで湯】 指を入れて熱いお風呂程度。
70℃…【ゆで湯】鍋肌に小さな水泡が出て、わずかに湯気が上がっている状態。(鶏肉は煮汁が白く濁り、アクが浮遊)
【蒸し器】手をかざせる熱さの湯気がわずかに出ている状態。
農学博士渋川祥子先生に「低温加熱」のメリットを聞きました!
横浜国立大学 名誉教授
渋川祥子先生
しぶかわしょうこ/お茶の水女子大学家政学部食物学科卒業。横浜国立大学教育人間科学部で教鞭をとり、現在、名誉教授。著書に『加熱上手はお料理上手』(建帛社)。
温度で変わる酵素反応を味方にしておいしさUP
「生の食材が低温加熱でシャキッとするのは、温度に対応した酵素反応のひとつです。食材の細胞と細胞をつなぐペクチンには50℃付近でカルシウムと結びついて少しかたくなる性質があって、それが歯応えの良さにつながります。また、食材によって多少違うものの、75〜80℃を超えるとペクチンが分解されて、煮くずれ始めます。そのため、サラダで歯応えを楽しみたい野菜は、70℃に温度が上がった時点で火を止めるのがポイントです。しかも、弱めの火で加熱すれば、旨みを引き出す酵素の働く温度帯をゆっくり通過するため、強火でいきなり高温にするよりもおいしくなります。生野菜の臭みや独特のえぐみを抑えられるメリットも。
主な低温加熱法は〝蒸し〞と〝ゆで〞。蒸せば栄養を閉じ込められる、ゆでればアクが取れておいしくなる、とそれぞれに良さがあるので、野菜によって使い分けるといいでしょう」
レシピ・料理作成/水島弘史 撮影/フカヤマノリユキ スタイリング/秋山景子 デザイン/最上真千子 構成/つつみゆかり
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※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。