AMPP(フランス植物療法普及医学協会)代表理事。院長を務めるクリニックの産婦人科にてフィトテラピーを用いた治療や生活指導を行い、女性の心身の健康を幅広くサポート。
フェムゾーンの潤いケアは大人のたしなみ。「LE BOIS ÉCLAT」洗浄&保湿5アイテムを付録で試して!【美的GRAND冬号 増刊 特別付録】
フィトテラピー&フェムケアの第一人者・森田敦子さんに聞いた、女性ホルモンが減少していく40代から意識すべきこと
フィトテラピーに出合い、更年期も不調なく乗り越えた
自己免疫疾患を患ってステロイド剤が手放せなくなっていた20代後半、大手航空会社のCAを辞めてパリ第13大学医薬学部の植物療法学科へ留学した森田敦子さん。そこで学んだフィトテラピー(植物療法)を日常に取り入れることで、8年も止まっていた生理が再開し、42歳で自然妊娠、43歳で出産した。しかも、出産には至らなかったものの、実は48歳のときにも自然妊娠をしていたという。一般的には、ちょうど更年期に突入する時期だ。
「40代からは、女性ホルモンや成長ホルモンの分泌量、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の産生量などがぐっと減って、体調も見た目も大きく変化してきます。その体の大改革に伴って、ホットフラッシュやイライラ、むくみなどの更年期症状が出たり、精神的に落ち込んだりする人は少なくありません。でも私の場合は、30代、40代、50代とフィトテラピーでのケアを続けてきたため、いわゆる更年期に起こりがちな不調に悩まされずにすみました」
性科学でフェムゾーンは下ネタではなく上ネタ。仕組みを学んでケアすれば体も心も上向きます
フランスから帰国後は、日本の女性たちのウェルネス向上を目指し、フィトテラピーの普及のために起業。日本ではまだ珍しかったフェムゾーンのパーツケアブランド『アンティーム オーガニック』を立ち上げたり、フィトテラピーのスクールも開校した。そもそもなぜ真っ先に手掛けたのがフェムケア製品だったのかを尋ねると、「フィトテラピーは〝性科学〟と非常に深い関係があるからです」と話す。
「フランスの大学では、フィトテラピーを学ぶ中で、性科学の重要性についても教わりました。性科学とは、性や生殖、性欲を科学的に研究する学問で、私たちの健康に大きく影響を与えるもの。女性の体や心の不調を取り除くためにフィトテラピーを活用するのであれば、子宮や卵巣、腟など、女性特有の体の仕組みや機能をきちんと理解しておくことが大切です。腟は、人が生まれ出づる産道。女性の健康に欠かせないおりものや経血が排出される場所でもあります。そこに隣接する尿道口や肛門も、体にとって重要な排泄の役割を担う部位。そういった意味で、フェムゾーンは、いやらしいイメージの〝下ネタ〟ではなく、尊び、いたわるべき〝上ネタ〟なんです」
最近は、女性の健康課題をテクノロジーで解決する「フェムテック」が浸透し、フェムゾーンのセルフケアを推奨する人も増えたが、森田さんが最初にフェムケア製品を発売した20年程前はバッシングも多かった。
「当時は女性が性や性欲について人に話すのがタブーな時代でしたし、自分の腟を見たり触れたりするのは恥ずかしいこととされていました。でも、女性の体に備わった腟周りの機能こそ、女性のウェルネスにつながるテクノロジーです。フェムゾーンに意識を向けて、毎日きちんとお手入れをすることで、自分のセクシャリティを改めて実感できるはず。年齢を重ねても、女性としての潤いや色香をもち続けるために、まずはフェムケアを習慣にすることはとても大事です。体調が上向くのはもちろん、感情の面でも前向きになりますよ」
まずは自分をよく知って、適切なケアをすることが大事
フェムゾーンの具体的なお手入れ法は、顔のスキンケアと同様で、まずしっかり洗って清潔に保つこと。そして足りない潤いをたっぷりと補うことだそう。
「腟の乾きやかゆみ、痛み、萎縮など、大人のフェムゾーンの悩みは、女性ホルモンの分泌量や皮膚の保湿成分の減少、筋肉や骨の衰え、セックスレスなどさまざまな要因が絡み合っています。今は取り立てて悩みがなくても、予防的にケアしていくのが正解。トラブルの原因となる菌や汚れをキレイに洗い流すことと、潤いを与えながら軽くマッサージをして血行を促すことは、早速今日から始めるべき大人のたしなみです。さらに、食生活が乱れているなら見直す、普段運動をしないなら筋肉や骨を鍛える習慣をつける、ストレスがあるならケアをすることも大事。とにかく今の自分をよく知って、自分の体や心が喜ぶことをする。それは、元パリ第13大学教授のアルナール博士をはじめ、私が教わった先生たちが口をそろえるように言っていたことです」
2024年11月17日、東京・中目黒に体験型ウェルネスショップ『LE BOIS ÉCLAT』がオープン。森田さんがセレクトしたハーブやフェムケアアイテムがそろい、ハーブ蒸しやワークショップも体験できる。自分を知り、適切にケアをする方法を見つける手掛かりになりそうだ。また11月下旬には、ふたりのベテラン産婦人科医とタッグを組み、東京・木場の『フェミニンケア ベラクリニック』で腟外来をスタートさせた。フェムゾーンや性のお悩みを恥ずかしがらずに相談できる場所を提供したい…そんな森田さんの思いが次々とカタチになっている。
20種類以上のハーブや精油、フェムケアアイテムがそろう『LE BOIS ÉCLAT』が始動!
個々の輝きをサポートする20種類以上のハーブや精油、フェムケアアイテムがそろう。フィトテラピーの基本「飲む・塗る・香る」を体験できるワークショップやハーブ蒸しのサービスも。
住所:東京都目黒区上目黒1-11-7 ソルーチェ中目黒1F
電話番号:03-6416-9548(11:00〜18:30 ※火曜定休)
植物の力で心の状態が整うと体の不調も軽減!
森田さんの恩師・フィトテラピーの権威 産婦人科医 Dr.アルナールが説く、フェムケアの重要性
「私は長年、産婦人科医として女性の一生をサポートしてきました。そんな中で気づいたのは、婦人科のホルモントラブルの大部分は、ストレスや不安、落ち込みなどの感情に関連しているということ。フィトテラピーに使用される薬用植物は、そういった感情をコントロールするための治療に有効なのです」とは、自身のクリニックでフィトテラピーの臨床に携わるベランジェール・アルナール先生。過去にはパリ第13大学医薬部で教鞭をとった性科学の博士でもある。
「性科学者としては、心理状態は性的な欲求と関連があると考えています。例えばそれが自分の欲求ではなく、相手に合わせているだけの行為だとしたら、そこにはマイナスの心情しか生まれません。もちろん性生活に限らず、自分を抑えた相手本位の行動からは、決して良い結果を得られないのです。誰よりも自分をいちばんに大切にする。それこそが、さまざまなストレスから自分を守る方法です。性の象徴でもあるフェムゾーンのケアは、自分を大切にするための身近な一歩。女性ホルモンが減少する年代には、月見草やボリジオイルなどホルモンバランスを整える植物を含むクリームやジェルでの保湿ケアがおすすめです。痛みのケアにはラベンダーが効きますよ」
グラン世代に向けて「LE BOIS ÉCLAT」がセレクト!デリケートな大人のフェムゾーンを大切にケアするためのこだわりアイテム5選
【洗浄】潤いを保持しながら、ニオイやかゆみのもとをしっかり落とす
「フェムゾーンにたまりやすい汚れは、恥垢と呼ばれるアカ。頭皮や顔、ボディのほかの部位の汚れとは質が異なります。そのためフェムゾーンは、恥垢をしっかり落とせるフェムゾーン専用の洗浄剤を使いましょう。デリケートな腟の環境に合わせた弱酸性で、潤いを残すタイプがおすすめです。洗浄力の強いソープで腟の中までゴシゴシ洗うのは、腟内に常在する『デーデルライン桿菌』まで洗い流してしまうので
NG。乳酸菌の一種のデーデルライン桿菌には自浄作用があり、腟への雑菌の混入を防いでくれています。腟内が酸性に保たれているのもこの菌の働きです」(森田さん)
99.9%自然由来のオイルで保湿しながらすっきり洗浄
生理期間のフェムゾーンの3大悩み、ニオイ・かゆみ・冷えに着目した、自然由来成分99.9%のクレンジングオイル。かゆみやムレを抑制し快適な肌環境に整えるラベンダーやカレンデュラ、冷えにアプローチする高麗人参やマジョラム、保湿に優れたホホバオイル、ビタミン類を豊富に含むアーモンドオイルなど、厳選16種類の植物由来成分を配合。まろやかなテクスチャーで肌になめらかにのび、ゆっくりと乳化しながら汚れやニオイをすっきりオフ。同時に潤いを注ぎ込み、洗い流した後も潤いをキープ。不快な期間の集中ケアとして使うほか、乾燥が気になる人はデイリーの洗浄にも。
ジュン Pororoca インティメイトクレンジングオイル 50ml ¥3,850
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日本女性の肌質に合う15種の和漢植物エキスがイン!
森田敦子さんが最初に手掛けたフェムケアブランド『アンティーム オーガニック』のロングセラー、泡立てるタイプのリキッドソープ。フェムゾーンのpH値を考えた弱酸性。きめ細かな泡が皮膚を優しく包み、潤いは保持したまま、恥垢をしっかり洗い上げ、気になるニオイやかゆみもすっきりオフ。保湿効果の高いトウキ根エキスやドクダミエキス、皮脂バランスを整えるシャクヤク根エキス、肌あれを防ぐオタネニンジン根エキスなど15種の和漢植物のエキスを配合。ラベンダーやイランイラン、レモン、オレンジなど天然精油をブレンドした爽やかな香りも人気が高い。
サンルイ・インターナッショナル アンティーム オーガニック アンティーム フェミニンウォッシュ 120ml ¥2,200
フェムゾーンは顔と同様、手で優しくなでるように洗って!
「フェムゾーンの皮膚はとても薄くて繊細です。泡立つタイプの洗浄剤ならしっかりと泡立てて、ボディタオルは使わずに手で優しく洗いましょう。ニオイやかゆみの原因になる恥垢は、大陰唇や小陰唇の境目にたまりやすいので、ヒダの裏側に指を入れてしっかり取り除きます。腟の中は自浄作用があるので洗わなくてOK。肛門は雑菌が多いので、最後に後ろから手を回して洗います」(森田さん)
【保湿】年齢と共に足りなくなった潤いをたっぷり補い、ハリ・弾力のある肌へ
富永ペインクリニック 院長・医学博士
富永喜代先生
痛みで苦しまない人生を医学で導く痛み改善ドクター。腟の乾きや萎縮による痛みも原因から改善する方法をわかりやすく指導。YouTube「女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室」(@Kiyo_Tominaga)が人気。
エストロゲン不足による不調を保湿&血流マッサージで予防
「女性ホルモンのエストロゲンには、コラーゲンやエラスチンなど線維芽細胞を活性化させて皮膚の潤いや弾力を保つ働きがありますが、実は痛みを抑える効果も高いんです。脳内で鎮痛作用のあるエンドルフィンというホルモンの分泌を促したり、痛み物質のプロスタグランジンの生成を抑制するのがエストロゲン。そのため、エストロゲンが減少してくる40代以降のフェムゾーンは痛みを感じやすくなるわけです」と、痛みの専門医、富永喜代先生は話す。
「しかも、エストロゲンが減少すると腟の血流も低下するため、腟粘膜や皮膚が薄くなって乾燥が進み、摩擦に弱くなります」
年齢によるエストロゲンの減少は避けられないこと。となれば、不足してきた潤いを外から補い、腟周りのマッサージで血流を促すことがいちばんの予防ケア。
「フェムゾーンの皮膚は元々ほかの部位よりかなり薄く、経皮吸収率が前腕の約40倍とされています。そのため与える保湿成分は、人の皮膚との親和性が高い、刺激になるものを含まないなどのこだわりが必要です。洗浄剤と同様で、保湿剤もフェムゾーン専用を選んでください」
右/乳酸菌の力で腟内フローラを整える
乳酸桿菌・乳発酵液やエンテロコッカスフェカリスなどの善玉菌を配合したバイオ・フェムケアRで、エストロゲンの減少によって乱れがちな腟内フローラを整える、フェムゾーン専用の保湿ジェル。修復・再生作用のあるヒト脂肪細胞順化培養液エキス、抗菌作用に優れるオウゴン根エキス、潤いを与えるザクロエキス、水分解サケ卵巣膜エキスなども配合し、乾燥、萎縮、ニオイ・かゆみ、痛みなどフェムゾーンのエイジングトラブルに多角的にアプローチ。香料や着色料などの添加物を含まず、腟内にも使え、内側からもハリ・弾力を高める。ややコクのあるなめらかなテクスチャーだからマッサージがしやすく、皮膚に負担をかけない。
Dr.ESTRA Dr.ESTRA エストラジェル 100g ¥9,500
中/肌を優しく覆って肌を優しく覆って潤いを守る潤いを守る
薬品メーカー出身のふたりの女性が3年をかけて開発したフェムゾーン専用ローション。中身の96%は、イギリスの厳しいオーガニック認証機関の基準をクリアしたオーガニック成分。アロエベラエキス、グアーガム、イナゴマメ果実エキス、アマ種子エキスなどが、乾燥から肌を守り、より健やかなコンディションに導く。グリセリン、パラベン、香料フリーで舐めてもOKのナチュラルさ。イギリスでは病院や薬局で取り扱われ、YESブランドの人気No.1。みずみずしいテクスチャーでスーッとのび、後肌はサラサラ。デイリーの保湿ケアのほか、潤滑剤としても使いやすい。
アジュマ YES インティメイト・ ウォーター ローション WB 100ml ¥3,740 100ml ¥3,740
左/クレンジングと保湿を兼ね備え、不快を一掃!
クレンジングと保湿、ふたつの使い方ができる潤いリッチなフェムゾーン専用オイル。不快なニオイやかゆみをオフして清潔に保ち、ビタミン類やオメガ7を豊富に含むシーバックソーンの保湿効果で肌に潤いや弾力をチャージ。多種多様な微生物が存在する皮膚のマイクロバイオームに着目し、その健やかな環境を保つため、界面活性剤フリー、防腐剤フリーにこだわったオーガニック製品。肌を優しく整えるフラゴニアオイルは深呼吸を誘う爽やかな香り。フレッシュなローズマリーの香りもリラックス気分を高め、毎日のお手入れを楽しくしてくれる。クレンジングとして使って洗い流しても、保湿剤として塗布してマッサージに使用してもOK。
リンガホー リップ インティメイトケア クレンジング モイスチャライジングオイル シーバックソーン & フラゴニア 75ml ¥3,960
後ろから前に向けて、血流に沿うようにマッサージを!
「フェムゾーンは血管や神経がお尻側から前に向かって流れているので、保湿やマッサージもその血流に沿って行うのが基本。もちろんその前に肛門までしっかり洗っておくことが前提です。保湿剤をつけた指で大・小陰唇を挟むようにして後ろから前へ動かします。また、腟と肛門の間(会陰)は血管の密度が少なく最も痛みが出やすい部分なので、指を優しく左右に動かしながらたっぷりと保湿を」(富永先生)
『LE BOIS ÉCLAT(ルボア エクラ)』のフェムケア5アイテムを美的GRAND冬号「増刊」で試して!
右上から時計回りに/
アンティーム オーガニック アンティーム フェミニン ウォッシュ2g
リップ インティメイトケア クレンジングモイ スチャライジングオイル1ml
Dr.ESTRA エストラジェル2g
YES インティメイト・ウォータ ーローション WB7ml×2包
Pororoca インティメイト クレンジングオイル3ml
『美的GRAND』2025冬号掲載
撮影/吉田健一(静物)、森戸美帆(LAVABLE・人物) スタイリスト/高橋尚美(静物) イラスト/きくちりえ(Softdesign) 構成/つつみゆかり
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
パリ第13大学で植物薬理学を学び、帰国後、日本におけるフィトテラピー&フェムケアの第一人者として活躍。「サンルイ・インターナッショナル」を立ち上げプロダクト事業などを行うほか、フィトテラピストを育成する「le bois Phytotherapy School」も運営。