バストアップに効果的な方法は?垂れる原因は? 専門医、プロに聞いた!
食べ物によってバストが大きくなるということはなく、マッサージのみではそれほど効果が期待できないことを知っていますか?バストアップのポイントはバストを下垂させないこと。大胸筋のトレーニングはバストアップに効果があるといわれています。バストアップに効果のあるストレッチやエクササイズ法をご紹介します。
「バストが垂れる」5つの原因
- 年齢
- 猫背
- 胸の形にあっていないブラ
- サポートなしでの運動
- 授乳
【1】年齢
年齢を重ねてくると、気になるのがバストの位置の低下やハリの変化。
「乳房の中でボリュームを作っているのは、柔らかい脂肪と乳腺なのですが、この乳腺は繊維の部分が結構あって硬いんですよ。脂肪の成分が多い外国人に比べて、日本人の乳房は脂肪が少なく、乳腺が多いため、実は下垂しにくいんです」(島田先生)
ところが、年齢が高くなると、閉経などの影響により、乳腺は徐々に萎縮。そのまま中身が柔らかい脂肪に置き換わっていくため、乳房は段々下がってきてしまうのです。
誰しもが抗えない「加齢によるバストの変化」
「ワコールの人間科学研究所では1964年創立以来、女性のからだを計測し、データを分析してきました。そこでわかったのが、加齢に伴って誰しもが同じ順序でバストに変化が起きるということ。上の図を見ていただければわかりますが、初期段階は上胸のボリュームが落ちてきます。さらに、バスト下部がたわみ始めて、乳頭が下向きになり…。最終的にはバストが外側へ流れて下がるというものです。
バストが下がり始めるのは随分先と思いがちですが、実は20代から下垂は始まっています。20代でも、すでにSTEP2の人がいるというデータも。また、一度変化したら悲しいことに元のバストの形には戻りません」(津久井さん)
【2】猫背
猫背でいると大胸筋が固くなりバストトップが下がる
「猫背の姿勢でいると肩胛骨が左右に広がり、胸が縮こまった状態に。すると、バストアップに大きく関わる大胸筋がこり固まって衰え、バストが垂れる原因に。マッサージをする場合もまずはここをほぐすことから始めて」(水井さん)
【3】胸の形にあっていないブラをつけている
「自分のバストに合わないブラジャーをつけていると、バスト自体にかかる重力と、揺れなどの外部からの刺激が長時間継続し、バストを支えるクーパー靭帯にストレスがかかり伸びてしまいます。これがバストの加齢変化を早めてしまう要因になるのです」
「カラダにあったブラジャーはバストラインを美しく整え、揺れを軽減し、快適な動きをサポートしてくれます。自分のからだの“いま”と向き合って、とっておきのブラジャーを探してみてくださいね」(伊藤さん)
【4】サポートなしでの運動
「運動時のバストの揺れに対応していない普通のブラジャーを着用して長期に渡って走り続けると、バストを支えるクーパー靭帯という繊維が伸びてしまい、バストを下垂させる原因となります」
「主にバストを構成するのは”脂肪組織”と”乳腺”のふたつ。これらを繋いでいるのが”クーパー靭帯”と呼ばれるコラーゲン繊維です。繊維が網目のように張り巡らされているのが特徴で、バストを支える大切な役割を担っています。
クーパー靭帯は、バストそのものにかかる重みや、運動などでバストが継続的に揺れることで、ストレスがかかって伸びてしまいます。組織を繋ぎ、弾力を支える靭帯が伸びていけば、バストも自ずと下垂していくというわけです。
また、一度伸びると、再び縮んで戻ることがないという悲しい現実も。バストには筋肉がないため、下垂したバストを鍛えて引き上げるということはできません。そのため、バストは早いうちからのケアが必要と言われています」
「加齢とは関係なく、若くしてすでに胸が下垂し始めているという人は、普段の行動でバストを大きく揺らして負荷を与えている可能性も。普段の行動を見直して、日中用のブラは採寸して合うものを身につける、運動など日常よりも胸を揺らすときには動きに適した下着をつけることをお勧めしています」(津久井さん)
【5】授乳
「バストの変化には個人差がありますが、授乳後はハリがなくなる傾向にあります。その理由は、授乳に向けて発達して大きくなった乳腺が、授乳を終えると退化していくからです。さらに、乳腺の発達とともにバストが大きく重くなるため、重力の影響をより受けやすくなるのも原因のひとつ。妊娠・出産時はバストだけでなく、ボディライン全体が変化する時なので、変化に合わせてサポートする下着を選ぶことが大切です」(津久井さん)
\妊娠中のバストは横に広がる/
「妊娠・出産・授乳で、めまぐるしく変化するのがバストです。妊娠中は授乳に向けて、女性ホルモンが働いて乳腺が発達。それに伴い、バストにハリが出てボリュームがアップします。バストが大きくなると、より重力の影響を受けやすくなり、重みで皮膚が伸びてしまったり、下垂の原因にも」
バストアップは出来る?
「下垂」させないことがポイント
「実は、大人になってからのバストアップ法は、あるにはあります。バストは乳腺と脂肪からできているので、成長期が止まったあとは乳腺は発達しないものの、脂肪が増えてくれば、当然バストもボリュームアップします。その代わり、全体的に他の部位もボリュームが付いてしまいますが」(島田先生)
バストのみをサイズアップさせるというのは、悲しいかな、非現実的なようです。アラサーからのバストアップはサイズよりも、下垂させないことをポイントに。キレイな上向きバストをキープさせるための“現状維持”に力を入れてみてくださいね。
マッサージはバストアップ効果がある?
「バストの発達に血の巡りは重要です。運動やストレッチ、マッサージなどで血流を上げることは、バストの健康や発達にとっていいことだと思います。ただし、胸を大きくするという目的では、マッサージのみではそれほど効果が期待できないと思います」(島田先生)
大胸筋の筋トレはバストアップに効果がある
「靭帯は筋肉の力に依存して強くなりますから、大胸筋のトレーニングはバストアップに効果があると思います」(島田先生)
手軽なのは合掌のポーズ。
背筋を伸ばしてデコルテの前で手を手のひらを合わせ、息を吐きながら大胸筋を使うイメージで10~15秒ほど手のひらを押し合うだけ。この動作を5回、1日3セットほど行ないます。
【プロ直伝】効果のある7つのバストアップ法
【1】基本のストレッチ
まずはバスト周りの筋肉をほぐして本来の位置に戻す
【Step.1】壁を利用してポジショニング
腕を壁に引っかけて固定し、腕と同サイドの足を前に出す。わきをグーッと伸ばす。
基本のストレッチとなるのでこれだけは1カ月毎日必ず行いましょう。
【Step.2】肩胛骨の方からわき肉をしっかりキャッチ
指先が肩胛骨に触れるように、背中側のお肉を4本の指でしっかり掴む。
【Step.3】掴んだわき肉をグッとバストの方へ引っ張る
二の腕、わき肉をかき集めるイメージでスライドし、1分間キープ。逆サイドも同様に。
【Step.4】“にゃんこの手”でバスト上部がふっくら
手を軽く握って鎖骨の下に置く。あごを上げて首を伸ばし、お肉をバスト上部に集めるイメージで手を下にスライド。1分間繰り返す。
【Step.5】わきのリンパの流れを促してスッキリ
わきの中央に親指をグッと差し込み、親指以外の指は肩胛骨辺りを掴む。掴んだ手をバストの方へギューッと引っ張る。
【2】「お悩み別」+αの効果的なエクササイズ
小さい
わき周りのはみだし肉をかき集める
壁に手を添え、わき周りの肉をにゃんこの手でほぐし、バストの方へゆっくりとスライド。左右差がある人は小さい方を重点的に!
「人と比較してコンプレックスを抱きやすい人は、利き腕の側の胸が小さくなる傾向が。自然を眺めて視覚からリラックスを」(田家さん・以下「」内同)
垂れ
ブラジャーをつけたまま押し上げる
胸を張り、ブラジャーのアンダーを指でできるだけ押し上げてキープ。同時に腹式呼吸を行い、ゆっくりと息を吐き切る。これを5回。
「イライラを我慢しやすい人は、猫背になり、みぞおち周辺が硬直してバストが下に引っ張られます。自然の音を聴いて心を解放して」
固い
バストを優しくゆっくり内回し
バスト全体をガシッと手で覆い掴み、胸を張りながらバストを中心へ寄せるようにゆっくりと内回し。これを1分間行う。
「気遣い屋で盛り上げ役の人は自律神経の優位が続いてバスト周りが固くなりがち。香りの良いクリームを塗って深呼吸すると◎」
離れ
腕とバストを引き離して外流れを防止
腕を肩の高さで水平に伸ばして壁で固定し、腕とバストを引き離すイメージでわき肉をバストの方へゆっくりスライド。1分間キープ。
「自分を責めやすい人は、背中が硬直して、おっぱいも背中に引っ張られやすい。ふわふわの毛布など柔らかい感触に癒されましょう」
【3】大胸筋ストレッチで胸を開く
壁の横に立ち、右手を壁につける。ひじが肩より少し高くなるように。左手を右胸の上に置いたら息を吸い、吐きながら左側に体をひねり30秒キープ。反対側も同様に行う。
【4】バストのこり、硬さをほぐす
鎖骨下、わき手前辺り(大胸筋)を指でさする。さらに肋骨に両手を添え、持ち上げるよう動かしたら、小指をアンダーバストのラインに添え、少し揺らす程度に優しくほぐしこりを取る。
【5】バストアップを目指すマッサージ
【Step.1】4本指でアンダーバストのラインを内側から外側へなぞったら、親指の腹でわきの下をプッシュ。
【Step.2】腕を上げ、ひじ~わきに向かって手で10回さすり、二の腕の脂肪を胸まで流し、余分な脂肪を胸に集める。
【Step.3】右手を胸の間に添えながら、左手で右側の背中の脂肪を右胸に集める。反対側も同様に各10回。
【Step.4】集めてきた脂肪をバストの中央へ寄せるイメージで、両手のひらで円を描くよう優しく10回動かす。
【6】「シッポふりふり」筋トレ運動
整体師・肛筋トレーナー
久嬢由起子さん
1982年生まれ。整体師として活動する中で肛門周りの筋肉に注目し、肛筋ストレッチを考案。食生活アドバイザーなど美容に関する資格も数多く所有する。
\バストアップにも効果あり/
床に四つん這いになり、ボールペンをおしりにはさむ。尻尾(ペン)を振る犬をイメージしながら、骨盤を左右にゆっくりとスライドさせる。
1振り1秒を目安に、8振り×3セット。
わき腹やおしり、太ももの内側の筋肉を使うので全身の引き締めに効果あり。
わきを締めるように行うと、バストアップ効果も!
【7】「横隔膜呼吸」でバストアップ
「人は1日に2万回呼吸をするといわれていますが、1日1分、横隔膜を正しく使った呼吸を習慣化すれば、姿勢が整い自然とリンパや血流もアップ。いつの間にかやせ体質が手に入るので、ヒップアップやバストアップ、くびれメイクもかないますよ!」(牧野さん)
「横隔膜呼吸」は胸とおなかを両方使って、全身で深呼吸をすること
「一般的に、呼吸には胸の動き中心の『胸式呼吸』と、 おなかの動きを強調した『腹式呼吸』のふたつがあります。『横隔膜呼吸』とは、胸とおなかの両方を 使って全身で深呼吸をすること。これができるようになると姿勢が整って脂肪を燃焼しやすい体になり、ボディラインも美しくなります」(牧野さん)
10代~20代前半なら「睡眠」がバストを育てる
乳房の中でボリュームを作っているのは、乳腺と脂肪です。この乳腺が発達するのは、第二次性徴期から20代前半。それを超えると発達は止まってしまうと島田先生は言います。
「生理が始まる第二次性徴は、女性ホルモンや成長ホルモンがしっかり出てくる重要な時期。実は、これらのホルモンは寝ている間に分泌されます。特に、22時~深夜2時はゴールデンタイムと呼ばれる重要な時間。この時間に起きていると、脳のスイッチがしっかり入らず、ホルモンが上手く出てこなくなってしまうのです」(島田先生)
思春期に成長ホルモンが十分に分泌されないと、大切な筋肉や骨格の成長も進まず身長はなかなか伸びませんし、女性らしさの源である女性ホルモンがしっかり出ないと、乳腺の発育も十分には起こりません。理想のバストを育てるためにも、生活のリズムを整えて早寝早起きを心がけましょう。
バストアップにまつわるQ&A
大きなカップのブラをつけているとバストアップできるってホント?
「残念ながらブラジャーをするだけで、バストそのもののボリュームをアップすることはできません。ですが、ブラの選び方次第で“なりたいバスト”に近づけることはできます。その際には、からだに合ったサイズを選ぶことが大前提。洋服を選ぶときに“自分のバストをどう見せたいか”を考えてブラ選びをすれば、毎日のファッションもより楽しめると思います」(津久井さん)
バストアップなら「フルカップ」
「フルカップ」は、バスト全体を包み込んで、しっかりバストアップしてくれるタイプ。ストラップが左右それぞれのカップの中心付近についているため、安定感もばっちり。バストが大きい方や柔らかい方、バストの下垂が気になっている人におすすめです。
バストアップする食べ物があるってホント?
「残念ながら、乳腺の発達というのは遅い方でも20代中盤までには終了してしまいます。成長期に乳腺の成長を促すのが、“女性ホルモン”と“成長ホルモン”。この2つのホルモンがしっかり分泌される環境が整えば、乳腺は大きくなりますが、実は…ホルモンのコントロールをしているのは脳なのです!
なので、直接食べ物によってバストが大きくなるということはありません」(島田先生)
「ブラジャー」の正しい選び方
試着をして自分にあったブラジャーをセレクトしよう
「採寸したサイズだけでは、カラダに合ったブラジャーは選べません。同じサイズのブラジャーでも体型、肉質などにより選ぶブラジャーが変わります。必ず、試着をして自分にあったブラジャーをセレクトして。試着の際は、以下のポイントを意識すると、バストの印象がぐっと変わりますよ」(伊藤さん)
【Point.1】
ストラップを肩にかけて、ブラジャーの下側を持ち、からだを前に倒してワイヤーをバージスライン(バストの付け根)に合わせる
【Point.2】
バストをカップの中に入れて、そのままの姿勢で後ろのホックを留める
【Point.3】
前かがみのまま、右手で右のカップのストラップの付け根を少し浮かせ、左手で右側のバスト全体を包み、やさしく持ち上げる
【Point.4】
からだを起こして、ストラップと肩の間に人差し指が1本すーっと通るぐらいにストラップの長さを調整する。反対側も同様に行う
「カラダにあったブラジャーはバストラインを美しく整え、揺れを軽減し、快適な動きをサポートしてくれます。自分のからだの“いま”と向き合って、とっておきのブラジャーを探してみてくださいね」(伊藤さん)
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長。日本医学放射線学会認定放射線科専門医。日本乳癌学会乳腺専門医。筑波大学卒業後、東京逓信病院、南青山ブレストピアクリニック、東京ミッドタウンクリニックなどを経て、2008年、ピンクリボンブレストケアクリニック表参道開設。2000年、乳がん専門医4人で日本初の乳がん啓発団体「乳房健康研究会」を発足。ピンクリボンバッジ運動やウォーキング・ランイベントの開催などの啓発活動を通し、乳がんに関する正しい情報の発信と、死亡率低下に貢献するための活動を展開している。